もみじの研究ノート

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札幌市営地下鉄のサイン 6 東豊線福住延伸時のサイン

札幌市営地下鉄の吊り下げサインを紹介しています。初めての方・目次はこちら

灰色ブーム?

1990年代に建設・設置されたサインは、なぜかベースが「灰色」となっていることが多いです。理由は視認性の向上なのかこの時代重視されるようになった「バリアフリー」が関連しているのかわかりませんが、全国各地でなんとなくその傾向があるように感じます。そして札幌もその一つというのが大変興味深いことです。

 

JR北海道の初期サイン。現在まとまって残るものはほとんどありません。ネット上の資料も乏しいです。

 

営団地下鉄南北線のサイン。化粧室のピクトグラムが灰色ベースになっています。JR線が従来の長方形と異なり円となっていることも分かります。

 

1990年に開業した長堀鶴見緑地線では、大阪市営地下鉄他路線とは異なる独自のサインが導入されました。灰色ベースとなっています。

 

このように、なぜかこの時代のサインは灰色のものが多いのです。そして、今回取り上げる東豊線福住延伸時のサインも灰色になっているのです。

 

東豊線福住延伸部分の各種灰色サイン

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本題からは離れますが、少し東豊線の灰色サインを見ていきましょう。まずは駅名標。上のナンバリングと比べると灰色であることがよくわかると思います。

 

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月寒中央駅コンコースで撮影した「禁止事項」の看板。「9.指定場所以外で喫煙すること」(でしたっけ?)が消された痕がはっきりとわかります。(「指定場所以外で」だけを消せばいいと思うのですが)

 

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札幌らしいと有名な「スキー等」看板。他区間では黄色ですが、この区間は灰色となっています。

他にも壁面の出口看板の文字が灰色であったり、随所に「灰色」を発見することができます。福住方面へ行った時はぜひ見てみてください。

 

東豊線福住延伸時のサイン

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東豊線 学園前駅(2021年1月)

そして吊り下げサインも、灰色ベースとなっているのです。詳しく見ていきましょう。

 

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2021年1月 月寒中央駅 ミニサイズの「のりば」サイン。サインを追い求める人にとっては定番の、エレベーターの裏側に残っているもの。

さてさて、車両のロゴが変更されました。札幌市民にとっても馴染み深い「新旧車両のロゴ」のうち新しい方ですね。STマークが制定されたのは1993年5月1日とされますが、間違いでなければ福住延伸時から本格採用されたこのロゴ。札幌の地下鉄といえばこれ。ゴムタイヤの特徴もよく再現している、今からでも戻してほしいロゴです。

ちなみに当時新形式車両は7000形しかなかったため、このライトの形は7000形をモデルとしてると思われます。3路線の平均的な形、とかではないんですね。7000形の引退とともにこの形式のモデルは姿を消したことになります。現在このロゴが採用されていないのは仕方がないことなのかもしれません・・・

 

www.nakayamagumi.co.jp

月寒中央駅のきっぷうりばサインが撮影されています。枠のないピクトグラムがついており、この区間以外では基本的に見ることができません。が、ステッカー化や電光掲示板の交換によりほぼ絶滅したと思われます。

 

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2017年11月 月寒中央駅の駅事務室。

東豊線開業時、「駅事務室」「きっぷうりば」などにピクトグラムは表記されませんでしたが、このタイプでは表記されています。東豊線開業時の「トイレ」などと同じく、四角形の枠はないタイプです。この時期のサインが一番営団らしさを感じますね。

 

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2015年12月 元町駅。これは明らかに福住延伸時に交換されたものなのですが、隣の栄町方面と比べて色の差異がない、というか、どちらも若干灰色のような雰囲気です。しかし栄町方面も同時に交換されたとは思えず、真相がよくわからないサインです。

「さっぽろ・大通・豊水すすきの方面」時代の看板を入手された方のブログ記事はこちら。私も苗穂のカラマツトレインで出品されているのを見たことがあります。

 

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2017年11月 月寒中央駅のエレベーター。ピクトグラムが線路側に配置されているのは東豊線開業時からの特徴。ちなみに車椅子マークは扉の上に表記されています。

エレベーターのサインはこのタイプから現在と同じ人が3人乗るデザインになったと思います。おそらく全国的な動きに合わせたと思われますが、今まで車椅子利用者向けであったエレベーターがすべての利用者に解放されたことも意味しているのだろうと思います。

 

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2021年1月 幌平橋駅ホームのエレベーターサイン。東豊線以外の駅でおそらくここだけ、灰色ベースのサインとなっています。エレベーターが1994年に近い時期に設置されたのだと思いますが、何度見ても異色の存在です。

このように、フォントはゴシック4550とHelveticaと変化はありませんが、その中でもいくつか違いがあります。

  • 黒地ではなく灰色になっている
  • 地下鉄のロゴが新しくなった
  • ピクトグラムが増えた

なお、「枠のないピクトグラム」が表記されているサインはこのタイプまで。これを知るとサイン観察がかなり楽しくなるかもしれません。

 

設置時期と設置駅

さて、東豊線豊水すすきの~福住間は1994年に開業しました。駅構内のサインは東豊線開業時とそれほど変わらないタイプのものが導入されました。

東豊線学園前~福住駅間の各駅ほか、南北線幌平橋駅などでも同じ「灰色」のサインが見られます。東豊線北側の方面サインがどこまでこのタイプに当たるのかは、要調査です。

現在福住駅では2度、その他の駅でも1度ステッカーサインに交換されており、このサインが顔を出しているはかなり少なくなっています。さっぽろ駅・大通駅にこのタイプと断言できるサインがないことも特徴で、実はかなり希少なサインかもしれません。