もみじの研究ノート

駅名標の奥深い世界へようこそ。

大通駅のサインが更新されました 4

おことわり

今回の大通駅のサイン更新は良いものと悪いものがあり、今回は悪いところばかり紹介します。あらかじめご了承の上お読みください。よいサインもちゃんとありますので、次回の記事をお待ちください。

 

頭の悪い西側吊り下げサイン更新

 2021年1月ごろ、大通駅西改札口付近のコンコースにて、吊り下げサインの更新が行われました。このエリアのサインは全て筐体ごと更新されることになりました。大通駅の未リニューアル部分に黒色の筐体が本格的に導入されるのは、これが初めてです。

しかしこの新しいサイン、従来のサインにある内容を何も考えることなくそのまま新しいものに更新する、非常に頭の悪いサイン更新となりました。もうきっぱり断言します。

今回撮影した写真は、2021年1月、または3月に撮影したものです。

 

表示内容が変わった!?

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2021年1月4日撮影。頭の悪いことに、従来の「東西線のりば」がそのまま更新されました。従来のサインは東豊線開業前に設置されたもので、これを機に「 ↑ 東豊線」を追加するべきでしたし、「 ↑ 南北線」があってもよかったのです。また、「のりば」の表記も不要です。なぜ表記内容を変えなかったのか・・・と残念に思っていました。ところが。

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2021年3月撮影。なんと!?「東豊線」が追加されている!? 表示面を交換したのでしょうか。しかし奥のサインは「東西線のりば」のまま。なぜここだけ変えたのでしょう。そして南北線は?

 

謎のカギはここに

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2021年1月4日撮影・1番出口付近のサイン。このエリアの中では更新が遅めで、新型壁面サインとの共演が撮影できました。

 

(写真後日掲載)

1月19日のサイン。現在写真が用意できませんが、「↑東西線 ↑東豊線」と表記されていました。さて、ここで謎が解明されました。

 

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3月に撮影したもの。「東西線のりば」に変更されています。 

つまり、先ほどのものと掲出位置を間違い、表示板を相互に交換したということですね。いずれにせよ、洗練されていない表記であることに変わりはないのですが・・・

 

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先ほどの写真の奥に見えていた「 ↑ 東西線のりば」の裏側。これも従来の「出 口 2」と大書きされたサインの内容をそのまま新しくしたため、「大通西5丁目」の地名表記がありません。左側半分がもったいないサインです。地名を入れてもよかったのでは。

 

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こちらは以前から「新大通ビル」の表記があったんですね。そのため今回も「新大通ビル」の表記がつけられました。札幌市営地下鉄的には、今回「Shin-Odori Bldg」と英語が付いただけでとても優秀なことです。が、そんなの当たり前であってほしいんですけどね。

 

頭の悪いサインばかり

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2021年1月4日撮影。

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2021年3月22日撮影。エレベーターのドア付近から。

エレベーター専用改札口です。従来通り「エレベーター」の看板が設置されました。が、改札口横に「地上に出ることはできません」という注意書きがあるなら「エレベーター(ホームへ)」または「改札口」としたほうがよかったはずです。さらにこの看板は、裏側にも「エレベーター」と表記されています。そもそも人が見やすいように設置されていない看板ですが、「出口」と書いたほうがよかったでしょう。

 

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2021年1月4日撮影。きっぷを購入した人が改札口へ向かうような場所に設置されています。これはトイレに行く人は助かる表示ですが、改札口がすぐに見えてくるわけでもない場所であり、「 ↑ N07 T09 H08 のりば」「 ↑ 南北線 東西線 東豊線」のように乗車系の案内を書いたほうがよかったのではと思います。遠くの化粧室を案内するサインは基本的に壁面に書くくらいでよいです。吊り下げるに越したことはありませんが、限られたスペースに何を書くかを考えると、のりば案内が優先です。

 

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西改札口自動改札機上のサイン。2021年1月19日時点では未更新、3月22日時点で更新されていました。これまでと異なり「のりば」が省略されました。これまで「南北線さっぽろ駅 北改札口 南北線のりば」「真駒内駅 のりば 北改札口」とごちゃごちゃしていた分はすっきりしました。ただし「出口 西改札口」は引き続き並んでいます。現在の札幌市営地下鉄のサインマニュアルでは、「のりば」や「出口」は「改札口」の先にあるものという扱いで、「改札口=のりば」「改札口=出口」ではないことに注意が必要なのです。今回は片方しか改善されませんでした。個人的には、降車客への案内は「西改札口」は「西出口」でもいいように思うんですけどね。

しかし、なぜか駅ナンバリング東西線のものしかありません。

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この改札口は南北線麻生方面の利用客も入場するよう案内されています。駅ナンバリング南北線のものを追加するなどしておくべきでした。また、東豊線利用者は別の改札口が便利であることを簡潔に案内することも必要でした。

ところで「大通駅」の中国語が・・・「 大 通 方 面 」

韓国語も「大通方面」と書いてあるようです。

 

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西改札口に垂直に設置されたサイン。なぜか広いスペースがある「東西線」が長体で細長くなっています。また、「さっぽろ・麻生方面」の表記をしてほしかったですね。英語表記に「・」を使っているのも恥ずかしいです。たぶん。さらに、なぜこうガラスの真ん前に設置したのか、ガラス間の柱に文字が被らないようデザインできなかったのか。

 

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これまた問題のあるサインです。「東西線」の他に「南北線麻生方面」の表記も必要です。また、「エレベーター」とありますが、この先にはホーム行きエレベーターしかなく、地上行きエレベーターはありません。単に「エレベーター」だけではその情報は読み取れないため、表現を変える必要がありました。東西線へのエレベーターだと察してほしかったのかもしれませんが、これでは伝わりません。すべては「以前のサインをそのまま更新した」のが原因ですが、この機会に改めるべきだったんですよね。

 

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裏側です。まあ概ねいいのですが、南北線には「真駒内方面」があってもよかったかなと思います。間違いではないんですけど。結果として数十年前に設置された、奥にある「南北線真駒内方面」の表示が必要なままですし、両者の表示が食い違ったままでもあります。

 

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これも従来のサインがそのまま、これは多言語化もなく更新されました。位置も内容も「公式野良サイン」感が否めません。なぜここに化粧室とエレベーターの案内が必要なのか、検討はあったでしょうか。エレベーターは一つ前のサインと同じ問題を抱えています。

 

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出ました「のりば」サイン。営団地下鉄がサインマニュアルを制定した際、なるべく簡潔にするために「のりば」「のりかえ」といった表記を省略しました。ここにあった以前のサインはその制定前に設置されたサインのため、「南北線のりば」「東西線のりば」と書かれていました。ちなみに東豊線が開業した際もこの場所では更新が行われませんでした。それが今回、まさかのそのまま更新となったわけです。せめて「東豊線」くらい追加してくれ。もう本当に情けないです。

 

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先ほどのエレベーター改札口は「エレベーター」でしたが、ここは「改 札 口」となっています。いろいろな案内が書かれるこのご時世、「改 札 口」とかなり単純な表示ですが、このエレベーターは主に「南北線真駒内方面・東西線」に行くためのものだという表示を付けたほうがよかったですね。

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裏面です。「出口」ではなく「改札口」ではないんでしょうかね。表面は「すべての路線に乗れる」という案内なのに、裏面の駅ナンバリング東西線しかないのもよくわかりません。そして中国語の「大通方面」 英語は何か直したような跡があります。For Odori Station にでもしたのでしょうか。韓国語は合ってるんでしょうかね。→合ってないようです。

 

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ここにあるエレベーターは「南北線真駒内方面・東西線ホーム行きエレベーター」です。それ以外の利用者は別のエレベーターを使ったほうが良いですし、地上にはいかないのです。なぜその案内をすべて省略したのでしょうか。こうだから「駅の案内はよく分からない」となるんですよ。あと、ガラスの真ん前に設置するのはどうにかならなかったのでしょうか。

 

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さっきの案内とは違って「東豊線」が入っています。これも、東豊線開業時に片方だけ交換した従来のサインを、今回そのまま引き継いだからです。担当者は何を思って南北線「のりば」と打ち込んだのでしょう。何か考えなかったのでしょうか。

 

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十字のサイン。かっこいいですね。かっこいいですが、それは見た目だけで、東豊線の開業などによって追加された情報をうまく整理できていません。定期券うりばをその位置に書くのはちょっと違うでしょう。

 

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またもや「のりば」付きの案内です。外国人は「南北線」「南北線」「南北線」とどこも同じように書いてあると、日本語だけを見ても分かりやすく、形として認識して何とかたどれます。しかし、「南北線」「南北線のりば」「南北線麻生方面」「南北線さっぽろ・麻生方面」という「文字の形」はどれも違うことを案内しているのでは?と感じないでしょうか。できるだけ同じ表記に統一したほうが良いと思うのです。

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旧サインでも特徴的な表示をしていたこれ、今回はこうなりました。「うりば」がなんとなく字間が開いているのが気になります。また、「Season Tickets」という過去の表記を掘り返す、というかそのまま更新しており、これは定期券うりばを Commuter Pass Sales Office と定めているサインマニュアルに反するものです。実際外国人には伝わるんでしょうかね。

 

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きっぷうりばサイン。今回紹介するサインで唯一といっていい、ツッコミどころのないサインです。大変よくできました!!!!!

 

その場所にどんな案内が必要か、整理と検討を

大通駅は複雑な駅です。今回取り上げたエリアでも、南北線麻生方面の利用客をどの改札から入場してもらうか、の一つをとっても、経路に悩むわけです。だからこそサインを更新する前に、それぞれの場所にどのような案内が必要か、矢印をどちら向きに設置するべきか、よく検討するべきでした。今回のサイン更新は、その作業が全く行われないまま更新されてしまいました。

今回の更新は老朽化で物理的な限界がきたからではありません。外国人を含めたすべての人に、より分かりやすい案内にするためです。だったはずです。そんな中での今回の更新方法にはとてもがっかりしています。

さて、そんな中でも各路線ホーム部分のサインは別の会社・担当者により、様々な改善が行われました。次回はそのエリアを見ていこう、と思ったのですが、頭の悪いサインの紹介が終わらなかったので、次々回とします。もうほんと、こんな批判ばかりの内容、自分でもあまり書きたくないんですよ? 札幌市営地下鉄、というかこれを担当した業者はちゃんとしたサインを作ってください。