もみじの研究ノート

駅名標の奥深い世界へようこそ。

JRは日高線復旧を放置している!

前回の記事の続きです。日高線の沿線自治体は、「日高線廃線のように見せたくない」という思いと共に、「JRが日高線復旧を放置しているように見せたい」のではないか、ということについてです。

 

JRが日高線復旧を放置しているように見せたい 

日高線根室線でもう一つ違うなぁと感じる点は、代行バスのポスターです。日高線のポスターは、道内の主要駅全駅に貼られているのでは、というレベルでたくさんの駅に貼られています。また、札幌圏を含む、全道を走るすべての普通列車代行バスのポスターが掲載されています。また、外国人向けサイトでも列車が運休し、代行バスの運行を行っていることが紹介されています。

https://www.jrhokkaido.co.jp/global/pdf/hidaka.pdf

Notice:Bus transportation to alternate a part of Hidaka Line due to cancels of train operation

一方の根室線は、それほど案内を見かけません。札幌駅などにはポスターがあるものの、列車の車内では基本的に見かけません。外国人向けサイトにも、どこかには書いてあると思いますが、わかりやすいところには書かれていません。少なくとも日高線と同列には取り上げられていません。

これも、沿線自治体の要望が大きいのだと思います。日高線の沿線自治体は、全道中の車両と駅にこのポスターを掲出することで、「JRには復旧を放置している路線があるんだ」という認知度を高め、復旧につなげたいといったような思惑があるんだろうなぁ、なんて思ってしまいますけど、真相は不明です。全道中にポスターを出すその広告料金を支払ったりしていればおお~となるんですけど、違うでしょうからね。

正直、外国人にとってこの代行バスに関しては、根室線のほうが100倍くらい関連があると思っています。根室線代行バス富良野トマムを移動する外国人観光客の姿があり、不便な移動を強いられています。根室線列車代行バスの広報体制はもうちょっと強化したほうがよいのではないかとは思っています。

 

日高線専用車両の今後

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静内駅での一コマ。構図を変えて撮り直したいが、叶うことはなさそう。

ところで、日高線には専用の車両「キハ40系350番台」があります。優駿浪漫と名付けられた専用塗装で、かつては10両ありましたが、現在は確か2両が解体され、そのほかにも先行きが怪しい車両があります。現在は日高線の運休により他路線の運用にも入り、長万部や滝川まで姿を見せるようになっています。また、以前はあくまで日高線中心に運用に入っていたものの、この数年はツイッターに投稿される日高線の写真は、一般色ばかりです。日高線よりも室蘭の方が多いんじゃないの?というレベルで日高線に入っていません。

さて、JR北海道としては、本当はすべての車両を一般色に統一したいはずです。数年前キハ183系のお座敷車両が赤色からHET色に変更されましたが、塗装の費用を削減したかったからではないか、と噂されています。JRとしては、同様に日高色の青色とピンク色も削減したいはずです。また、日高線を走らないのに「日高」の文字がある車両をいつまでも運用し続けることは、旅客案内の面でも好ましくありません。もっとも、糸井発追分行きを「千歳ー追分ー新夕張」と表示するような地域ですから、この点については何とも言えませんが・・・ 

ですが、これも地元の要望により、塗装変更されずに残されていると思われます。日高色がなくなるのは廃線の象徴であり、何としても阻止したいのだと思います。それか、今はそんなことは考えていなくても、もし塗装変更していれば、絶対そういう意見は出るはずです。

地元自治体にとって、日高色のキハ40が走り続ける最大のメリットは、その存在自体が「日高線のPR」になることです。日高色は日高線の「走る広告」なのです。と言っても、日高線に遊びに来てくださいというPRではなく、「JR北海道日高線の復旧を放置している。だから全然違う路線に日高とかいた車両が入っている。JR北海道にはそんな路線がある。JRは地方切り捨ての企業なんだ!」ということを広くPRすることができるんですね。私にはなんとなくそういうふうなメッセージに感じます。

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2両とも一般色という姿は、かつては極めて珍しかった。(鵡川駅 2020年1月)

ところで、かつてはいつも海沿いを走ったこの車両は老朽化が著しく、すでに2両が解体され、そもそもの日高線にもあまり入らなくなっています。地元自治体からこの件について何か言及した、というような話題は聞きません。もし知っていたら「苗穂工場で日高線の車両が解体されている!日高線を復旧させるつもりがないという象徴だ!」という批判の声が出るでしょう。多分誰も知らないんだと思います。今日高線の苫小牧ー鵡川間を利用すれば、日高色の車両が消えていることに違和感を抱くはずです。しかし、それを気にする人が誰もいないという状況なのです。

キハ40があと数年でほぼ全廃となるJR北海道。日高色は老朽化が著しく、確実に数を減らすでしょう。この時沿線自治体がどう反応するか。キハ40の後継の「日高色」は作られるのか。気になるところです。