もみじの研究ノート

駅名標の奥深い世界へようこそ。

札幌市営地下鉄のサイン 筐体について

先日西18丁目駅でボーっとサインを眺めていた時、あれ?これ似たようなサインでも、枠の形が違うんじゃね?ってことに気付いてしまいまして。

むしろなぜ今まで気にしてこなかったんでしょう。ともかく、この時から私のサインを見る目は180°変わってしまいました。これまで書いてきた記事も大きく見直さないといけないことに。今日はそんな札幌市営地下鉄サインの筐体について特集します。

なおこの記事での「筐体」とは、文字が書かれた看板を吊り下げる金属製のものを指し、「サイン」とは、文字が書かれた看板そのものを指します。

 

開業当初の筐体

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南北線 北24条駅(2021年1月)

1971年、南北線開業当初のもの。現在も北24条~真駒内の各駅に多く残っています。開業当初のサインと共に残っている駅はほとんど絶滅していますが、開業から50年、今も当初と変わらない筐体であふれていることには驚きさえ感じます。

角が丸みを帯びていることが特徴です。また、形が東西線と比べて正方形に近い形をしているのも特徴で、麻生延伸開業の際にも踏襲されます。

追記:サイン紹介の記事で紹介した筐体には、どれも筐体下部に金具がついていません。この金具がついていないタイプが開業当初のもので、上で紹介したサインはどこかのタイミングで取り換えられた可能性があります。

 

東西線開業時の筐体

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東西線 西28丁目駅(2021年1月)

1976年、東西線開業当初のもの。現在も琴似~白石間の各駅に残っています。このタイプは開業当初のサインから変わっていないものも現存します。

サイン部分の角(黒色と銀色の境界面の角)が丸くなっているのが特徴です。

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1枚目(左)は東札幌駅にて、2枚目は西18丁目駅にて。筐体下部に写真のような金具がついており、その多くが錆びていることが特徴です。また、一部の駅の一部のサインには銘板が残っています。札幌市営地下鉄のサインで銘板が残っているのはこのタイプくらいです。

 

南北線麻生延伸時の筐体

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南北線 北24条駅(2021年1月)

1978年、南北線麻生延伸のころ設置されたタイプ。北34条駅・麻生駅を中心に見られます。開業当初のものを引き継いだ正方形に近い形となっており、サイン面の角、筐体面の角が共に角ばっていることが特徴です。

このタイプは北24条駅、さっぽろ駅などでも見られます。南北線開業当初はサインの数が少なく、旅客案内が不十分だったといいます。麻生延伸のタイミングで、特に方向を間違いやすい島式ホームの駅において、サインを追加設置したと考えられます。

 

東西線新さっぽろ延伸時の筐体

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東西線 南郷13丁目駅(2021年1月)

1982年、東西線新さっぽろ延伸の頃に設置されたと思われるもの。南郷7丁目~新さっぽろの各駅のほか、菊水などで見られます。写真が白飛びしていて見ずらいですが、側面がだいぶすっきりしました。筐体と同時期のサインも多く残っています。

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ひばりが丘駅にて。金具も違う形となっていて、さびも少ないです。

 

(仮)琴似駅にエレベーターが設置されたころの筐体

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東西線 琴似駅(2021年1月)

琴似駅でのみ見かけた筐体です。琴似駅のホームと改札口をつなぐエレベーターがいつ供用開始されたかは、図書館や過去の新聞を漁ると分かるはずです。誰か漁ってくれる方を募集しています。

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下部にねじのようなものが2個ずつ付いていることが特徴です。

 

東豊線開業の頃の筐体

1988年、東豊線が開業したころのタイプ。

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1枚目は学園前駅。2枚目はさっぽろ駅。筐体側面にねじのようなものが2個ずつついています。また、側面に黒い線が2本入っています。また、このころから表示面を2段に分けた、大型の筐体が登場しています。これは東西線にはほぼ見られないものです。

 

東豊線福住延伸の頃の筐体

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東豊線 学園前駅(2021年1月)

1994年、東豊線福住延伸の頃に設置されたタイプ。東豊線学園前駅福住駅間のほか、東西線発寒南駅・宮の沢駅、2005年にリニューアル工事が行われた南北線すすきの駅もこのタイプとなっています。

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見た目はあまり変わりませんが、ねじの形状が変わり、マイナスドライバー用のねじ穴のようなものが追加されています。

 

ゴシック4550最終タイプの筐体

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東西線 東札幌駅(2021年1月)

2009~2011年ごろに設置されたタイプです。近年新たに改札口が増設された駅、エレベーターを設置した駅を中心に見られます。2009年3月の中島公園駅南改札口供用開始の際に設置されたサインの時点で、このタイプとなっています。

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下部にはこのような金具が取り付けられています。東豊線では一時ボルトに変更されましたが、このような仕様に復活したといえます。

 

大通駅の黒い筐体

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大通駅(2017年10月)

2015年12月ごろ大通駅に初めて設置されたタイプ。最新のものです。これまでにないモデルチェンジとなりました。大通・さっぽろ・バスセンター前など都心部の駅のほか、自衛隊前駅にも設置されています。このタイプは「いつまでもあるだろ~」とか言って全然写真を撮っていません。よい子の皆さんはまねをしないほうがいいです。そうして30年後くらいに後悔するんですよね。

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全面真っ黒であることが特徴です。さっぽろ駅にはこれまでと似たような大きさのものも多く設置されています。自衛隊前駅などにも設置されていますが、差があるのかどうかはまだ調べられていません。

 

真駒内駅の筐体

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南北線 真駒内駅(2021年1月)

2020年に真駒内駅に設置されたタイプ。なぜか黒色のものではなく旧タイプの見た目に戻りました。改札口などにある他のサインと雰囲気を合わせるため?とも思いましたが、ホームに設置されている吊り下げサインは全てこれに更新されたため、黒色のものでも問題なかったはずです。なぜ旧タイプに戻ったのかは謎です。あるいは、無計画だったからとしか言いようがありません。

撮影したのは2021年1月ですが、筐体の違いに気づいたのはこの数日後なので、サイン側面からの写真はありません。また今度撮ってきます。金具がサインの片面にしかないことが特徴です。

 

まとめ

今回は昔のものから現在のものまで、一気に紹介しました。さて、皆さんは違いが分かったでしょうか。これを基に地下鉄の各駅を見ると、何の変哲もないサインもおもしろく見えてきます。開業当初から変わらないサインが多いことにも驚くかと思います。そして、2015年に大通駅に設置されたサインは、開業当初以来の大規模かつ唯一のモデルチェンジだったんですね。

そして何よりも残念なことは、その大通駅の表示内容がよくないことです。せっかくデザインが一新されたのに、表示内容が全くアップデートされていません。バスセンター前駅などでは少し変化があったものの、最近の東西線コンコース西側のサインはもうだめです。

あそこまで大規模に設置されてしまった以上、今後しばらくは変わらないだろうと思いますが、交通局内部の人が少しでも早く、サインデザインの重要性に気付いていただきたいものです。