もみじの研究ノート

駅名標の奥深い世界へようこそ。

大通駅のサインが更新されました 3

サイン更新が進む大通駅

久しぶりに大通駅の話題を。現在改札外コンコースに旧サインがまとまって残る唯一の駅となっている大通駅では、2021年1月時点で壁面サインの更新が完了し、一部では吊り下げサインの更新も始まっています。今回はそのうち、まだ紹介していない連絡通路、東豊線エリアの壁面サインと、東西線西側の吊り下げサインについて取り上げようと思います。この記事で紹介する写真は、全て2020年3月下旬に撮影したものです。

 

連絡通路の新しいサイン

ほぼ一年越しの紹介です。南北線で「後部中央の連絡通路」(ホーム中央?どっちでしょう)と紹介されるエリアを紹介します。南北線から東豊線に乗り換えるような視点でお伝えしていこうと思います。 

 

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南北線麻生方面側連絡通路にある階段のサイン。以前は「西出口 西出口」と楷書体で表記され、古臭い大通駅でも特に古臭いエリアとなっていました。今回は「西改札口」と表記された多言語のものに更新。野良サインの公式化とも言えます。以前も書きましたが、なぜ一般的な「出口」ではなく「改札口」と表記したのかは謎です。自動改札機を通る「改札口」と地上へ出る「出口」を区別したかったのでしょうか。

 

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東西線ホームへの階段付近に設置されたサイン。東西線開業の頃に設置されたと思われる旧サインの様式を受け継いでいます。この機会に東豊線と同じデザインに統一すれば良いと思うのですが、行われませんでした。結果として、同じようなことを案内するサインにも、デザインが引き続き2種類存在しています。

 

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南北線真駒内方面→東西線への階段付近に設置されたエレベーター案内。今回の更新でも結局矢印による詳細案内と文章案内、ただの矢印だけの案内が混在しています。特に矢印だけのサインはエレベーター番号の記載もなく、「公式野良サイン」ともいえるものです。もっとわかりやすい方法はなかったのでしょうか・・・

 

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南北線真駒内方面→東西線への階段付近に設置されたのりかえ案内。新たに「200m」という距離表示が追加されました。全ての表示にきっちり追加されたわけではないのが残念ですが、良い配慮です。奥には旧デザインを元にしたUターンサインがあります。

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このサインは以前典型的な野良サインでしたが、今回「公式化」が行われました。野良サインはもともとのサインでは不十分な時に設置されるサインですので、乗客が真に求めている表示と言えます。野良サイン自体が悪いわけではないんですね。一定の時間が経過したらこのように「公式化」することが大切なのです。

 

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ただこのように、野良サインを何も考えずに公式化するのは良くありません。なぜ「東豊線」だけ書かれて南北線東西線がないのか。なぜ「化粧室」が書かれてその他の出口・駅事務室などの案内はないのか。「東豊線」と「化粧室」が微妙に離れている必要はあったのか。こういうことをよく検討しないと、ただのデザインの良い「公式野良サイン」になります。

 

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エレベーターの案内は以前より分かりやすくなりました。左側の「化粧室」は、野良サインを公式化したものです。

 

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東豊線方面への階段。かつては丸ゴシックによる野良サインと公式サインの中間のような看板がありましたが、公式と同じデザインになりました。上に「のりば」などの表示をつけてデザインを統一しても良かったと思います。

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東豊線のりばへの階段付近に設置されている路線図。いわゆる「営団型」で、東豊線開業の頃全国各地へマニュアルが無償配布された、営団地下鉄のサインシステムにかなり似ています。本家の営団なき今、その雰囲気を感じ取れる貴重なサインでしたが、今回更新されました。ゴシック4550がなくなってしまった悲しさ、デザインが継承された嬉しさ、両方あります。ちなみに2021年1月現在も旧型サインが1ヶ所残っており、これから末長く残るのかどうか注目されました。が、2021年3月時点で新型に置き換わっていました。残念・・・

 

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大都会の秘境、大通駅東豊線北改札口付近にあるエレベーターサイン。さっぽろ・栄町方面にエレベーター番号がないのはなぜ・・・ すぐ近くにあるからいいでしょうともなりますが、なぜ統一しないんでしょうか。

 

ホーム案内板 

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今回のサイン更新の最大の目玉はこの「ホーム案内板」です。これは2020年3月下旬の設置直後で、まだ完成していない時のもの。今後数年かけて全駅に設置していくとのことです。

個人的に気になるのは、上部の「駅名標」部分。駅ナンバリングや漢字部分を中央に持って来るべきだったのではと思います。また、(おおどおり)はとてもカッコ悪い。駅名標はその駅のシンボルなのだから、業務的に書き記すのではなく、洗練されたデザインであってほしいです。

 

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東豊線ホームののりかえサイン。南北線東西線のイラストが逆になっていることで有名(?)なサインもありましたが、交換されました。南北線付近の連絡通路にある距離表示があっても良かったかもしれません。

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東豊線付近に設置された壁面の新サインは、旧サインの上から貼られたものもあります。

 

壁面のサインはいったんここまで。次回からは吊り下げサインを取り上げていきます。

 

3月から変わる駅名標たち 宗谷線その2

3月のダイヤ改正で変化した駅名標をまとめています。目次・初めての方はこちらから。

(番外)音威子府駅

  • 未更新確認日時:3月20日
  • 更新確認日時:5月18日
  • 枠:更新
  • 板:更新
  • 駅名標フォント:新ゴDB・Helvetica

番外編。音威子府駅では2・3番線に残っていた色あせた標準デザインの駅名標が更新されました。3月時点で駅名標が傾いており、気のようなもので支えられている姿が確認できます。雪か何かでたわんでしまったのでしょうか。新駅名標は下沼・豊富と同じ雰囲気がします。

 

天塩川温泉駅

  • 未更新確認日時:2月28日
  • 更新確認日時:3月7日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上にステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・Helvetica
  • プレートフォント:現時点で不明

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更新された天塩川温泉駅の駅名標(撮影:かみかわさん)

ここもプレートの上にステッカーが貼られ、旧駅名標が残ることになりました。特記事項はありません。

 

恩根内駅

  • 更新確認日時:3月6日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上にステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・Helvetica
  • プレートフォント:不明

 

恩根内もしばらく残存。両方の駅が更新されます。更新日が3月6日で確定です。天塩川温泉なども同じタイミングで更新された可能性が高いです。

 

初野駅

  • 去年の暮れ〜今年はじめに更新したと情報あり
  • 更新確認日時:2月10日
  • 枠:更新
  • 板:更新
  • 隣駅:「おんねない」の上にステッカー?紙?
  • ステッカーフォント:新ゴDB・Helvetica

宗谷線の廃駅に伴う駅名標更新はここがトップバッターでした。1ヶ月も前から交換されるのは異例のことです。枠ごと更新された数少ない駅でもあります。 いたずらで「おんねない」が見えてしまったことがありました。その後、同じフォントで多少荒いテープ貼りで復元されました。

 

美深駅 駅舎側ホーム

  • 未更新確認日時:2月23日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上にステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・華康ゴシック
  • プレートフォント:新ゴDB・Helvetica

 

美深駅 反対側ホーム

  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上にステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・華康ゴシック
  • プレートフォント:新ゴDB・Helvetica

南美深駅廃止に伴う駅名標更新は他駅と比べて遅めで、3月9日現在も更新の情報が来ていません。ステッカーの発注間違ったりしたんでしょうかね?? なお、3月22日現在も更新後の駅名標の写真が確認できません。5月になってやっと確認できました。

 

智北駅

  • 未更新確認日時:3月7日
  • 更新確認日時:3月11日
  • 枠:そのまま
  • 板:更新
  • 隣駅:ステッカー
  • 駅名標フォント:新ゴDB・Helvetica
  • ステッカーフォント:美深と同じ新ゴDB・華康ゴシック
  • 新隣駅フォント:新ゴDB・華康ゴシック
  • 備考:数字フォントが美深と同じくおかしい

他駅より更新が遅かった智北駅。新品に交換されました。みなみびふかのステッカーは、美深駅駅名標と全く同じフォント・レイアウトのものが貼り付けられました。

廃駅後の「びふか」の表示、まさかの英語フォントが華康ゴシックのままです。初野は問題なかったのに、一体どうなっているんだ・・・

 

智恵文駅

  • 更新確認日時:3月5日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上にステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・Helvetica
  • プレートフォント:不明

 智恵文も旧駅名標が残存。旧駅名標が残るとわかった駅では一番早かった気がします。

 

日進駅

  • 未更新確認日時:3月1日
  • 更新確認日時:3月5日
  • 枠:そのまま
  • 板:更新
  • 隣駅:ステッカー
  • 駅名標フォント:新ゴDB・Helvetica
  • ステッカーフォント:新ゴDB・Helvetica

 新品に更新されました。なぜ「ほくせい 」の5文字分のシールなのかは、ちょっと謎です。

つづく。

3月から変わる駅名標たち 宗谷線その1

2021年3月で変わる駅名標の特集です。目次・初めての方はこちら

 

交換?残存? 宗谷線駅名標更新

今回の宗谷線は、駅名標を交換するのか残存するのか、基準がよくわからないですね。雄信内のような秘境駅でも、豊富のような主要駅でも、交換される駅とされない駅が混在。駅が自治体管理になるか、そうでないのかの差もよく見えてきません。一体どういうことなんでしょう。

なお、宗谷線駅名標更新をわかりやすくまとめた表を、後日この場所に掲載する予定です。少々お待ちください。

 

プレートの上にステッカー??

今回宗谷線の多くの駅で、プレートの上にさらにステッカーが貼られるという(たぶん)前代未聞の更新方法がとられました。駅の廃止前に表記変更をすることが珍しく、またそうしたことで起きたことです。

既存の駅名標の上に、灰色の大きなプレート。ねじ止めされているようにも見えます。その上に小さなステッカー。一部の駅では簡単に剥がしやすいようになのか、角がはがれかけています。

駅名標に2枚もプレートやステッカーがつけられるのはとても珍しく、当初はかなり驚きました。

 

さて、それでは宗谷線を北から順に見ていきましょう。一部の写真をフォロワーの方からいただきました。ありがとうございます。

兜沼駅

  • 未更新確認日時:3月1日
  • 更新確認日時:3月7日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:巨大プレートの上に「とくみつ」ステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・Helvetica
  • プレートフォント:現時点で不明

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更新された兜沼駅の駅名標(撮影:かみかわさん)

3月7日時点で更新されました。兜沼駅の駅名標はもともと芦川駅廃止により「とくみつ」のステッカーが貼られていました。今回はそれより大きなプレートが貼られ、とくみつのステッカーが貼られました。もともとのステッカーを剥がしたかは不明ですが、雄信内駅の事例を見るに剥がした可能性もあります。いずれにせよ、これだけ大きなプレートはここだけです。駅舎側ホームも生き残っているようです。

 

豊富駅 1番線建植式

  • 未更新確認日時:(2020年11月22日)
  • 更新確認日時:3月7日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上に「とくみつ」ステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴM・Helvetica
  • プレートフォント:現時点で不明

フォロワーの方より情報をいただきました。「かぶとぬま」と書いてあるだろうプレートがネジ留めされ、その上に「とくみつ」のステッカーが貼られています。主要駅なのに既存の古い看板が残りました。

 

豊富駅 1番線吊り下げ式

  • 未更新確認日時:3月1日
  • 更新確認日時:3月6日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:「かぶとぬま」の上に「とくみつ」の紙
  • 紙フォント:游ゴシックR・游ゴシックR
  • 新隣駅フォント:新ゴDB?・?

 これまた今回多数派の更新方法です。吊り下げ式駅名標は板を変えず、「とくみつ」の文字を消去し「かぶとぬま」と書き直し、その上に「とくみつ」の紙のようなものを貼っています。雑コラ感満載。絶対パワーポイントで作りましたね。

 

豊富駅 2番線建植式

  • 未更新確認日時:3月1日
  • 更新確認日時:3月5日
  • 枠:そのまま
  • 板:更新
  • 隣駅:「かぶとぬま」の上に「 とくみつ」ステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・Helvetica
  • その他のフォント:新ゴDB・Helvetica
  • 備考:誤字あり。英語がHelveticaで「B」華康ゴシック体で「ifuka」

問題のBifuka駅名標です。美深も豊富も旭川支社が作ったと思っているんですが、まず、「とよとみ」の文字が中央に寄っていることから、「 い か う し 」などと書かれた石北線とは別のタイプであることが分かります。英語表記が「Bifuka」ということは、美深駅のデザインを流用して持ってきたということなのでしょう。ただし、その割には両者で英語フォントが異なります。

美深の英語フォントは2012年ごろ旭川支社で流行った「華康ゴシック」、今回の豊富のフォントは標準的な「Helvetica」。なんとも不思議。そもそも「華康ゴシック」だった英語フォントが北剣淵や瑞穂などで「Helvetica」に一旦直ったのに、なぜ美深で再度「華康ゴシック」に戻ったのか、でまた豊富で「Helvetica」に直ります??っていうのも謎。

結論として、なぜ豊富の駅名標が、美深のデータの流用なのかが理解できません。両者の特徴が一致しないんですよね。

ちなみにこの駅名標、一般的な駅名標と比べて縦横比が異なり、少し縦の長さが短いと思われます。駅名標の印象の差というのはこのような些細なことも関係してきます。

 

(番外編)下沼駅

  • 未更新確認日時:3月16日
  • 更新確認日時:3月26日
  • 枠:更新
  • 板:更新
  • フォント:新ゴDB・Helvetica
  • 備考:位置変更

下沼駅では隣駅の廃止がないにもかかわらず、この時期に駅名標が更新されました。豊富駅と同一のタイプです。また、駅名標の位置がより駅中央寄りに変更されています。下沼駅の駅名標は「あしかわ」の跡が残っていたり、枠があしかわと同じものであったりと貴重なものでしたが、今回なくなってしまいました。数年前から傾いた状態が続いており老朽化が著しく、幌延町管理となる前に交換したものと思われます。

 

幌延駅 1番線旭川

  • 未更新確認日時:不明
  • 更新確認日時:3月11日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上にステッカー
  • ステッカーフォント:イワタUDゴシック・?
  • プレートフォント:現時点で不明

今回一番美しい訂正かもしれません。元のフォントそのままに訂正が行われました。

 

幌延駅 1番線稚内

  • 未更新確認日時:2月21日?
  • 更新確認日時:3月6日
  • 板:そのまま
  • 隣駅:「みなみほろのべ」プレートの上に「かみほろのべ」のステッカー
  • ステッカーフォント:イワタUDゴシック・謎書体
  • プレートフォント:現時点で不明

新ゴBの標準デザイン駅名標が、なぜかイワタUDゴシックで更新されました。1番線旭川側にある駅名標は「イワタUDゴシック」ですが、文字の大きさを踏まえると、そこに貼るためのものでもないようです。なぜ新ゴにしなかった。

英語もどこかで見たことがある謎書体です・・・わかる方教えてください。

 

幌延駅 2番線稚内

  • 未更新確認日時:
  • 更新確認日時:3月5日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上に「かみほろのべ」ステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・Helvetica
  • プレートフォント:新ゴDB・Helvetica

2番線の上屋撤去に伴い設置された、もともとちょっと違うフォントが使われているこの駅名標、こちらは新ゴでの更新。1番線稚内側と貼る場所間違えたのでは・・・なんて感じたり。ただし時の太さではこの方が違和感が少ないです。

 

幌延駅 2番線旭川

  • 未更新確認日時:
  • 更新確認日時:
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上にステッカー?
  • ステッカーフォント:新ゴDB・Helvetica
  • プレートフォント:新ゴDB・Helvetica
  • 「しもぬま」もプレート

こちらは「しもぬま」もプレートになりました。わざわざ稚内側の駅名標と違うものを発注したということです。要因としては、駅名標の日焼けが進んでおり、隣駅どおしの違和感を少なくする目的があったものと思われます。十分違和感ありますけど。当たり前ですが、「しもぬま」の下に「あしかわ」の文字はありません。

 

南幌延駅

  • 未更新確認日時:2月28日?
  • 更新確認日時:3月6日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上に「やすうし かみほろのべ」のステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・Helvetica
  • プレートフォント:現時点で不明

 南幌延駅は旧タイプがしばらく残存します! 両隣が廃止される場合、2駅で1つのプレートとなっていることも今回の特徴です。

 

雄信内駅 駅舎側ホーム

  • 未更新確認日時:2月6日
  • 更新確認日時:3月5日?
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上に「やすうし」ステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・Helvetica
  • プレートフォント:新ゴDB・Helvetica
  • 備考:「ぬかなん」ステッカーも含めて更新文字小さめ

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更新された雄信内駅の駅名標(撮影:かみかわさん)

駅舎側は旧デザインが残りました。なんと旧「ぬかなん」ステッカーが剥がされ、両側用のプレートが貼られています。しかも、文字が旭川支社タイプ用の小ささです。これは純粋なミスでしょうか、それとも発注した側は気にしていないのか・・・ 2番線のデータをそのまま流用した可能性もありそうです。豊富ではそんなことないんですけどね!

ともかく、これはこれでここにしかない駅名標です。

 

雄信内駅 反対側ホーム

  • 未更新確認日時:2月28日
  • 更新確認日時:3月5日
  • 枠:そのまま
  • 板:更新
  • 隣駅:「みなみほろのべ」(長体)の上に「 やすうし 」のステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・Helvetica
  • プレートフォント:不明

いや〜更新されてしまいました。一方枠はそれなりに古いものが引き続き使用されるようです。駅名標のレイアウトはそれほど特徴的なことはありません。それにしても基準がよくわからないですね。

 

次回に続きます。こちら。次回は名寄までまとめることを目標にします。

 

3月から変わる駅名標たち はじめに

出会いと別れの季節がやってきました

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気分爽快!! サロベツ(2017年8月)

今年のダイヤ改正では、宗谷本線を中心にたくさんの駅が廃止されます。これに伴い、駅名標には隣駅が改められるという変化が起きます。今回、その変化があまりにもツッコミどころ多すぎ!って感じなので、記事にしてまとめていこうと思います。

↑ 個人的には「おいしいね とよとみ牛乳」のイメージが強い豊富駅2番線。この駅名標は更新されてしまいました。ダイヤ改正後からはローマ字が「Bifuka」と改正されます。間違っても「ほうふ」などと読んではいけません。「B」は横に長く書くようにしましょうね。ちなみに名所案内は今も残っているとのこと。「稚咲内バス20分」の表記はどうなるでしょうか。

 

やはり表示板ごと更新 しかし残った駅も

 私は以前このように指摘していました。やはりそのような駅も多く、実際にこの雄信内駅の駅名標も姿を消しました。ただし、南幌延駅など古いものが残った駅もあり、ちょっと驚き、またありがたみを感じています。ただし、油断は禁物です。石北線などで隣駅のステッカー対応をした後、新しいものに更新されている駅がたくさんあるからです。

 

ツッコミどころ多すぎ!

と思ったんですが、一つの記事ではまとまりそうにないので、この記事は「はじめに」としています。もうほんと今回、ツッコミどころばっかりなんですよ。下に箇条書きしていきましょう。

  • 美深と和寒駅名標更新早すぎ!
  • 美深も和寒もフォントバラバラすぎ!
  • 初野も交換するの早すぎ!
  • デザインまた細字に戻った!?
  • 隣駅廃止前に交換するの!?
  • そんなに古い看板交換しないの!?
  • そんなに新しい看板交換するの!?
  • 吊り下げ式駅名標、ステッカーじゃない!
  • 吊り下げ式駅名標の紙、適当すぎ!
  • プレートなんて初めてでは??
  • プレートの上にステッカー!?
  • ハイフンの後ろの大文字小文字バラバラすぎ!
  • 豊富(Bifuka)はなぜ起きたんだ??
  • 幌延のステッカー、なんでフォントがバラバラなの!?
  • 雄信内の旧「ぬかなん」シール、剥がしたの!?
  • 雄信内のステッカー、文字小さすぎ!

いくらなんでも多すぎです。札幌市営地下鉄でもここまでツッコミが出てくるか怪しいです。まあなんだかんだ、それだけワクワクの駅名標更新となったわけで、駅の廃止は悲しいけれど思わぬ形で趣味的な面白さがザックザク出てきました。

 

今回登場した様々なタイプ

今回お目見えした駅名標やステッカー、プレートには様々なものがあります。

駅名標

  • 生田原・安国タイプ(細字・ナンバリングHelvetica
  • 石北線上川口タイプ(細字・ナンバリング数字右寄り・英語字間広め)
  • 宗谷線今回の標準タイプ(細字・ナンバリング謎フォント・英語字間広め)

ステッカー・プレート

  • 新ゴDB・Helvetica 大タイプ
  • 新ゴDB・Helvetica 小タイプ
  • 新ゴDB・華康ゴシック 小タイプ
  • 新ゴB・Helveticaタイプ
  • UDゴシック・謎フォントタイプ
  • 駅名標と同時に貼られたタイプ
  • 吊り下げ式駅名標 游ゴシックタイプ

いや、多すぎです。何度でも言いますけど、札幌市営地下鉄ですか??

 

Twitterの情報を引用し、まとめます

次回の記事から、Twitterの情報を参考にしながら、この駅はいつ頃看板が更新され、なんのフォントなのかをまとめていきます。最近の鉄道界では著作権の問題や無断転載の問題が多く発生していますが、Twitterの規約上認められた「埋め込み」機能を活用し、引用した情報を元に研究を行っていくことは問題ありません。

Twitterの埋め込み機能。そういえば蘭留駅の情報が入ってきませんね。この看板生き残ってないだろうなぁ・・・

今回の記事の最大の目的は、後世にわかりやすい情報を残すことです。Twitteに埋もれた情報を誰かがまとめ、整理していかないと、そのうちどこがどうなったのかわからなくなってしまいます。それを防ぐための、次回からの記事作成です。まあ需要があるかは別なんですが・・・

 

情報提供募集します

この駅、この日には看板変わってたよ!というような情報のうち、下の記事に書かれていない情報はぜひツイッターやブログコメント欄などでお寄せください。お待ちしています。

 

目次

そんなに何項目にもならないと思いますが、一応目次を作っておきます。記事が完成次第追加します。それではお楽しみに。

山線の大規模運休と、利用者への情報提供

はじめに

この記事は、JR北海道の社員が新型コロナウイルスに感染したことを非難するものではありません。また、列車に多数の運休が発生したことそのものを非難するものでもありませんどちらも仕方のないことです。主に、多数の運休が発生したことについて、利用客にどう説明したかを取り上げ、考える記事です。2回に分けて掲載します。 前回の記事はこちら

 

今回の運休を、どのように案内したか

どのような形であれ、列車が運休することは利用客に影響が出ます。山線のような1時間に1本の路線では、とても大きなことです。今回、私は利用客への案内体制が不十分ではなかったかと感じています。

 

謎のニセコライナー運休

  • 列車運行情報への記載が遅れた

ニセコライナーの運休情報が掲載されたのは、本来札幌駅を出発した後です。おそらく大変急遽運休が決定したものと思われますが、30分近く掲載が遅れたのはどのような理由があったのでしょうか。疑問です。

 

山線での異変

  • 運休理由がまちまちであった

ニセコライナーや、運休した普通列車の運休理由について、「運用上の都合」というちょっとよくわからない表現がされました。また、小樽駅では「車両の故障」と案内されたという証言もあります。

確かに、「社員が新型コロナウイルスに感染した」という情報は、情報の取り扱いに十分慎重になる必要があります。ただし、車両の故障などと事実と異なる説明があったとしたら、それは不適切ではないでしょうか。

  • タクシー代行の基準がまちまちであった

小樽駅倶知安駅へはタクシー代行が実施されていますが、倶知安長万部方面はタクシー代行が行われませんでした。この長い区間をタクシー代行するかしないかは乗客にとって相当な負担の違いがあります。おそらく対応する規定や本部からの指示がなかったことが原因と思われます。

なお、タクシー代行は旅客営業規則に記載されている対応ではなく、あくまで便宜的なものという見方もあります。また、費用が高額になるためでしょうか、駅員の判断にも相当苦労するようです。倶知安駅では無賃送還の取り扱いが行われており、法的には対応の問題はなかったことになります。・・・が、この対応ではJRへの信頼は落ちるでしょう。

倶知安駅での駅員の対応は乗客を混乱させており、決して丁寧なものではありません。これも本部からの指示がなく、乗客の対応を駅員だけでは判断できなかったという事情がありそうです。なお、この時点で倶知安駅員も多くが勤務できない状態となっていたかもしれません。ただし、駅の放送を利用した非対面・非接触の案内などはできたのではないでしょうか。

 

日付が変わるころ、理由が判明

  • プレスリリースに曖昧な部分が多かった

検査対象となる社員が「多数」に及ぶ、長万部~小樽間の「多くの」列車に運休などと、抽象的な表現が多くなっています。また、具体的な運休列車について同時に発表されることはありませんでした。また、社員が運転士なのか保線員なのか指令員なのかもよくわかりません。これでは明日の列車にどのような影響が及ぶのか、よくわかりません。

ちなみに、JRが「多くの」列車という表現を使うことは少なく、大抵「一部」です。そこから、今回の運休は相当多いだろうと推測することはできます。

  • 運休列車の発表が遅かった

山線に大変な影響をもたらす発表です。沿線の利用者への周知を図る面でも、沿線利用者が就寝する前に発表した方が望ましかったです。運休列車の発表時分については、学園都市線最終運行を前日夜に発表するという、「できるだけ来ないでくれ」という意図を感じるような発表をしたことがありました。結果として、多くの利用者は朝起きた後このことを知ったはずです。

なお、これは必ずしもJRの対応が遅かった訳ではなく、できる限り頑張ってこの時間だったのかもしれません。が、最初の1730分の運休開始から6時間以上経ってるのを考えると、遅いなという印象を持ちます。

  • 列車がどのくらい運休するかよく分からなかった

列車運行情報にはいつものように運休列車が羅列されましたが、列車はどのように運行するのかが、全く見えてきません。そのため私とその他数名の方が、時刻表上に運休列車を表示する作業を行いました。その結果、長万部倶知安間は終日運休、小樽~倶知安間も午後は終日運休ということが判明しました。列車運行状況にこのことを書いてくれれば、わざわざ調査する必要はありませんでした。

 

これは驚いたことであり、JRの素晴らしい対応でした。夜中の1時に、6時発の代行バスを運行するめどがつきました。多くも少なくもある6本ですが、沿線には路線バスも運行されており、最低限の移動手段は確保できたと言えます。ただし、長万部倶知安行きは朝の1本のみ、黒松内蘭越間などの平行路線バスも皆無であることを考えると、もはやこの区間は全く移動できなかったでしょう。

 

翌朝の報道

  • 「函館線の一部運休」との表現が多かった

翌朝になっても、JRのホームページに「長万部倶知安間は終日運休」などとは掲載されませんでした。また、報道も「函館線で一部運休」と言ったタイトルがほとんどでした。これは、函館線が函館~旭川間であり、倶知安長万部間のすべての列車が運休しても、全体としては一部であるということが理由です。ただし沿線利用者がこの報道を見ると、事実と異なるようなタイトルになっていると感じるでしょう。

ちなみにもし倶知安駅が「ニセコ」という名前であり、かつ「大規模運休」などと報道された場合、この運休が全国的に広まり「あのスキーリゾートへの鉄道が止まった」などと拡散される可能性がありました。倶知安知名度は低く、一部運休という見出しであり、結果として誤った情報が広まらなかったことは良かったのかもしれません。ただし、それを心配して影響が少ないように見せるというのもなんか違うような気もします。

  • 人員がどのように不足しているのかがよく分からなかった

今回の事態により影響を受けた人員は、複数の報道を照らし合わせると「運転士ら社員約50人」「函館線の運転士あわせて24人」などと報道があり、「残りの26人は保線社員なのだろうか?」と推測ができます。しかし、朝の限られた時間に複数の報道を読み比べる利用者はまずいません。報道で明らかになるのであれば、JRのサイトにも同じことを書いておくべきではなかったのかと思います。「運転士がいない」「除雪作業員がいない」「指令員がいない」で、それぞれ影響は変わってくるのです。

  • 「詳しくはホームページで」が詳しくなかった

倶知安駅の張り紙には、「詳しくはホームページで」というおきまりの一文が添えられていましたが、実際にはその張り紙が一番わかりやすい内容でした。ホームページをたどっても、運行情報には「乗務員の運用上の都合により」と一言しかありませんでした。「ニュースリリース」は本来報道機関向けの情報であり、駅にいる利用客がスマートフォンであの資料を閲覧するなんて無理です。ホームページ内「新型コロナウイルスに関するお知らせ」の欄に山線運休のわかりやすい資料を掲載するなどしておくべきでした。

  • 外国人への案内がほとんどないように見えた

倶知安地区は外国語を話す方が数多く在住しています。観光需要が全くない中においても、外国語対応は必要になってくる地域だと思われます。そのような方に対して十分な情報提供があったのかは、今後の課題です。

  • 旅行客への案内も不足気味であった

この日、函館線が「一部運休」と理解して余市倶知安に行くと大変なことになります。228日をもって、札幌や小樽での不要不急の外出自粛の呼びかけは終了しています。自粛解除だ旅行に行こうと考える人の是非はおいておいて、一日散歩きっぷ倶知安地区への旅行を推奨したりしている中、こんな時期のこの曜日、この区間に旅行客はいないだろうと考えず、適切な情報提供が必要でした。なお札幌駅ではその旨のお知らせがありましたが、その他の駅ではあったのでしょうか。たぶん札幌圏全駅統一での張り紙とか、されてないようにも思うんですよね。疑問です。

  • 事態がいつ収束するかの案内がなかった

この事態がいつまで続くかについてのアナウンスは、全くありませんでした。報道機関がJRに取材しても、「不明」とのことでした。これは仕方がなかったのかもしれませんが、大江戸線ではホームページで人数などを公表しています。情報提供が不足していると言えます。

 

大雪の32

  • 大雪での運休と今回の事態に関連があるか分からなかった

32日は大雪となり、すべての列車が運休しました。また、33日も除雪作業に伴い、倶知安長万部間が終日運休。この大雪と何の関係があるんだと思われるかもしれませんが、この計画運休、特に3日は「低気圧接近に伴う輸送障害が見込まれる」ためです。つまり列車が線路に埋もれる、吹雪で前が見えなくなるという物理的な理由のほか、ポイント不転換などで列車の運行に影響を及ぼし、乗客の安全が確保できないといった理由も含まれます。ポイント不転換の解消には保線作業員がたくさんいてすぐに対応できれば解消することであり、それが人員不足でできなくなっている、などということがあれば、関係があるのです。それを判断する情報が、ホームページ上で全く提供されませんでした。

 

大雪の翌日

  • 間引き運転の理由がよく分からなかった

これは間引き運転全体に言えることでもあります。大雪の翌日も小樽~倶知安間では間引き運転が実施されました。これも今回の事態による人員不足が関係しているのかいないのか、十分な案内がありませんでした。

 

事態の収束

  • 「全員の陰性が確認」はわかりやすく掲載された

この案内は、列車運行情報にわかりやすく掲載された唯一の内容です。これにより、利用客も初めて「列車運行情報」の確認だけで、事態が収束しもう影響はないことが理解できます。

  • 事態の収束が全く報道されなかった

全員の陰性が確認されたことについて、プレスリリースなどは掲載されませんでした。そのため各メディアも知らん顔。全くと言っていいほど報道されていません。記者たちは列車運行情報も全く確認していないんだな、ともなりますし、いつから通常運行となったのか、後世に記録が残らないという懸念もあります。

 

他社の案内をちょっとだけ比較する

他社の案内の例として、都営大江戸線札幌市営地下鉄南北線を比較します。ちょっと調べたことだけで比較します。ちょっと調べただけで十分な情報が出てくるということは、その会社の情報提供体制は充実しているということです。

都営大江戸線の例

検索するワードがちょっとアレですが、「大江戸線 コロナ」で検索すると、以下の2つが見つかります。

新型コロナウィルスに関する都営交通の対応について | 東京都交通局

https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/corona/

交通局職員の新型コロナウイルス感染について | 東京都交通局

https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/pickup_information/news/subway/2020/sub_i_202012319488_h.html

 上の「新型コロナウイルス感染症に伴う都営交通の対応」を見ると、現在「新型コロナウイルス感染症に伴う運休等はない」ことがわかります。

また、下の「交通局職員の新型コロナウイルス感染について」を見ると、感染した職員が何人いるのかなど、詳しい情報が掲載されています。

 

減便発生当時

大江戸線での減便発生当時の「東京都交通局トップページ」のアーカイブを見ると、「大江戸線の運行予定について」がトップに掲載されています。

大江戸線の運行予定について 緊急ニュース | 東京都交通局

http://web.archive.org/web/20201230062719/https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/emergency/20201228205255136.html

ここには大江戸線の運行状況のみが掲載されています。

 

下部に行くと「トピックス」に、次のお知らせが掲載されています。PDF形式ではなく、スマートフォンでも見易いものとなっています。

都営地下鉄大江戸線の運行について | 東京都交通局

http://web.archive.org/web/20201229040454/https://www.kotsu.metro.tokyo.jp/pickup_information/news/subway/2020/sub_i_202012269484_h.html

 乗務区でどのような対応をしたのかなどについても、細かく掲載されています。

南北線の例

南北線で発生した異例の出来事といえば、北34条駅の漏水です。「南北線 漏水」で検索すると、2番目に下のサイトが見つかります。

南北線北34条駅浸水に伴う各種対応について/札幌市交通局

https://www.city.sapporo.jp/st/unnkyuu/r021214_nambokuline.html

 これを見ると北34条駅を利用する場合にどのような影響があるか、現在どのような作業をしているかなどが項目別に記載されています。

この事象では、漏水の発生直後からとても詳しい情報提供がなされていたと思います。これ以外のページに飛ぶ必要がないんですね。

このように、他社では細かい情報提供がなされています。この2社は公営交通だからという見方もできますが、利用客にとってそんな違いがあっては困りますし、同じ公共交通機関ですから同じだけの情報提供をしてほしいと思います。

 

JR北海道もわかりやすい情報提供を

JR北海道にも「新型コロナウイルスに関するお知らせ」のページがあります。「JR北海道 コロナ」で検索すると、一番最初に下のサイトが出ます。ちなみに、山線の運休は私の場合は、5番目くらいにNHK朝日新聞などのニュースがヒットします。

新型コロナウイルスに関するお知らせ|お知らせ|JR北海道- Hokkaido Railway Company

https://www.jrhokkaido.co.jp/korona/

このページ、今回の事態が発生しても全く更新されることがありませんでした。

今後、JR北海道の記者会見などの機会があると思われますが、会社は今回のような事態をどの程度想定していたのか事態が発生した後の対応は適切であったか、しっかりと検証してもらいたいと思います。

今回十分に情報が開示されなかったのは、事態がおおごとになって拡散されることを避ける狙いがあったのか。そうであれば少し残念です。この社会が「批判が怖いから、新型コロナウイルスに感染したことを言い出せない社会」だということになります。望ましくありません。感染したことを批判したり、誹謗中傷する人が悪いのです。また、感染症拡大防止と乗客の安全のために行った、今回の大規模運休そのものを批判することもあまりできません。それ以外にやりようがありません。(やりようがないというのは、他の部署から人員を集めることなんて無理だろうなと察せるからです。これは一般客にも周知されているとはいいがたく、情報周知が必要かもしれません)

ただし、今回の事象を、倶知安駅で「クラスターが発生した」といった事実と異なる情報が拡散したのも事実です。私もなんとなく、全員が「感染」して業務できなくなったんだな」なんてイメージを一時持ったりもしました。人々の受け止め方にそのような点を踏まえる必要があるのは難しいところです。

公共交通機関の運行、場所によっては「地域唯一の公共交通」(タクシーを除く)が失われた今回の事態。これはどこでも、交通以外のどの業界でも起きうることです。今回の件を教訓にし、同じようなことが起こらないようにして欲しいと思います。お金もないなかやれることは限られていますが、できることはあるはずです。

そして今回、報道機関があまりにこの問題に無関心な気がしてなりません。この事実を伝え、教訓にすることができるかはメディアにかかっています。私のような個人が出典のない記事をこうやって書いても、ほとんど生かされません。内容の信頼性が担保できる報道機関に、ぜひ今回の事態を検証してほしいと思います。

JR社員の感染による、山線の大規模運休を振り返る

はじめに

この記事は、JR北海道の社員が新型コロナウイルスに感染したことを非難するものではありません。また、列車に多数の運休が発生したことそのものを非難するものでもありません。どちらも仕方のないことです。主に、多数の運休が発生したことについて、対外的に、利用客にどう説明したかを取り上げ、考える記事です。2回に分けて掲載します。

 

異例の事態

先日、倶知安保線管理室に勤務するJR北海道の社員が、新型コロナウイルスに感染しました。また、その影響で山線(函館線小樽~長万部間)の列車が多く運休する事態となりました。

2021.02.28

当社社員の新型コロナウイルス感染について

https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20210228_KO_coronaunkyuu.pdf

保線管理室には休憩所や宿泊所があります。これが、どうやら倶知安駅社員や山線の運転士と同じ場所のようなんですね。そのため、多くの社員が「感染リスクが高い」と判断されてしまい、影響が広がりました。

交通事業者の社員が新型コロナウイルスに感染し、通常の運行体制が取れなくなってしまう事象は、これまで都営大江戸線やくしろバスなどで発生しています。今回のJR北海道の事象は、大江戸線の「3割減」をはるかに超える事象になってしまったと言えます。もちろん、大都会の路線と新幹線開業で廃線が検討されるような閑散路線ですから、影響を受けた人数は限られますが、列車の運行が100パーセント止まった区間もあり、大きな出来事だと思います。

 

謎のニセコライナー運休

上のプレスリリースが出されたのは、228日の夜遅く、日付が変わる頃です。ところが、山線ではそれより前から謎の列車運休が発生していました。複数のツイートを引用させていただきます。

 537分、快速ニセコライナー突然の運休。「運用上の都合」とのことです。駅のアナウンスなどでそう放送されたと思われます。琴似駅の電光掲示板には、ニセコライナーの表示がなかったようです。

 この当時、Kitakaエリア運行状況には「出発前」と表示され、運休に関する案内はなかったようです。Kitakaエリア運転状況と通常の「列車運行情報」はある程度連携されているので、この時点では両方に記載がなかったことになります。

20212281816分現在

【列車への影響について】

本日(2/28)、運用上の都合により、函館線の一部列車に運休が発生しています。

・札幌 1750分 発 倶知安 行き 快速ニセコライナー : 全区間運休

・小樽 2135分 発 倶知安 行き 普通列車 : 全区間運休

 列車運行情報に「運用上の都合により」と掲載されたのは1816分。キハ201系で運行する2本の列車の運休が掲載されました。私これリアルタイムで観てたんですけど、「なんの運用の都合か知らないけど、そんな理由で1時間に1本の貴重な列車を運休するなよ~まあ宗谷線ではよくあるけどね」なんて思ってました。

 

山線での異変

さてそんな頃、山線では複数の異変が。

 倶知安駅長万部行きの列車に乗っていた方が、列車の外に放り出されています。

倶知安駅で列車から降ろされた方のツイートです。ここには最低限書かせていただきます。倶知安駅で保線員と思われる方から案内があり列車を降りた後、長万部方面の列車は全て運休、代行バス、代行タクシーもなし、乗車駅の小樽まで無賃送還されています。小樽駅では「車両の故障に伴って運用上運休が」といったアナウンスがあったようです。十分な説明がないまま行って帰って来させられるという、大変気の毒なことです。

小樽から電車が運休だったんだけど切符代でタクシー乗れるようになる神対応だった! pic.twitter.com/uy8tTAfu1C

— たる (@tartar_fed) 2021年2月28日 

一方、19:30ごろ小樽駅にいて、倶知安までタクシー代行の対応を受けた方がいます。 

・小樽 1652分 発 長万部 行き 普通列車倶知安長万部 間 部分運休

・札幌 1750分 発 倶知安 行き 快速ニセコライナー : 全区間運休

・小樽 1930分 発 長万部 行き 普通列車 : 全区間運休

・小樽 2135分 発 倶知安 行き 普通列車 : 全区間運休

・小樽 2230分 発 倶知安 行き 普通列車 : 全区間運休

 列車運行情報には、19:0019:30の間に3本の運休列車が追加。影響が山線全域にわたっています。

 

日付が変わるころ、理由が判明

2021.02.28

当社社員の新型コロナウイルス感染について

https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20210228_KO_coronaunkyuu.pdf

 午後1150分ごろ、プレスリリースが出ました。検査対象となる社員が「多数」に及ぶ、長万部~小樽間の「多くの」列車に運休が発生などとの記載が、小さくあります。どちらも具体的な数を示さない抽象的な表現です。ちなみにURLが「coronaunkyuu」となっており、JR社内にも「運休やばい」という雰囲気があったものと思われます。当時運行情報には運休情報はなく、いや〜どれほどの影響だろうかと心配しました。

は!?!?!? 大江戸線での減便は「3割」でしたから、そのような「間引き運転」を想定していました。スマートフォンを覆い尽くす運休情報に愕然。

 

まさかの午後全面運休

 運転概況の把握に役立つ資料を作成しました。自分自身、何が動いて何が止まるのかわからなかったからです。作っていくうちには?こんなに運休!?っていうのがどんどん見えてきて焦りました。午前中の中心に数少ない列車が運行された後、全面運休となります。この時点で代行バスの運行について発表はありませんでした。

個人的にはこの運休の仕方について、代行バスの確保が容易な午後を中心に運休した可能性、午後になると線路のメンテナンスが必要な時間に入るが行えず、線路の安全が確保できない可能性、午後は除雪車を運転できず、線路が雪に埋もれる可能性、の3つを推測していますが、真相は不明です。

www.hokkaido-np.co.jp

午前12分、道新の記事を発見。「函館線一部運休」という表現です。「乗務員ら約40人」との記載があります。

【バス代行の実施について】

長万部 6時05分発 小樽行き 普通列車長万部倶知安間、倶知安~小樽間バス代行

倶知安 12時35分発 長万部行き 普通列車:全区間バス代行

・小樽 16時52分発 長万部行き 普通列車:全区間バス代行

・札幌 17時50分発 倶知安行き 快速ニセコライナー:小樽~倶知安間バス代行

・小樽 19時30分発 長万部行き 普通列車:全区間バス代行

・小樽 21時35分発 倶知安行き 普通列車:全区間バス代行

110分ごろ、代行バスの案内が出ました。こんな時間に朝6時の代行バスが手配されるのは、なかなか衝撃的で、よく手配できたなと驚きました。といえども、多くも少なくもある6本です。

この頃、ツイッターではJR北海道の信頼が地に落ちた、というようなツイートが多く流れました。正直私は、え、そうなの、と少し驚きをもって受け止めました。「手稲は田舎」と揶揄される現状に問題意識を持て、という趣旨のツイートもしましたけど、内心はJRが可哀想でもありました。まあ確かに遅れ案内は雑だけど、JR北海道に対し愛着はあったからです。ボロボロの駅舎の無人駅に行っても遅れ放送がちゃんと流れることに感動したこともありました。列車接続で助けてもらったこともあります。そんなこんなで、色々と事情を知っているからこそかもしれません。

ここで私は就寝しました。なんかもう眠れなかったですけどね。 

 

翌朝の報道

山線の利用者も、ほとんどが朝になってからこの大規模運休を知ったと思われます。発表のタイミングがもう少しタイミングが早ければよかったのですが、現実には厳しかったのだろうと思います。

運転士足りず函館線で一部運休 JR北海道、社員が感染(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/97b281656f681a170a093aad6f02d94339127ca0

226分。「運転士ら社員約50人」との記載があります。運休する主な列車が掲載されていますが、大雑把すぎです。

JR社員感染で函館線の一部運休|NHK 北海道のニュース
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20210301/7000031225.html

朝。720分にWEB掲載。初めて「函館線の運転士あわせて24人」の記載があり、これ以外の人は保線社員などかと推測することができます。

 倶知安駅の張り紙。「当社社員が新型コロナウイルスに感染していることが判明し、同箇所の宿泊施設を使用していた乗務員のPCR検査を行うため」大変簡潔で分かりやすい文章です。ただし、「詳しいことはJR北海道のホームページを」とありますが、これより詳しい情報はホームページにはないようなものです。この一文はおそらく適当に添えた文章と思われますが、悪いのはこの張り紙を作った人ではなくホームページの情報提供体制です。って話を後でします。

 「当社社員の新型コロナウイルス感染の影響により」札幌駅西改札口の3画面モニターでもだいたい似た案内がされています。

"JR函館線「コロナ運休」が深刻化した背景 ローカル線の苦境が原因?識者の見解は(J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース"

https://news.yahoo.co.jp/articles/70282bdb464de1a50a3821d0c6a8cd68005ef412

3月1日夜に配信された記事。今回の件で一番詳しく報じられています。「運休の原因は検査対象者が多く発生したこと、また検査対象の社員は陰性が確認され次第復帰するが、業務への復帰時期や通常ダイヤに戻る目途については不明とのことだった。」とのことです。

 

大雪の3月2日

32日は道内の広い範囲で大雪となり、「北海道内の在来線特急はすべて終日運休」というこれまでにない計画運休が実施されました。山線も全線で運休となります。なお、この日の山線の運休が、社員の新型ウイルス感染が影響しているのかしていないのかについて、発表は全くありませんでした。

 32日の倶知安駅北海道新聞の担当者が伝えています。16時ごろの時点で、3日の倶知安長万部方面の全列車、小樽~倶知安間の少なくとも2本の運休を決めています。バス代行輸送はないとのことです。

 3220時。小樽~倶知安間の一部列車運休が追加され、倶知安長万部間の全列車に運休が計画されました。

この通りです。3日の天気は基本的に曇りか晴れであり、吹雪で視界が利かない訳ではありません。除雪作業がいかに素早く終わるかが、運転再開時刻に影響します。その作業に今回の人員不足が影響している可能性があるのです。が、それについて何も発表されていません。

2021322206分現在

【雪による列車への影響について】

降雪の影響により、3/3出発分の一部列車に運休が発生しています。また、以下の区間で運転を見合わせています。

3/3 運転見合わせ】

倶知安長万部間:終日

226分に初めて倶知安長万部間終日運休が記載されました。この時間までなぜこの一文がなかったのかは謎です。

 

大雪の翌日

  33日。この方が乗車した列車は、蘭島駅や然別駅で、除雪作業の影響でなんども足止めされています。この時の天候は曇り。なぜ除雪作業が長引いたのかはわかりません。社員の新型ウイルス感染により、人員不足になっているのではないかと推測もできますが、わかりません。たぶん違うのでしょうが、確実に判断できる情報がありません。

 

事態の収束

1851分。全員の陰性が確認されたため、除雪作業による運休を除いて通常通り運行。ほっとしました。

[ 3/4 出発 ]

函館線

運休

長万部 0605分 発 小樽 行き 普通列車長万部倶知安 間 部分運休

運休区間に対して、バス代行を行います。

除雪作業が長引くタイプの運休では珍しく、バス代行輸送が行われる予定です。

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 以降、列車運行情報には「社員は全員が陰性」「山線は通常通り運行」という文が掲載されるようになりました。

なお、3/4 10:00現在このことに関するプレスリリースなどは発表されていません。そのためなのか、山線が通常運行に復帰したことを伝えるメディアは一つもありません。

 

ちなみに

これは本題とは関係のないおまけです。

 昨日の大雪に伴う除雪作業の遅れをお詫びするお知らせが掲載されました。このようなお知らせを掲載するのは最近始まった取り組みで、資料中3回も「お詫び」されています。

 「必要な車両が用意できない」ことによる運休は宗谷線などでしばしば発生しています。これまで「車両繰りのため」と掲載されることはありましたが、利用客にわかりやすい表現で伝えたのはこれが初めてと思われます。

 

さて、今回はここまでとします。次回、この事態で多数の運休が発生したことについて、利用客にどう説明したか、それに問題はなかったかを考えていきます。

 

次回の記事・・・こちら

滝川 スマイルビルの概要

スマイルビル閉鎖!?

www.hokkaido-np.co.jp

とうとうあの廃墟ビルが・・・ 滝川駅前の「スマイルビル」の閉鎖が報道されました。今後市がどのように動くかにもよりますが、3月をもって立ち入れなくなる可能性が高そうです。

このスマイルビル。個人的に昔から気になっていたんですよね。噂は聞いていたので、一体どんなところなんだろうと。全道全国各地の「寂れた商業施設」に興味を持ったのもこの建物が原点です。今回はそんな「スマイルビル」について研究してみました。スマイルビルにはWikipediaがなかったので、今回はそれをイメージしたものとしました。実際にWikipediaに新しい記事を作っても良いのですが、出典が不十分なことも色々書いておきたいなと思ったので、こちらの方で。一応文献を色々調べて書きましたが、まだまだ謎な部分も多いので、今度新聞を漁ってみようと思います。

 

滝川駅前再開発ビル

滝川駅前再開発ビルとは、北海道滝川市栄町3丁目9-2にある再開発ビルである。通称・スマイルビル。

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ビル外観(2020年12月)

 

歴史

バスターミナル移転による商業機能の低下

1968年(昭和43年)11月、当時滝川駅前地区にあった中央バスターミナルが滝川市神町2丁目に移転した。これを契機に人の流れが変わり,駅前地区の商業機能が著しく低下した。これを受けて1971年(昭和46年)に実施された滝川市広域商業診断において,新たな商業核を滝川市の玄関口である駅前地区に配すべきとの指針を得た。一点集中性の高い中心市街地に面的な回遊をもたせるべく、地元地権者が中心となって駅前地区の再開発事業を発意した*1

西友の出店とダイエー

1978年(昭和53年)に西友が出店を表明した*2。しかし、当時同じく滝川市内での出店を計画していたダイエーと深い関わりを持つディベロッパー会社「高雄ビル」が、ビル建設建設予定地の土地を収得した為、地元組合が土地の返還を求めていたが返還に応じず、建設着工が難航し西友が出店を撤回した。こうして、ダイエーが地元組合と再開発ビルの核テナントとして出店の交渉にこぎつけた。仮に出店が決定した場合、ダイエーは当初出店を計画していた西町の土地を滝川市が買収することを要求していた。ところが数ヶ月後、高雄ビル側が、ビル完成後の代表権と株式51%ダイエー側に譲り渡すことを条件に地元組合に提示した為、地元組合側が反発し出店が破談となったことが明らかとなっている。その後、出店を撤回していた西友が核テナントとして出店することが決定した*3。(この辺は後日もっと調べたいと思います)

西友の開業と周辺への影響

1986年(昭和61年)109日、西友滝川店が開業。西友は地下1階~3階に出店した*4ほか、西友を含めて21店舗がテナントとして入居した*5。買い物、食事、文化、教養、スポーツ等の施設機能を有する複合商業施設として駅前再開発ビルが誕生し,滝川市中心市街地の賑わいの創出や周辺商店街の売上向上などに大きな役割を果たしてきた*6。なお、1988年(昭和63年)に、中央バス滝川ターミナルが再び滝川駅前に戻っている*7

しかし、市街中心部にあった「滝川名店ビル」で営業していた「金市舘」(現ラルズ)が1994年6月に撤退し、完全な空き店舗になった。さらに「高林デパート」で営業していた食料品店「くにい」が1996年に撤退した*8。さらに、この頃から駅前の歩行者通行量も減少しはじめた。

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2017年3月の滝川名店ビル。20年以上空き店舗だった建物が解体される直前の姿。

西友の撤退

ビル事業経営における核であった西友2001年(平成13年)2月に業績不振を理由に撤退を表明した。商店街の衰退や、郊外の店舗との競争が激しくなり、2002年2月期の売り上げは目標の8割の30億円にとどまった*9西友と関連テナント約15店は2003年(平成15年)831日に閉店し、屋上の看板からはSEIYUのロゴが消えた*10。後継テナントとして旭友ストアーが入店の意向を示し、同年11月24日のオープンに向けて交渉が進められていたが、賃貸料や施設の改修費、他のテナントの誘致などを巡り交渉が難航し、仮契約を解除した*11。その後,ビル関係者は全国を飛び回り*12、新たにキーテナントを募集するなどして経営改善に努めたものの、スーパーの招致は絶望的となった。

経営の悪化

西友の撤退後、一時テナントは菓子店や理髪店など計6店のみとなった。管理会社は方針を転換し、スーパーを核とすることにこだわらず、集客力の高いテナントを各階に配置することとした。2階に100円ショップ、1階に書店、地下1階にドラックストアを誘致し、4月の再オープンに向けて交渉した*13。2004年(平成16年)6月、100円ショップ「ダイソー」や、飲食店など5店舗がオープンし、同年7月中旬には生鮮市場や総合衣料品店などが入居する見通しとなった*14。しかし、ビル管理会社の経営は大きく悪化した*15。経営状態の改善は進まず,2004年(平成16年)から金融債務の支払の遅滞に陥った*16。また、ベルロードを中心に集客力や賑わいが著しく低下をしはじめ、中心市街地における商業地としての魅力が失われていった*17

滝川市への無償譲渡

このまま推移すれば、事業を廃してビルを閉鎖せざるを得ない事態となったことから、2011年(平成23年)8月、ビルの管理会社「滝川駅前再開発ビル」は事業の継続を断念し、8月30日に滝川市に対してスマイルビルの無償譲渡を申し入れた*18。市がビルを取得しない場合は、ビルの閉鎖に伴う中心市街地の空洞化が避けられず、再生を図るにしても手を入れられない状況に陥ることが予測された。そのため、市は地権者の一本化などを条件に受け入れる方向で検討を進め、市民の意見を聞いて最終的に判断するとの方針を示した*19。しかし2012年(平成24年)1月「滝川駅前再開発ビル」は、市が無償譲受の条件として示した「無償譲渡する時点において、入居するテナントとの契約を解除する」ことが困難であるとして、無償譲受要請を撤回した*20

なお、滝川市はこの申し入れの前からベルロードを中心とした地区の活性化策の検討を行っていた。滝川の駅前地区の顔であるスマイルビルが管理者不在となり廃墟化することを回避、再生の方向性を議論する中で、駅前地区さらには中心市街地の活性化を図るための選択肢の一つとして、滝川市がスマイルビルの無償譲渡を受け、地区の再生を図ることを基本に議論を進めていた*21

ビル会社との交渉が白紙に戻ったことから、その後2012年3月、滝川市が土地と建物を差し押さえ、公買にかけられた。買い手が現れず市が入手するという見方も強かったが*22、現在の管理者「たきかわスマイルビル」の所有となった*23

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屋上部にある看板。現在の色は西友時代の赤色と少し異なっていることがわかる。老化が激しい。(2021年1月)

改善されない経営状態

その後も店舗の閉店や休止が相次いだ。また、計画的な施設の改修がなされなかったため、エレベーターなどの設備の老朽化も深刻となった*24。2020年(令和2年)6月には、2階の大半部分を占めていた100円ショップ「ダイソー」が閉店した。来客の減少により数年前から撤退を検討し、様々な取り組みをしてきたが今後も改善が見込めないとした*25

ダイソー」の閉店により賃貸収入が激減し、「たきかわスマイルビル」は事業の継続が難しくなり、2021年3月末をもって管理業務を中止し、ビルを閉鎖する方針を示した。3月末に電気や水道などの契約を解除する予定。建物は解体などの予定はなく、建物自体は活用したいとしている*26

2021年(令和3年)7月現在、入居していた店舗や事務所など約20軒のうち少なくとも4軒が閉店。6月末までに12軒が市内外へ移転し、うち8軒が駅周辺で業務を再開した。閉鎖されたビルの今後の方向性は見えておらず、滝川市は「たきかわスマイルビル」に今後の方針を問い合わせているが、具体的な回答はない。市長は「返事を待つが、なければ案を提示するなど対応を考える」としている*27

沿革

  • 1968年(昭和43年)11月:滝川駅前地区にあった中央バスターミナルが明神町2丁目に移転。
  • 1971年(昭和46年):滝川市広域商業診断による新しい商業核の必要性が示される。
  • 1973年(昭和48年):一点集中性の高い中心商店街に面的な回遊をもたせるため、再開発事業を発意し、準備組合が組成される。
  • 1978年(昭和53年):西友が出店を表明。
  • 1981年(昭和56年):再開発事業が始まる。
  • 1983年(昭和58年)7月ごろ:西友が出店を一時撤回。
  • 1986年(昭和61年)109日:西友滝川店が開業。
  • 2001年(平成13年)2月:西友が業績不振を理由に撤退を表明。
  • 2003年(平成15年)831日:西友が閉店。
  • 2003年(平成15年)920日:建物を明け渡す。
  • 2003年(平成15年)11月24日:旭友ストアーが開店予定だったが、撤回。
  • 2003年(平成15年)月日不明:滝川市が「たきかわホール」を取得し、リニューアル。
  • 2004年(平成16年):管理会社が金融債務の支払の遅滞に陥る。
  • 2004年(平成16年)6月:100円ショップ「ダイソー」がオープン。
  • 2004年(平成16年)11月:文化ひろば「く・る・る」・親子ひろば「とんとん」が開設。
  • 2007年(平成19年)5月:担保不動産競売手続が開始し、ビルを差し押さえされる。
  • 2009年(平成21年)11月:競売手続が売却が実施されないまま取消決定により終了。
  • 2010年(平成22年)6月21日:北洋銀行滝川駅前支店が滝川支店と統合し、閉店。
  • 2011年(平成23年)1月:滝川駅前再開発ビル活性化ビジョンを策定。
  • 2011年(平成23年)830日:管理会社が滝川市に無償譲受を検討するよう要請する。
  • 2011年(平成23年)10月:滝川市は一定の条件のもと、無償譲渡の受け入れを検討すると報道される。
  • 2011年(平成23年)11月10日:滝川市が無償譲受の条件を提示。
  • 2012年(平成24年)1月16日:無償譲渡する時点において、入居するテナントとの契約を解除することが困難であるとして、無償譲受要請を撤回。
  • 2012年(平成24年)3月:滝川市が土地と建物を差し押さえる。
  • 2012年(平成24年)月日不明:現在のビル管理者「たきかわスマイルビル」の所有になる。
  • 2016年(平成28年)318日:親子ひろば「とんとん」利用終了。
  • 2016年(平成28年)320日:駅前ひろば「く・る・る」が移転のため閉店。
  • 2016年(平成28年)331日:親子ひろば「とんとん」閉鎖。
  • 2017年(平成29年)3月31日:「たきかわホール」の運営を休止。
  • 2020年(令和2年)621日:100円ショップ「ダイソー」が閉店。
  • 2021年(令和3年)225日:入居テナントに、管理会社が331日を持って管理業務を中止することを通知。
  • 2021年(令和3年)331日:スマイルビル閉鎖。

フロア構成

  • 1986年(昭和61年)10月時点のテナント数は西友を含め21店舗。
  • 2003年(平成15年)4月時点のテナント数は西友を含め15店舗。
  • 2004年(平成16年)2月時点のテナント数は6店舗。
  • 2012年(平成24年)4月時点のテナント数は29店舗。
  • 2021年(令和3年)2月時点でのテナント数は19店舗。休業中の店もある。

2012年(平成24年)時点での入居店舗は以下の通り。

地下1階

  • ラジウム岩盤浴
  • 慈心館空手道場
  • 宝館店あおば(貴金属)
  • ルパン2(喫茶店
  • 親子ひろばとんとん
  • 駅前ひろば「く・る・る」

1階

  • たきかわ音鑑
  • おやこ劇場
  • 滝川観光協会
  • 花月堂(菓子)
  • 花いち食堂
  • 丸美屋(化粧品)
  • ゲームセンター
  • コスモブックス(本、食料品、酒)
  • VOGUE(洋品店
  • ジェラート(婦人服)
  • SPECCHIO(婦人服)
  • 田切洋裁店
  • ニック婦人服
  • 時計工房
  • 滝川旅行センター

2階

3階

4階

  • ボーリング場

 

固定資産税の滞納

2014年(平成26年)時点で、スマイルビルは16000万円の固定資産税の滞納があるとされている。また、2020年(令和2年)には北海道新聞が「固定資産税の滞納は続き、数億円に上るとみられる」と報じている。

 

エレベーター問題

当ビルには建物中央の吹き抜け部分に、フジテック製のエレベーター「ロイヤルスーパーダイン・インペリアル」1機が設置されている。定員は24名、積載は1600kgである。その他貨物用エレベーターも有する。

この吹き抜け部分にあるエレベーターは老朽化が進み、滝川市とビル管理者である「たきかわスマイルビル」との協議の中で、2017年(平成29年)1月末までに必要な設備改修を実施しない場合、エレベーター会社から、2月以降の保守契約が打ち切られる可能性があることが明らかになった。また、改修には2500万円の費用がかかるとされた。

ビル3階に「たきかわホール」を所有する滝川市は、ビル利用者の安全確保のため、ビル管理者に対して区分所有権の割合に応じた応分の負担をすることを申し出たうえ、エレベーター改修を実施するよう促し、再三にわたり要請したが、ビル管理者は資金不足であることや、2017年(平成29年)1月末をもってエレベーターを運転停止とする可能性があること等が明らかにされた。

滝川市はビル管理者がエレベーターを改修する資力・意思がないと判断し、「たきかわホール」の利用者の安全性・利便性を確保できない可能性があるとして、2017年(平成29年)3月をもってホールを休止することとした。

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吹き抜けとエレベーター(2018年4月) 3階部分が当時すでに休止中のたきかわホール。

エレベーターは2017年(平成29年)時点で「既存不適格」の指摘があるものの、違法性を示すまでの指摘はない。保守契約は自動更新の条項が適用されず、1年間の条件付きでの契約締結となっている。月に1回の点検を受けてエレベーターは稼働しているが、改修が必要な状態に変わりはない。なお、エレベーターは2021年(令和3年)1月時点でも、更新されないまま稼働している。

このエレベーターには、フジテックの旧タイプドアステッカーが残存しており、大変貴重なものとなっている。

 

利用状況

当ビル周辺中心部市街地の1日あたり歩行者通行量は以下の通り。

  • 1990年(平成2年):16692人
  • 1992年(平成4年):11882人
  • 1994年(平成6年):19328人
  • 1997年(平成9年):16057人
  • 2007年(平成19年):7008人
  • 2008年(平成20年)5月:6412人
  • 2013年(平成25年)3月:11306人

 

アクセス

かつて、滝川駅前や中央バス滝川ターミナルと連絡する「栄通地下歩道」と当ビル地下1階が直結していたことがある。ビル南西側の地下歩道は廃止されたが、中央バス滝川ターミナル付近に今も残る地下歩道では、かつての連絡通路が残っている。

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栄町地下歩道とビルの連絡通路跡。非常に暗い。(2021年1月)

参考文献

(適当な書き方でごめんなさい。現在「歴史」の節にはWikipediaのように脚注をつけています。ご活用ください)

 

編集後記

なんか色々と闇の部分が多い気もしました。苫小牧駅前のegaoがいつになっても解体されない理由もなんかわかる気がするなぁ・・・ そして、「エレベーターが更新できない」とか、「駅前に喫茶店を〜」みたいなアンケートを見ていて、JRのローカル線に似たような雰囲気を感じました。

スマイルビルの再生は簡単なことではありません。が、岩見沢「であえーる」のように賑わいを持った施設に生まれ変わる可能性もゼロではありません。まだ解体されるわけではないようですので、今後の活用法に期待・・・はできませんが、見守ろうと思います。

あのビルだって輝いていた時期が、確かにあるはずです。でないとベルロードのアーケードは新しくなりませんし、ラルズは閉店に追い込まれません。時代の変化はこうも早いものかと驚きます。そして地方の人口減少や駅前空洞化は現在進行形であることを感じさせます。スマイルビルの空き店舗率は、2010年代と比べても深刻さを増しています。西友撤退当初も衝撃だったでしょうが、それと今ではそれまた比べ物にならないということなのでしょう。

色々な意味、いや悪い意味で滝川の楽しみであったスマイルビルが、いよいよなくなってしまいます。滝川の廃墟ビルといえば「名店ビル」と「高林デパート」のイメージがありましたが、とうとう駅前にも本物の廃墟ができてしまいそうです。

2021年7月19日追記:スマイルビルの現状を追加しました。

 

*1:滝川駅前再開発ビル「駅前再開発ビル無償譲受ご検討の要請滝川市ホームページ(2011830日)202138日閲覧。

*2:滝川市経済部「滝川駅前再開発ビル活性化ビジョン ~1軸3拠点による新しい中心市街地活性化の方向性~滝川市ホームページ(20121月)18頁、202138日閲覧。

*3:イオン滝川店Wikipedia20201217日更新)202138日閲覧。

*4:「地域の経済 滝川 駅前ビル 西友撤退から半年 「娯楽・健康」に活路 トレーニング器 市が設置を検討」北海道新聞(2004年2月25日)

*5:西友滝川店が今秋撤退 旭友ストアー、入店意向」北海道新聞(2003年4月17日)

*6:滝川駅前再開発ビル「駅前再開発ビル無償譲受ご検討の要請滝川市ホームページ(2011830日)202138日閲覧。

*7:北海道中央バス滝川ターミナルWikipedia2020年9月26日更新)202138日閲覧。

*8:高林デパート・滝川名店ビル(金市舘)の解体はじまる-再開発で病院・銀行に」都市商業研究所(2016125日)202138日閲覧。

*9:西友滝川店が今秋撤退 旭友ストアー、入店意向」北海道新聞(2003年4月17日)

*10:「地域の経済 滝川 駅前ビル 西友撤退から半年 「娯楽・健康」に活路 トレーニング器 市が設置を検討」北海道新聞(2004年2月25日)

*11:滝川駅前ビル出店 旭友が仮契約解消」北海道新聞(2003年10月21日)

*12:滝川市建設部「Q & A(滝川駅前再開発ビル活性化関連)滝川市ホームページ(2011119日?)3頁、202138日閲覧。

*13:「地域の経済 滝川 駅前ビル 西友撤退から半年 「娯楽・健康」に活路 トレーニング器 市が設置を検討」北海道新聞(2004年2月25日)

*14:きのう きょう あす 滝川「店舗入居し久々の盛況」北海道新聞(2004年6月10日)

*15:滝川駅前再開発ビル「駅前再開発ビル無償譲受ご検討の要請滝川市ホームページ(2011830日)202138日閲覧。

*16:滝川市経済部「滝川駅前再開発ビル活性化ビジョン ~1軸3拠点による新しい中心市街地活性化の方向性~滝川市ホームページ(20121月)18頁、202138日閲覧。

*17:滝川市「滝川駅前再開発ビル(スマイルビル)について滝川市ホームページ(201859日)202138日閲覧。

*18:滝川駅前再開発ビル「駅前再開発ビル無償譲受ご検討の要請滝川市ホームページ(2011830日)202138日閲覧。

*19:滝川市がJR駅前「スマイルビル」の無償譲渡受け入れ検討へ」北海道建設新聞社(20111018日)オリジナル2012314日時点でのアーカイブ202138日閲覧。

*20:滝川駅前再開発ビル「駅前再開発ビル無償譲受の要請の撤回滝川市ホームページ(2012116日)202138日閲覧。

*21:滝川市滝川駅前再開発ビル(スマイルビル)について滝川市ホームページ(201859日)202138日閲覧。

*22:アングル「『滝川の顔』どう再生 駅前ビル 税滞納で差し押さえ 市長の手腕に注目」北海道新聞(2012年4月10日)

*23:JR滝川駅前のスマイルビル ダイソー21日閉店 ビル所有会社、税滞納問題に影響も北海道新聞2020615日)202138日閲覧。

*24:滝川市中心地活性化協議会「中活協通信滝川市ホームページ(20179月)1頁、202138日閲覧。

*25:JR滝川駅前のスマイルビル ダイソー21日閉店 ビル所有会社、税滞納問題に影響も北海道新聞2020615日)202138日閲覧。

*26:滝川のスマイルビル3月末で閉鎖 管理会社が業務中止 多額の固定資産税滞納北海道新聞2021226日)202138日閲覧。

*27:滝川駅前「スマイルビル」閉鎖3カ月 テナント8軒 周辺で再開 建物や土地 方向性見えず」北海道新聞2021年7月9日)