もみじの研究ノート

駅名標の奥深い世界へようこそ。

737系のあれこれを予想する!

お久しぶりです。昨日、通勤電車では10年ぶりの新型車両「737系」の詳細が発表されました。新型車両ってやっぱりワクワクしますね。昨日は半日ずっとこの車両のあれこれを考えていました。その結果、一つの記事にできるくらいツッコミどころがあるのでは?と思ったので、久々にブログを書きます。全て個人の感想・予想ですので、あまり鵜呑みにはせずにお楽しみください。

737系「通勤形」交流電車

737系電車(JR北海道 プレスリリースより)

 

まず押さえておきたいのは、この車両は通勤形電車であるということです。昨日はイラストにばかり気を取られ、すっかり忘れていました。ほう、室蘭線にも通勤電車が入るんですね。ロングシート化は時代の流れだと思いますが、通勤と言われると少々違和感を感じたりもします。いやもちろん通勤通学主体のエリアですけど。

エクステリアデザイン

プレスリリースではデザインを一番上に持ってきています。これはH100形の時とは異なりますが、733系「はこだてライナー」のプレスと同一です。

前面

はい、問題の前面です。

第一印象でH100のコピーか、となりましたが、よく見ると下部のライトがH100にはない「顔」を作り出しています。731系からの配置を継承したようにも見えつつ、211系にも似ている、古めかしくもある顔。そしてH100とは異なり拡幅車体であることも分かります。そして上部がやや傾いていることも分かります。

前面については様々な方が様々な議論をしていますが、私としての考えは「上半分は普通の顔なのに、下部のライトの位置とH100譲りの塗装が雰囲気を壊している」と言ったところでしょうか。

まずはライト。ライトっていうのは鉄道車両の顔を形作るものなんですよ。これはイラストなんで、実際眩しく光った時にどう見えるのかは実車が来るまでわかりません。それにしてもなんか微妙な位置に感じてしまいます。もうちょっと上下に動かしてみたいところです。

そして塗装です。驚くほど真っ黒。そして261系もそうですが、黄色を入れるのは宿命なんでしょうかね。このままだと2024年度のAP編成の新車にも黄色が入りそうな予感が。シカも警戒してくれるんでしょうか(適当)

別に黄色を入れるだけならいいんですけど、一番問題なのは側面の塗装と全く一貫性がないことです。黄色と緑色はどちらかと言えば寒色系。そしてビビットなカラーです。ところが側面は淡く優しい暖色系。前面と後面で「別モノ」なんですよね。まさにH100の前面をとってつけたような感じ。実車を見れば慣れるんだと思いますけど、今は違和感がありすぎます。

そして、前面塗装の謎のカーブ。他の要素がほぼ直線で統一されている中、曲線なのはここだけです。塗装も直線で揃えたほうが絶対に自然な気がしています。

最後に、白い「フチ」がないこと。鉄道車両の前面を黒く塗る文化は201系から始まったとされますが、どんな車両を見ても、ほぼ全て「周りを白色などで取り囲んでいる」ことが分かります。H100形もそうです。しかしこの737形にはそのフチが見当たりません。本当に前面真っ黒なのです。これが違和感の最大の原因ではないかと感じます。

いやぁ〜慣れない顔です。

側面

「優しさが感じられ、親しみやすく明るく若々しいイメージ」とあります。個人的にJR北海道がこのようなことを言うのは珍しく感じます。というのも、721系・731系共に座席を真っ赤にしたりドアを真っ黄色にしたりと、奇抜なデザインが多かったからです。近年のはまなす編成・ラベンダー編成もそうで、JR北海道ビビットなカラーが好きなんですよ。今回淡いピンク色を採用したの、良い意味でJR北海道ではないです。

さて、室蘭線沿線には特に桜の名所がないのに「さくらいろ」が突然登場していることには違和感がありますが、個人的には711系「赤電」の息吹を感じています。色合いは全然違いますが、711系だってJR化前後で色合い変わってますしね。731系以降途絶えていた「電車は赤」という北海道の塗装スタイルが、ここにきて復活したと喜ばしく思っています。

ちなみにこの塗装、側面のアルミ車体の汚れ防止なのでは、との予測も。735系の側面にそこまで汚れはなく、むしろ窓の汚ればかりが印象に残っていますが、確かにそうなのかもしれません。何れにせよ、735系の殺風景な側面がそのままにならず良かったと思います。それにしてもアルミ車って帯を貼れないんですかね?

インテリアデザイン

個人的にインテリアデザインはとても気に入っています。ほぼ全てが北海道オリジナルスタイルになりそうで、大変素晴らしい。一番の理想はこれに転換クロスシートがつくことなんですが、つきませんでしたはい。では、インテリアについて詳しく見ていきます。

ドア

さて、まずはドアから行きましょう。ドアの詳しいサイズは分かりませんが、735系と同様の大型のドアとなるようです。通勤電車って感じですね。しかし一部の間で予測されていた3ドアではなく、2ドアです。これは札幌圏には頻繁に入らないことを示しています。711系を3ドア化するような札幌圏です。今でも利用者数は微増であり、2ドアは入れられないでしょう。また、エアカーテンがないことから、半自動扱いを前提とした構造と言えます。

ドアのガラスの支えは、黒一色で描かれています。735系のものをそのまま持って来る感じでしょうか。733ベースだと思っていたので、ちょっと意外です。ドアレールは2つ。開閉時に点滅するであろうランプが追加されています。

さて、問題はドアチャイムです。頼むから北海道オリジナルであってくれよと思います。個人的にこの車両の評価はドアチャイムにかかっていると言っても過言ではありません。

座席

あまりにも長いオールロングシートが採用されています。40-330って言われてますが、ここまで長い仕切りなしのロングシートって全国でもそうそうないのでは。735系とは異なり、733系から続く片持ち式ですね。座席モケットがオリジナルになるとは思いませんでした。北海道内に咲く色とりどりの花をイメージしているとのこと。プレスリリースで座席の柄を掲載するなんて、とても気合が入っています。

袖仕切りは形状が変わりました。733系3000番台から採用されているカーブした形。そしてガラス部分が下方向に延長されています。流石に下すぎでは?感がありますが、どうなるでしょうか。

さて、旅行者にとっては、オールロングである以上、ロングシートの快適性にかかってきます。しかし、なんとも言えない薄っぺらさ。そして背もたれと座面の間に謎の切れ込みが入っている、何処かで見たような見たことないようなタイプ。東タイプではなさそうです。個人的には、東京メトロ18000系?京都市20系?を思わせる作りをしています。

いや〜地下鉄タイプになったら悲惨な気がしますよ。あれはあれで悪くはないですが、長距離にはどう考えても適していないように思います。おとなしく東タイプを入れてくれたほうがマシレベル。座席は最大の不安要素です。

フリースペース

この形式の大きな特徴でもあるフリースペースを見ていきましょう。車両中央部の「3ドア」部分に配置されています。このフリースペースの位置、かつては車両の端に追いやられていたものが車両の中心に来ることは、時代の変化を象徴している感じがします。座席間の仕切りはドア付近と同じ大型のものです。同じものを使用してコストを抑えたいのでしょう。

しかしこのフリースペース、手すりが設置されている以外に工夫は感じられません。ツッコミどころは、つり革がオレンジであること。え、これ、日本一高い位置にあるオレンジ色のつり革なのでは?という高さです。

個人的には、この部分に補助椅子を設置したり、143にあったようなクッションを設置したり、フリーなスペースならではの工夫をして欲しかったと思うところです。車いすスペースへの補助椅子、721系5000番台くらいの時期にはあったんですけどね。

そして、このスペースの向かい側は乗客の目線的にもクロスシートがよかったのでは?と思わないでもありません。もっとも、それをするとスーパーロングシートは消えてしまうわけで、とんでもなく座り心地のいいボックスシートが設置されない限り、オールロングの方が話題性はあったかもしれません。

さてだんだんとマニアックな部類に入っていきます。窓について。固定窓と開閉式窓の2種類あり、開閉式窓に関しては新型コロナウイルスの経験がなければ設けられなかっただろう、という見た目をしています。

面白いのが窓枠で、固定窓は735系のコピペ、開閉式窓はH100形のコピペという雰囲気をしているのです。前者は角が丸く、後者は角が角ばっていて、これは個人的に笑える要素です。が、角くらい統一させてくれ? 今後733系の後継車両もこうなるのでしょうか・・・ なお開閉式の窓は札幌市電A1200形並みに小さく、緊急時以外にほぼ意味を持たないでしょう。

つり革

つり革についてです。今回どちらかというと731系と似たタイプになりました。そして721系5000番台のように、ドア付近も棒の高さが同一です。結果として、三角型としては初めて、長さがとても長いタイプのつり革が並ぶことになりました。

注目したいのは枕木方向に並ぶつり革です。よく見るとかなり多いです。2個×10セット以上並んでません?? H100形と比較すると異様な数並んでいることが分かります。流石にそんなに要るか??って感じではありますが、「通勤形電車」要素の一つなんでしょう。

そして先ほども言った通り、フリースペース部分もつり革がオレンジ色となっています。高さがこれほど違うオレンジのつり革が並ぶ光景は、全国でも珍しいと思います。(ドア付近も携帯電話電源OFFエリアとなっていない限り)

照明

LEDであることは当たり前ですね。それより注目したいのは、733系等と比べて、照明の間隔があらかじめ間引かれているということです。同時に、北海道のロングシート車両で全ての照明が点灯する車両は未だにキハ201系のみであり、貴重なことです。

トイレ

トイレはまさかの735系タイプです。え、それ採用可能なの??って感じがしますね。だったらH100もそうしてくれよ・・・って感じです。トイレ内部については資料がありませんので、実車のお楽しみです。

ちなみに、トイレがある側・ない側で等しく幅が取られていますね。731系最終編成のようにドア位置の差はありません。

車内表示器

・・・見当たりません。運賃表示器も見当たりません。さすがに前後に1つずつ、H100と同じタイプであろう運賃表示器がつくのでしょうけど、ちょっとそれでは足りない感があります。少なくとも、ドア上にLED表示器がない時点で、札幌圏への日常的な乗り入れは考えてなさそうに見えます。

スピーカー

音鉄ならお馴染み、スピーカーチェックです。なんとなんと!網棚横に設置されているではありませんか!!!!!

近年このタイプで記憶に新しいのは、315系です。北海道なら281系ですね。まさか北海道に網棚横スピーカーが復活するとは、夢にも思っていませんでした。マジかよ。イメージ通りになってくれるとありがたいですね。

貫通扉

車両間の貫通扉は、変わらぬ国鉄スタイルが描かれています。なお、取っ手部分は一本の線が描かれていますが、どうなるでしょうか。かつて733系ではただの握り棒が採用されましたが、硬すぎたためか、3000番台ではレバータイプに戻されたことがあります。ワンマン運転時は必ず通る必要があるこの貫通路、今回どうなるのか注目です。

あと、編成間の貫通扉で怪しい点があるんですけど、これ、735系みたいに一段段差ができません?? 図面見てて、どうもスロープのような気がしないんですよね。737系、他形式との併結は不可能のようですが、乗務員室の扉は明らかに従来の高さです。この点は謎です。4両編成の場合貫通路を必ず通る必要性はありませんが、段差があるのは危険では。

号車表記

イメージ3に、貫通扉の上に号車表記が確認できます。①という見たことのない表記になっていますが、ステッカー等で何かしらの表記があるということなのでしょうか。

となると、4両編成・6両編成の場合はどうなるのでしょうか。そもそも4両での定期的な運転は想定していないのでしょうか。

なお、号車サボのサボ受けはないのでしょう。後述しますが、この形式にはこれまで北海道の車両に受け継がれてきたサボ受けの類が全滅しています。

 

改めて外を見てみる

室内を詳しく見てきたところで、もう一度外を見てみましょう。

行先表示

白色の表示となっていますね。フルカラーでしょうか。前面には「普通」側面は「普通 札幌」でしょうか。733系の表示とあまり変わらないように見えます。

本当に札幌に行くのかは置いておいて、問題は「ワンマン」をどう表示するのかについてです。決して広くはないと思われる前面に「ワンマン普通」と表示することはできるのか。H100のように2段で詰めれば可能でしょうかね。

そして、快速等を表示する機会はあるのか。うーんしばらくないでしょう。

号車表示

先ほどちらっと触れましたが、この車両、サボ受けがどこにも見当たらないんです。これまで脈々と受け継がれてきたサボ受けが、ついに消滅しています。H100の試作車では全て残っていたのに、消えるのはあっという間ですね。とても残念です。

車番表記

クモハ737-0?の表記が見えますが、ちゃんと国鉄書体ですね。少々サイズが小さいようにも見えますが、あくまでイラストなので、733系などと同じ大きさで描かれることでしょう。楽しみです。

車両の運用

朝夕の回送

最後に車両の運用について。2023年春より室蘭線(苫小牧〜室蘭間)で運用予定とされています。気になることは「手稲〜苫小牧間」での運用について触れられていないことです。

現在、キハ143形による札幌圏の運用は朝夕ともに残っていますが、これは3方向で唯一です。小樽・岩見沢からの運用は回送化されています。

特に夜など、2両編成だからといって混雑するわけでもないのに回送化された背景には、大雪などによる遅延を防止するためといった背景があるものと思われますが、苫小牧からの運用は謎に旅客扱いが続いています。

この理由を私は、室蘭線室蘭〜苫小牧間は雪による遅れが少ないこと、そして「もうすぐ札幌圏にも対応した電車が投入されるため、そのつなぎとして両方残している」のだと考えていましたが、ちょっとその目論見が崩れています。今まで見てきた通り、この車両の設備は、札幌圏には対応していない点が多々あるのです。

というわけで、朝夕の回送が残るかどうかは、個人的にはちょっと怪しく見ています。

なお残った場合、札幌駅では久々の「普通 2ドア乗車口3〜4」の手稲行きが見られるなど、期待できる要素が増えます。楽しみですね。

札幌圏の運用

737系、個人的にももっと札幌圏での運用にバンバン入るような仕様をしているものだと思っていました。しかし、2ドアな時点で札幌圏には入らないでしょうし、エアカーテン、LED表示器といった設備がありません。あるのはロングシートとつり革くらいです。この点はちょっと予想外です。

岩見沢旭川

個人的にこっちが先か、または同時かと考えていました。ちょっと意外ですが、キハ143形の置き換えを優先せざるを得ないのでしょう。乗ってて正直そんな感じがします。

しかし、岩見沢旭川間くらいクロスシートで導入してくれよ・・・と思うところです。あの区間、そして苫小牧〜室蘭間もそうかもしれませんが、乗客の平均乗車時間は長いはずです。しっかりと調査した上で、長時間乗車にも快適な座席設備をしておいてほしいと思います。まぁ特急誘導したいかもしれませんけど、普通列車も快適でないと、移動手段として徐々に選ばれなくなってしまうのではないかと思っています。

こちらの区間にはちょっと変更を加えた仕様で投入されることを期待しています。

まとめ

全体としては側面と内装に期待する車両です。なんだかんだ言って、北海道オリジナルの設備が盛りだくさんで嬉しいですね。オリジナルだからこそツッコミどころもたくさん生まれるのです。しかし前面は今の所慣れません。実車がカッコよければいいんですけど。

さて、実車がまだ出ていない今だからこそ言えるあれこれを書いてきましたが、どうなるでしょうか。とても楽しみです。鉄道趣味の醍醐味の一つは、この楽しみにしている期間だと思います。