もみじの研究ノート

駅名標の奥深い世界へようこそ。

みなとみらい線 元町・中華街駅に残る開業当初のサイン

ずっと見たかったみなとみらい線の旧サイン

先日東京と横浜に行ってまいりまして、ずっと見ておきたかったみなとみらい線のサインを鑑賞してきました。基本的にツイートとして振り返ることが多いのですが、みなとみらい線についてはブログにまとめておこうと思います。初の北海道以外の話題です。

 

みなとみらい線について

私なりに簡単にまとめておこうと思います。皆がイメージするきらびやかな横浜の街を走る路線。東急東横線相互直通運転し、一体的に運転されています。地下鉄といえば地下鉄ですが、それを感じさせない芸術的な鉄道です。横浜以外の5つの駅はそれぞれの建築家により異なるデザインとなっており、どの駅も魅力ある駅空間となっています。

そして開業当初のサインは営団地下鉄のサインシステムを製作されたことで有名な赤瀬達三さんの事務所が設計したものです。フォントにはTBゴシックとRotisが使用されており、最大の特徴は駅によって駅名標のフォントが異なること。

 

今のみなとみらい線は少し残念

現在はみなとみらい駅馬車道駅日本大通り駅にて新しいサインへの交換が行われています。今回は新高島駅元町・中華街駅に残る開業当初からのサインを主に取り上げます。

はじめに全体的な感想をお伝えしておきますが、せっかく美しい駅デザインとサインが、サインのメンテナンスの悪さによって潰されているという感想を抱かずにはいられませんでした。旧サインを見られたのは幸運だったものの、その扱いにはちょっと残念でしたね。

それでは見ていきます。写真は全て2021年9月に撮影したものです。

 

出入口

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さて、本題です。元町・中華街駅へは徒歩で向かいました。早速開業当初から変わらないサインがお出迎え。この暗い雰囲気がみなとみらい線ですね。落ち着いています。

 

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駅名表示。いいですね。鉄道の標準ピクトグラムを使いながら、ここまで個性が出せるものなのかと感じます。

 

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さて、もう一つだけ出入口を見ようということで。ん・・・?真っ暗。最近流行りの非電照サインですか。それにしては左上のMを除いて暗すぎます。なんか終電を逃したような雰囲気です。中央の灰色をはじめ、なんとなく退色が進んでいるようにも感じますが、正確なことはよくわかりません。いずれにせよ、もう取り替える時期を迎えているんだなということは、この時点で感じました。

 

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出入口横にある掲示。全国的に見てもスッキリしていると思います。時刻表のフォントがちゃんとしているのがいいですね。

 

コンコース

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灰色で殺風景な階段を降り、コンコースへ。みなとみらい線、芸術的な駅だとは思いますがこういう細かいところは狭く殺風景なところも多く感じます)おお、残っている・・・でも光ってはいません。

 

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階段を上がると長い長い通路が続きます。中華街はこの先なのですが、この通路歩くのほんとしんどいんですよね。中華街は好きでしたが、この通路は嫌いでした。

 

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この部分は横浜高速鉄道の管轄ではないようで、フォントも筐体も異なります。言葉で表現できませんが、ちょっと特殊な、いい感じの光り方をしています。

 

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さて、ホームの方向へ向かいましょう。これが見たかったんですよ。でも光ってないですね・・・

 

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一応エレベーターサインも。表示がないと思われる裏側にも板を設置しているのが特徴でしょうか。そういえば裏側をチェックするのを忘れました。

 

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お、こっちはついています・・・が、ケチったような照明のつけ方をしていますね。

 

cantik-manis.net

このサイトに掲載されているサインはしっかりとついています。撮影は2017年以後だと思われ、この数年間で左側が消えています。

 

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お!!ここはほぼしっかりと点灯しています。

 

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私が見たかったのはこれです!

 

インデザインを詳しく見てみる

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みなとみらい線。改札外コンコースではこのように路線名を言い切ります。駅を象徴する看板の一つです。矢印の形が特徴的で、軽やかで爽やかな印象を持ちます。フォントはTBゴシックとRotis Sans Serifですね。真面目でスタイリッシュな印象です。

 

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出口サインです。エスカレーターのピクトグラムが枠なしで表記されています。Exitの下に小さく「マリンタワー口」の表記がありますが、どの程度機能しているのでしょうか。一度通りかかっただけではよくわかりません。

 

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この出口には階段もエレベーターもあり、「マリンタワー口」と呼ぶのにふさわしい規模です。エレベーターには「エレベーター出口」の表記が。ところでこの照明、左側は下、右側は上のみ点灯しているように見えます。半分ずつ照明を切っているのでしょうか。

 

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サインを側面から。赤瀬達三さんの「駅をデザインする」を読むと、みなとみらい線のサインの検討においてはかなり筐体にこだわったことがわかります。結果的にそのこだわったものは「外照式」は高齢者などに見にくいことを理由に、採用されませんでした。写真の筐体もかなりこだわりを感じます。

 

コンコース 続き

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先ほどの4番出口の踊り場。階段とエスカレーターが出会うユニークな構造をしています。サインは4台しっかりと設置されており、野良サインは不要という作りになっています。

が、左上の豆電球が光っているような筐体が残念です・・・

 

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原理としては裏側にある2つの照明が透過され、オレンジ色に見えているのだと思います。写真でわかる通り、このつり下げサインは外照式ではなく、そのような状況も想定していません。結果的に文字の両側が照らされるというよくわからないことになっています。

余談ですが、みなとみらい線エスカレーター放送は、「改札口行、下りエスカレーターです」「出口行、上りエスカレーターです」といった簡潔な文言がループで流れます。現在でもほとんどの場所でこの放送が残っていて感動しました。優秀な「音サイン」だと思いますね。

 

きっぷうりば

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さて、改札口付近に戻ります。みなとみらい線には複数の駅で紙をかぶせたような「きっぷうりば」サインがあります。後に紹介する灰色のサインが光るとこの色になるのかもしれません。いずれにせよ汚れたり変色しているように感じ、景観によくありません。4ヶ国語化されていることがわかります。4ヶ国語化の際に交換したと考えられます。

 

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きっぷうりばサイン。照明が点灯しておらず、しかも灰色であり、なんでこんなに見にくいんだというのが正直な感想です。4ヶ国語化の際に灰色の物に取り替えられたと思われます。

 

www.rei-design.co.jp

が、開業間もない姿?もほとんど同じ姿だったようです。光っているように見えません。

 

www.yamaguchi-s-p.com

しかし、2020年時点で光っている画像もあり、よく分かりません。光り方にムラがありますが。みなとみらい線の照明が点灯していないサインには、ベースが白色と灰色の2種類があり、さらにこれは非電照用のステッカーを貼っているのか?という見栄えの良いサインもあります。この違いは私ははっきりと区別できていません。

 

壁面のサイン

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最後に壁面サインをご紹介。一枚目左側のサインは大変よくまとまっていて素晴らしいです。沿線案内も色彩にこだわりを感じます。傾きを斜め45度に限定しているのもすごいですね。二枚目左側、広告をこの部分だけにまとめているのならば素晴らしいのですが、実際には駅のあちこちにいろいろなポスターが貼られていて、美しさを損ねています。いや、言うほど損ねてはいないんですが、ただの普通の駅と変わらなくなっています。

 

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壁面のサインはカーブを描いていることが大きな特徴です。出口案内はステッカーがたくさん貼られており、そろそろ取り替える時期に来ていることを感じます。

 

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出口案内の壁面サイン。通常ならば全面黄色にするところ、とても優しい配色ですね。

 

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構内案内と点字案内。こじんまりとしています。ボタンを押すと、開業時から変わらないであろう音声が流れます。ところでこの「音声・点字案内」のフォント、ゴシック4550のようにも見えます。

 

さて、ここまで元町・中華街駅の改札外のサインを見てきました。なお新山下側は存在を忘れ、見ることができませんでした。次回は改札内とホームを見ていきたいと思います。やはり最も気になる点は照明のメンテナンスが悪いことで、消灯されている照明が目立ちます。節電のためというなら渋々理解しますが、ただメンテナンスされていないような雰囲気を感じます。せっかく素晴らしいデザインなのに残念、という点が今回のみなとみらい線では多数見られました。次回に続きます。続きはこちら