もみじの研究ノート

駅名標の奥深い世界へようこそ。

似ているようで違う、富良野線の新しい駅名標

富良野線は標準デザインが多い路線

ラベンダー色のキハ150が似合う富良野線

富良野線旭川支社エリア内を走る路線です。ラベンダー色で走り続けてきたキハ150はいつまで見られるでしょうか。富良野線といえばこれ。独自デザインの後継車は現れなさそうで、寂しくなります。

さて、今回取り上げるのは富良野線駅名標について。独自デザインの多い旭川支社エリアの中では、最も「標準デザイン*1」の駅名標が多い路線です。これは交換された時期が関係しているはずで、次に多い石北線、宗谷南線の駅も同時期に交換されたのだと思います。おそらくは2008年〜2009年ごろに集中的に交換されたのでしょう。

富良野線で標準デザインが設置されているorいた駅をリストアップすると、次のようになります。

神楽岡緑が丘西御料西瑞穂西神楽・西聖和・千代ケ岡・北美瑛・美瑛美馬牛上富良野・西中・ラベンダー畑・富良野・鹿討・学田・富良野

はい。要は主要な駅+小さな駅でも乗降客数のある程度多い駅は全駅標準デザインとなっています。宗谷線石北線と比較すると、単純に「駅名標を取り替えるべき乗降客数の多い駅の比率が多い」とも言えそうです。

 

日焼け

西神楽駅(2022年2月)

標準デザインといえば、駅名標の日焼けです。

このような感じで日焼けしている駅が連続しています。旧型・ゴナタイプの西聖和と比べると一目瞭然です。

実は日焼けで薄くなった駅名標はこの数年でだいぶ交換が進んでおり、函館支社・本社は標準デザインに、釧路支社は標準デザイン、またはイワタ新ゴシックタイプに、旭川支社は旭川支社オリジナルデザインに、かなりの数が交換されました。そんな中、富良野線は2022年7月ごろまで、日焼けした駅名標が何駅も続く、最後の路線となっていたのです。

 

ひらがなが大きい?

最初に変化に気づいた駅は美瑛です。なんだか不自然にひらがなが大きくなっており、んん?となりました。

これを見て連想する駅は妹背牛です。

 

妹背牛駅駅名標

函館本線妹背牛駅では、2022年4月28日より町の観光誘致施策として、新たな駅名案内板が設置されました。町が駅にこのような看板を設置することは、一部駅の名所案内板を除いて見られなかったことで、とてもユニークなものです。元は高校生の提案*2、町と旭川支社の協議による設置だそうで、看板の片方にはまさかの「佐野書体」が採用されるという、なかなかアツいデザインとなっています。

しかし、この駅名標の投稿とともに「元の駅名標が色あせている」ことに気づく方がかなり目立ちました。

さすがに認識していたのか、6月27日時点で従来の駅名標も交換されました。ここ数年の旭川支社としては非常に珍しい、標準デザインです。しかしこの時、「なんかひらがなデカくないか?」と気づいたのです。よく見ると英語表記の大きさがちょっと変わっていたり、従来のデータをそのまま流用したわけではなさそうなのです。

で、今回交換された美瑛駅も同じく、ひらがながデカいのです。

 

隣の駅でも

お隣美馬牛駅です。ここでもなんだか文字の配置に違和感があります。駅ナンバリングの数字がデカくなったり、ひらがな〜漢字間と漢字〜アルファベット間の間隔が揃っていません。いびつです。妹背牛と合わせて、新種シリーズの誕生が確定的になりました。

 

「にしごりょう」の文字間隔

他の駅も確認してみると、神楽岡駅は不明ですが(追記:更新されていました)、緑が丘では更新されています。2014年に撮影された写真を引用していますが、10年も経っていないのに驚くべき変化です。

新しいものは、一見なんの変哲も無い標準デザインですが、「にしごりょう」の部分を新旧比較してみると、新しいものは字間がわずかに詰められていることが分かります。

 

ここは同じ?

西御料駅です。この駅の駅名標は面白い歴史があって、元々はローカル線利便性向上の象徴である「ロダンEB」タイプの駅名標があった駅ですが、周辺の駅と合わせて交換されています。しかし、枠については塗り替えのみで、交換されているようには見えません。にもかかわらず四隅に不審な穴が空いているのです。

しかもしかも、その穴の位置が、ホーム移転前に設置されていた3代前の駅名標の枠*3の位置に類似しているのです。この穴、一体何者?

さてさて、その西御料駅も駅名標が交換され、この穴の謎は闇に包まれました。しかし、デザインについては目を凝らしても前のデザインと変更点は見つけられません。

 

gの処理

枠とは対照的なピカピカの駅名標が眩しい西神楽駅。この駅名標も、昔のものは「g」が上側に飛び出ていましたが、新しいタイプは飛び出ないように処理されています。

 

更新されたかどうか不明

上富良野駅の駅名標は元々日焼けがなく、とても美しいことが特徴です。今回、わずかに表面が青みがかっているような気はしますが、更新されたのかされていないのか、全くわかりません。おそらく更新されてはいないと思います。

ちなみに上富良野駅には、特殊な枠に囲まれ、文字サイズや全体が一般的なものより一回り小さい、ここだけの駅名標が設置されています。枠のサイズが小さいのでしょうか。この駅降りたことがないので詳細は不明です。あとは「本場の味サッポロビール」が地方で唯一残っている駅ですね。

 

隣駅表記がちょっと変わった?

富良野駅です。ここも一見なんともないように見えますが、隣駅のひらがなとアルファベットの感覚がやや詰まったように見えます。ひらがなが大きくなったのでしょうか。ちょっと違和感を感じますね。

 

まとめ

さて、富良野線駅名標更新状況を見てきました。神楽岡・西瑞穂・千代ケ岡の更新状況が不明ですが、この3駅が更新されたとすると、富良野線内の日焼け駅名標は消滅したこととなります。3駅の中では一番マシな西瑞穂が更新されているかが個人的な注目ポイントです。(追記:神楽岡・西瑞穂・千代ヶ岡のほか、西聖和・北美瑛でも更新されていました)

日焼けがわずかに進み始めた頃(美馬牛駅 2015年1月)

ちなみにこの頃は日焼けが原因だ!と明確に特定することはできなかった時期だと記憶しています。塗り替えられた駅名標照明も徐々に錆が目立つようになってきた頃です。

もはや驚くこともなくなった日焼け(千代ケ岡駅 2022年2月)

なお新しい駅名標についてですが、日高線浜厚真駅ですでに日焼けしかけているのが確認されており、全道で浜厚真と同じ制作会社・制作方法で作られているとすると、あまり長持ちすることが期待できません。同じことを繰り返す可能性も否定できません。うーん・・・

デザイン・レイアウトは、緑が丘・西神楽は「細かい改良がなされている」と言うことができますが、美瑛・美馬牛のようなタイプは文字間隔がバラバラであるなどの粗さが目立ちます。本社管内でも豊沼のような「変な標準デザイン」が登場しており、どうしたものかといった感じです。分類するにしても難しいですね。室蘭線大岸〜黄金間のタイプとかはそれなりに統一されているんで、サクッと分類できるんですけど。

同じようで違う標準デザインの駅名標に、これからも注目です。

*1:私の独自の分類です。詳しくはこちら

*2:【観光開発講座】妹背牛駅に新たな駅名看板設置立命館慶祥中学校・高等学校、2022年8月22日閲覧。

*3:富良野線・西御料駅」さいきの駅舎訪問、2022年8月22日閲覧。