もみじの研究ノート

駅名標の奥深い世界へようこそ。

日高線と留萌線の部分存続は、地域に最適な公共交通なのか

日高線の廃止があと2ヶ月弱、留萌線では石狩沼田、または恵比島までの存続を巡って駆け引きが続いています。今回は、JR北海道のローカル線を「区間で区切って存廃を考える」ことに関して、考えていきたいと思います。

 

単独維持困難路線の「区間

2016年(いや、もう5年前なんですね・・・)に単独維持困難路線が発表された際、路線全線で維持困難だとされた線区と、路線の一部分が維持困難とされた線区がありました。

全線で「維持困難」

個人的には全線で「維持困難」

路線の一部が「維持困難」

「個人的には全線で」というのは、個人的にその区間とそれ以外の区間は線区の特徴が全く異なり、そもそも本当の路線名も変えたほうがいいのではと思っているような区間を指します。

これについて、一部の自治体からは「そのように区切らないでくれ」というような意見が出ました。記憶にあるのは宗谷線で、「宗谷線稚内から旭川までで一つの路線であり、南北で区切られたのは遺憾だ」という市長の声がありました。そして、「石狩沼田までは基準を上回っている」「日高門別までの存続を」と訴えた地域も、この区切り方に関して疑問を持った地域(町長)だと言えます。

ちなみに2016年のこのころには「札幌〜釧路間の特急が帯広で打ち切りになるのでは」というような記事が釧路の新聞に載ったりもしました。まあ、そのような危機感は少し持っておく必要はあるとは言え、どうも報道機関も根拠が乏しいよな、と思います。

そもそも「路線名」というのも曖昧なものであり、小樽〜旭川間が「函館本線」なのは普通に考えると違和感しかないですし、路線名マジックによって残った江差線、上砂川支線、宗谷線音威子府稚内間、消えた松前線、天北線などなど。路線名にとらわれずに細かく見ていくことが大事です。

 

鵡川駅石狩沼田駅

本題です。この2つの駅は、どちらもこの駅を境に乗客が少なくなるという主要駅です。ふるさと銀河線で言えば置戸みたいな感じです(通じる人少ない)

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鵡川駅2番線の駅名標。枠が富内線春日駅などと似ている。廃線とともにホーム廃止・撤去される可能性もある。(2016年5月)

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石狩沼田駅2番線の駅名標。使用されていないホームながら近年枠が更新され、現在この姿ではなくなっている。(2017年8月)

データで見てみます。日高線については、苫小牧〜鵡川間のスクールバスが廃止され、どう区間の通学客が大幅に増加する前の平成29年度のデータ、留萌線については最新のデータを示します。

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出典はこちら。浜田浦〜鵡川間「378」が、鵡川〜汐見間が線路被害前では「278」に、線路被害後は「145」になっています。

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出典はこちら。北秩父別〜石狩沼田「203」が、石狩沼田〜真布間「95」になります。

 

日高線の場合〜日高門別部分復旧案

日高線は、苫小牧〜鵡川間が、自治体などの支援により存続を目指す黄色線区に、鵡川〜様似間が、JR目線では「高波による線路被害の復旧費用・復旧後の設備維持費用が単独で負担できず、沿線自治体からの協力も得られなかった」ため、自治体目線では「(うまく表現できない・・・コロナ禍で今廃線にしないと協力金が得られないため??)」長い議論の末に廃線・バス転換に合意しています。

日高線は2015年の高波による線路被害により、鵡川での折り返し運転を続けています。当初大きな被害を受けたのは厚賀〜大狩部間であり、それ以外の区間は運行できる状態でした。データにはあまり現れていませんが、沿線の中では大きな街があり「主要駅」と言える富川や日高門別もありますが、そこまでの運行は行われませんでした。

この大きな理由は、信号設備だと言います。鵡川日高門別間の復旧には、以下の費用がかかると試算されています。

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出典はこちらの3ページ。

沿線自治体のうち、主に日高門別駅がある日高町日高門別までの鉄道復旧を主張。上の金額はJRによる「復旧断念」のプレスリリースの前後で検討されて試算されたものです。「大きな被害がなかった鵡川駅 - 日高門別駅間の部分負担なら話は違ってくる」と初めて地元負担に前向きな姿勢を(一時的に?)示し、比較的最後まで検討されたものの、2019年11月12日、多数決により断念されました。

部分復旧を求めた主な理由としては「線路の被害が少ないこと」「輸送密度が200人を上回っていること」、部分復旧を諦めた主な背景には「(わが町に列車が走らないのに)費用負担は町民の理解が得られない」「毎年多額の費用負担は厳しい」「日高門別まで復旧しても私の町にメリットはない」「全線バスに転換してもいいのでは」といった町長の発言が挙げられます。

ここで疑問なのが、なぜ日高門別までの部分復旧を求めたのか、そしてなぜ断念したのか、「地域に最適な公共交通」を探る上での根拠が見当たらないんですよね。いや、もはや疑問でもありませんけど。結局わが町にメリットがあるから日高町日高門別まで、浦河町は浦河までだと中途半端だから全線とか言ってたのかと。

 

日高線鵡川まで残す理由は?

日高線の苫小牧〜鵡川間は、自治体などの支援により存続を目指す黄色線区に指定されています。そのため、廃線議論というようなものは維持困難線区の発表前を含め、これまで一度も行われていません。

苫小牧〜鵡川間のJR側からの説明では、「利用が少ない」「湿地帯の線路維持に苦慮している」「日常の足として利用されている」くらいしか具体的な説明がありません。

この区間では利用促進の取り組みが行われており、個人的に特に目立つものは、苫小牧〜鵡川間のスクールバスの廃止と、苫小牧市などで開催されるイベントに際し、公共交通の利用を呼びかけるポスターです。他にはイベント開催時に「道央 花の恵み号」が運転されることがあります。特にスクールバスで通学していた高校生が列車通学となったことで、黄色線区中では最大の利用率アップとなっているはずです。

ここで疑問になるのが、なぜ鵡川まで残るのか、残る区間がなぜ鵡川までなのかです。

確かに鵡川は主要駅であり、ここを境に乗客は減ります。ただし、現在は鵡川までの高校生利用が増え、鵡川以遠がバス代行となったことで差が顕著になっていますが、高波災害前の差は4分の1〜3分の1程度です。

残りは消極的な理由です。むかわ町胆振振興局であることです。振興局というのは、ただの鉄オタ的には苫小牧から様似までで一つの路線なので気付きにくいんですが、以外にも通学生や地元住民が用事や買い物に行く「街」が違うんですね。比較的分かりやすい例が釧網線で、振興局と峠をまたぐ緑〜川湯温泉間は特に乗客も本数も少ない区間です。日高に峠はないものの、似たような傾向があるのではないかと感じます。また、路線の存廃議論においても鵡川〜様似間は「日高」の問題であり、胆振地方との連携がそれほどなされていなかったのではと感じます。

そして何より、JRの折り返し設備の都合です。例えば日高門別駅富川駅に折り返し設備があれば、その駅で折り返していたはずです。私は信号設備に詳しくはないのですが、日高門別で折り返しをするためだけに1億円が必要になるそうです。私にはちょっと不可解なのですが、決して安い金額ではないのは確かです。

(ちなみにこの折り返しに関して、スタフ閉塞を使えば0円じゃないかと主張する電車博士(でんぐるま・ひろし)や地元住民がいました。ただし列車の運行には踏切を遮断する設備が必要だなとか、列車のトラブル時に指令所へ連絡する必要があるよなとか、そのくらいの想像は誰でもしてほしいなと思います)

 

鵡川までの日高本線は不要?

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これ以外のまともな情報が全くないので、道新の路線図(こちら)で。全く詳細が明らかにならない日高線廃止代替バスですが、すでにルートと時刻は決まっているようですね。「試験運行」と称されそうな1年目の運行がかなり適当なものにならないか、心配しています。

ここで気になることは、苫小牧〜鵡川間の鉄道の気配がないことです。まあバスの路線図なので当たり前ですし、廃線議論中からなんとなくわかっていたことではありました。この路線図だけを見ると「鵡川行き」のバスは運行されないようです。一方、日高方面から苫小牧に行くバスは、新冠から高速道路経由で沼ノ端・苫小牧へ行くバス、鵡川駅から沼ノ端駅を通り苫小牧へ行くバス、鵡川駅から直行で苫小牧へ行くバスの3種類があります。これは何を意味するのかというと、苫小牧〜鵡川間の鉄道は、日高にとって不便で不要であるということです。

 

日高の人が乗らない日高線は存続できるか

日高線苫小牧〜鵡川間には、様似方面からの客が一定程度乗車している印象を受けます。今でも、代行バスに乗車していた人が鵡川でごそっと消えるなんてことはない印象です。これがバス転換後、一切なくなる可能性があります。「378」と「278」を単純に引くと100。令和元年度のデータでは、「466」を「119」で引いて「347」です。苫小牧〜鵡川間では、日高からの乗客がごそっと減る可能性を考えて、今後の方針を決めなければならないんですね。

日高線の廃止反対運動にあたっては、観光客の呼び込みに必要だとか、インバウンドを送り込むんだという意見が多数上がっていました。鵡川〜様似間の廃線後も、「日高へのバスは苫小牧からの乗車が便利です!」という宣伝を大々的にしない場合、鵡川まで鉄道でやってくる客もいるはずです。その客をどう誘導するのか、ダイヤは乗り継ぎを考慮しているのか、疑問が残ります。もし鵡川駅で案内が不足したまま放置するようなことがあれば、もうあの観光客観光客〜〜の反対運動はなんだったのかって感じですね。どうなるでしょうか。

また今回、鵡川〜苫小牧間には3種類の交通機関が平行することになります。鉄道とバスが相互に客を奪い合う関係とならないか、とても心配です。

このような理由から、私は今回苫小牧〜鵡川間が存続すること、特にこの「区間」の線引きについて、「地域に最適な公共交通」の考え方が重視されていないのではないかと感じています。仮に線路災害がなくても、同じ区間で線引きしていたでしょうか。そして、日高の人が日高線を使えるような残し方があったのではないか、その一つに日高門別部分復旧案はある程度有効ではなかったのか、と。もちろん日高は全部バスなんだ。鵡川で乗り換えるのはめんどくさいという結論に至ったなら、それでいいです。ただし、その場合の「苫小牧〜鵡川間」については、逆に廃止を要請するなど思い切った検討もしたほうがよかったのではないかと思います。

 

留萌線を沼田町まで残す理由は?

さて、留萌線です。初期には議論を拒否していたこの線区は、議論開始後早々に留萌市が存続を断念し、沼田町・秩父別町深川市が「沼田町までの存続」を目指して協議しています。存続にあたって、沿線自治体は列車の減便や無人駅の廃止で経費を削減するよう求めています。これに対しJR北海道は、早速2021年3月のダイヤ改正で列車3本を減便する方針を示していますし、存続要望区間(深川〜恵比島)にある無人駅6駅の廃止を計画しています(笑)

さて、この沼田町まで残す存続案は、石狩沼田までと恵比島までの2種類が存在します。

なぜ留萌線を沼田町まで残すのか。理由としては「高校生の通学に必要」「輸送密度が200人を上回っている」などを挙げています。また、恵比島まで残す理由は、報道では「すずらんのロケ地である」「通学や通院に利用している町民がいる」ことが紹介されています(存続の根拠だとは言っていない)一方市議会では町長は「恵比島を起点とする区間の存続を目指す」としか答弁しておらず、ただ単に沼田町内の全駅を残したいだけなのではという気しかしません。

 

恵比島までの留萌本線を生かすには

私は、本当に地域にその覚悟があり、かつ地域に最適な公共交通機関を整備するのならば、恵比島までの存続が良いと思っています。

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沿岸バス・道北バスの平行バス路線図(こちらより)です。途中、秩父別〜恵比島間がJRとは別のルートを通ります。このため、恵比島駅は両者の交通結節点にできる可能性があります。

と思ったら・・・

峠 下 じ ゃ ん

ごめんなさい。私の「恵比島交通結節点構想」はこれで崩壊しました。いやぁ、なんか感覚が鈍りましたわ・・・

本当は、恵比島駅を留萌方面のバスとの乗り換え駅にして、恵比島〜旭川間のバス、特に快速便は廃止し、JRに乗り換えてもらう。そして旭川まで直通運転でもできればいいかなぁなんて考えていました。このことをやるには峠下まで存続しないとできないんですね。峠で明らかに維持費がかかりそうな区間だし、留萌市に入るし。実現可能性は極めて低そうです。こりゃ恵比島まで鉄道を存続する意味はないわ。すずらん?SL数年間しか成功してません。

 

途中まで鉄道を残すのならば

しかし言いたいことは変わりません。鉄道を残すなら、留萌を目指す乗客にも鉄道を使ってもらうことが必要です。宗谷特急や福住のバスなどの事例から「のりかえ」に抵抗を持つ利用者は明らかに多く、鉄道と対面にする、冬季間は移動ルートに雪のない環境を整えるなど、最大限の利便性向上が不可欠かと思います。現在碧水を通る路線バスのルートは、基本的に石狩沼田経由か恵比島・石狩沼田経由に変えるしかありません。このようなバスルートの変更は浜中町霧多布などで見られますが、碧水は集落を形成しており、バスルートの変更は慎重に考えるべきかもしれません。バスルートの変更や、石狩沼田〜旭川間のバス便数の減少により、著しく利便が損なわれる地域があれば、デマンドバスや仮乗降場の設置も考える必要があるかもしれません。留萌の人にとっては、恵比島や石狩沼田で乗り換えることは、まるで幾寅の東鹿越のりかえのようだと感じる人もいるかもしれません。

このように、鉄道を残すのならば今の交通網を抜本的に見直す必要があります。そうでないと鉄道利用は増えませんし、そうして無理矢理利用者を増やして維持するのが良い選択なんですか?ということです。

日高線留萌線では規模が違うので、前者の苫小牧〜鵡川間では、日高の人が使う見込みもないのに存続しますし、留萌線は「日高線でもそういう区間はある」などと言って廃止方針。なんか変だなぁと思います。日高線鵡川に振興局の境があり、留萌線は恵比島に振興局の境があるんですね。そしてご存知、頑なに鉄道鉄道の一点。鉄道である理由が何があるんでしょうか?バスじゃダメなんでしょうか? 自分たちの地方だけではなく路線全体を見て、鉄道だけでなくバス見て、地域にとって最適な公共交通機関とは何かを、早く考えてほしいと思います。鈴木知事が言う「俯瞰的に見る」ことが、「地域」においても「交通機関」においても全くできていないのです。

 

 

 

 

 

札幌市営地下鉄のサイン 筐体について

先日西18丁目駅でボーっとサインを眺めていた時、あれ?これ似たようなサインでも、枠の形が違うんじゃね?ってことに気付いてしまいまして。

むしろなぜ今まで気にしてこなかったんでしょう。ともかく、この時から私のサインを見る目は180°変わってしまいました。これまで書いてきた記事も大きく見直さないといけないことに。今日はそんな札幌市営地下鉄サインの筐体について特集します。

なおこの記事での「筐体」とは、文字が書かれた看板を吊り下げる金属製のものを指し、「サイン」とは、文字が書かれた看板そのものを指します。

 

開業当初の筐体

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南北線 北24条駅(2021年1月)

1971年、南北線開業当初のもの。現在も北24条~真駒内の各駅に多く残っています。開業当初のサインと共に残っている駅はほとんど絶滅していますが、開業から50年、今も当初と変わらない筐体であふれていることには驚きさえ感じます。

角が丸みを帯びていることが特徴です。また、形が東西線と比べて正方形に近い形をしているのも特徴で、麻生延伸開業の際にも踏襲されます。

追記:サイン紹介の記事で紹介した筐体には、どれも筐体下部に金具がついていません。この金具がついていないタイプが開業当初のもので、上で紹介したサインはどこかのタイミングで取り換えられた可能性があります。

 

東西線開業時の筐体

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東西線 西28丁目駅(2021年1月)

1976年、東西線開業当初のもの。現在も琴似~白石間の各駅に残っています。このタイプは開業当初のサインから変わっていないものも現存します。

サイン部分の角(黒色と銀色の境界面の角)が丸くなっているのが特徴です。

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1枚目(左)は東札幌駅にて、2枚目は西18丁目駅にて。筐体下部に写真のような金具がついており、その多くが錆びていることが特徴です。また、一部の駅の一部のサインには銘板が残っています。札幌市営地下鉄のサインで銘板が残っているのはこのタイプくらいです。

 

南北線麻生延伸時の筐体

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南北線 北24条駅(2021年1月)

1978年、南北線麻生延伸のころ設置されたタイプ。北34条駅・麻生駅を中心に見られます。開業当初のものを引き継いだ正方形に近い形となっており、サイン面の角、筐体面の角が共に角ばっていることが特徴です。

このタイプは北24条駅、さっぽろ駅などでも見られます。南北線開業当初はサインの数が少なく、旅客案内が不十分だったといいます。麻生延伸のタイミングで、特に方向を間違いやすい島式ホームの駅において、サインを追加設置したと考えられます。

 

東西線新さっぽろ延伸時の筐体

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東西線 南郷13丁目駅(2021年1月)

1982年、東西線新さっぽろ延伸の頃に設置されたと思われるもの。南郷7丁目~新さっぽろの各駅のほか、菊水などで見られます。写真が白飛びしていて見ずらいですが、側面がだいぶすっきりしました。筐体と同時期のサインも多く残っています。

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ひばりが丘駅にて。金具も違う形となっていて、さびも少ないです。

 

(仮)琴似駅にエレベーターが設置されたころの筐体

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東西線 琴似駅(2021年1月)

琴似駅でのみ見かけた筐体です。琴似駅のホームと改札口をつなぐエレベーターがいつ供用開始されたかは、図書館や過去の新聞を漁ると分かるはずです。誰か漁ってくれる方を募集しています。

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下部にねじのようなものが2個ずつ付いていることが特徴です。

 

東豊線開業の頃の筐体

1988年、東豊線が開業したころのタイプ。

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1枚目は学園前駅。2枚目はさっぽろ駅。筐体側面にねじのようなものが2個ずつついています。また、側面に黒い線が2本入っています。また、このころから表示面を2段に分けた、大型の筐体が登場しています。これは東西線にはほぼ見られないものです。

 

東豊線福住延伸の頃の筐体

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東豊線 学園前駅(2021年1月)

1994年、東豊線福住延伸の頃に設置されたタイプ。東豊線学園前駅福住駅間のほか、東西線発寒南駅・宮の沢駅、2005年にリニューアル工事が行われた南北線すすきの駅もこのタイプとなっています。

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見た目はあまり変わりませんが、ねじの形状が変わり、マイナスドライバー用のねじ穴のようなものが追加されています。

 

ゴシック4550最終タイプの筐体

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東西線 東札幌駅(2021年1月)

2009~2011年ごろに設置されたタイプです。近年新たに改札口が増設された駅、エレベーターを設置した駅を中心に見られます。2009年3月の中島公園駅南改札口供用開始の際に設置されたサインの時点で、このタイプとなっています。

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下部にはこのような金具が取り付けられています。東豊線では一時ボルトに変更されましたが、このような仕様に復活したといえます。

 

大通駅の黒い筐体

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大通駅(2017年10月)

2015年12月ごろ大通駅に初めて設置されたタイプ。最新のものです。これまでにないモデルチェンジとなりました。大通・さっぽろ・バスセンター前など都心部の駅のほか、自衛隊前駅にも設置されています。このタイプは「いつまでもあるだろ~」とか言って全然写真を撮っていません。よい子の皆さんはまねをしないほうがいいです。そうして30年後くらいに後悔するんですよね。

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全面真っ黒であることが特徴です。さっぽろ駅にはこれまでと似たような大きさのものも多く設置されています。自衛隊前駅などにも設置されていますが、差があるのかどうかはまだ調べられていません。

 

真駒内駅の筐体

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南北線 真駒内駅(2021年1月)

2020年に真駒内駅に設置されたタイプ。なぜか黒色のものではなく旧タイプの見た目に戻りました。改札口などにある他のサインと雰囲気を合わせるため?とも思いましたが、ホームに設置されている吊り下げサインは全てこれに更新されたため、黒色のものでも問題なかったはずです。なぜ旧タイプに戻ったのかは謎です。あるいは、無計画だったからとしか言いようがありません。

撮影したのは2021年1月ですが、筐体の違いに気づいたのはこの数日後なので、サイン側面からの写真はありません。また今度撮ってきます。金具がサインの片面にしかないことが特徴です。

 

まとめ

今回は昔のものから現在のものまで、一気に紹介しました。さて、皆さんは違いが分かったでしょうか。これを基に地下鉄の各駅を見ると、何の変哲もないサインもおもしろく見えてきます。開業当初から変わらないサインが多いことにも驚くかと思います。そして、2015年に大通駅に設置されたサインは、開業当初以来の大規模かつ唯一のモデルチェンジだったんですね。

そして何よりも残念なことは、その大通駅の表示内容がよくないことです。せっかくデザインが一新されたのに、表示内容が全くアップデートされていません。バスセンター前駅などでは少し変化があったものの、最近の東西線コンコース西側のサインはもうだめです。

あそこまで大規模に設置されてしまった以上、今後しばらくは変わらないだろうと思いますが、交通局内部の人が少しでも早く、サインデザインの重要性に気付いていただきたいものです。

相次ぐ札幌圏の間引き運転

昨日の新札幌駅

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次の日の計画運休を知らせる液晶ディスプレイ(新札幌駅

昨日の新札幌駅。写真の表示を見て、「全部の列車が運休になるわけではないのは分かるけど、どの列車が運休になるのかが分からないよ」と困っていた乗客の方を見かけました。

その方は次の日の朝に新千歳空港に行く方だったようで、駅員に次の日の快速エアポートの運行についての詳細を尋ねていました。私はこの計画運休に快速エアポート号は含まれていないことはなんとなく知っていたし、運行情報を眺めればなんとなく分かるものですが、駅員は回答に30秒以上戸惑っていました。快速エアポートの停車駅の駅員なんだから、快速エアポートの計画運休は予定されていないことくらいは即答してほしいと思ったものです。

この冬、札幌圏では、このような「間引き運転」が相次いで行われています。

 

間引き運転は輸送障害を未然に防ぐ対策

toyokeizai.net

この「間引き運転」は、大雪対策として多くの鉄道会社が行う対策の一つです。東京などの都市圏では、「雪国と比べて列車の本数が多く、少しの遅れがダイヤの大幅な乱れにつながる」という理由から、降雪時の間引き運転を実施します。(札幌圏も十分多いと思いますが)ニュースでは、「〇〇線では通常の〇割本数を減らして運行」などと報道されます。

JR北海道における冬季の取り組みについて

https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20201203_KO_winter.pdf

JR北海道のプレスリリースでは、「ポイント不転換が多発する場合などは、状況により駅構内の運転する線路を限定し、通常よりも本数を減らして運行します」としています。

この項目自体は以前から記載がありましたが、この対応が実際に行われるのは、今シーズンが初めてという感覚です。私の記憶だと、昨シーズンまで大々的に実施されたことはなかったと思います。

 

間引き運転はどのように行われたか

今年に入ってからの間引き運転は、1月1日、2日、3日、7日、8日、9日、10日、11日に行われています。間引き運転がされていないのは4、5、6日の3日間だけです。

例として、1月1日5時時点の札幌圏の運休列車を示します。JR北海道の過去の運休情報が検索できるサイトを使用させていただきました。

札幌近郊 
函館・千歳線■運休
・小樽 07時11分 発 千歳 行き 普通列車 : 札幌~千歳 間 部分運休
・小樽 10時49分 発 千歳 行き 普通列車 : 全区間運休
・札幌 11時13分 発 千歳 行き 普通列車 : 全区間運休
・札幌 13時38分 発 苫小牧 行き 普通列車 : 全区間運休
・札幌 15時40分 発 千歳 行き 普通列車 : 全区間運休
・小樽 16時18分 発 千歳 行き 普通列車 : 小樽~手稲 間 部分運休
手稲 19時02分 発 千歳 行き 普通列車 : 全区間運休
・千歳 09時07分 発 札幌 行き 普通列車 : 全区間運休
・千歳 12時21分 発 札幌 行き 普通列車 : 全区間運休
・千歳 13時08分 発 手稲 行き 普通列車 : 全区間運休
・苫小牧 15時52分 発 手稲 行き 普通列車 : 全区間運休
・千歳 16時52分 発 手稲 行き 普通列車 : 全区間運休
・千歳 20時47分 発 手稲 行き 普通列車 : 全区間運休
函館線■運休
・小樽 05時39分 発 滝川 行き 普通列車 : 札幌~滝川 間 部分運休
手稲 07時03分 発 江別 行き 普通列車 : 全区間運休
・札幌 07時34分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 全区間運休
・札幌 09時37分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 全区間運休
・ほしみ 11時02分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 全区間運休
・小樽 12時49分 発 江別 行き 普通列車 : 小樽~札幌 間 部分運休
・ほしみ 13時02分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 札幌~岩見沢 間 部分運休
・小樽 14時49分 発 江別 行き 普通列車 : 小樽~札幌 間 部分運休
・ほしみ 15時03分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 札幌~岩見沢 間 部分運休
手稲 16時13分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 全区間運休
・江別 08時03分 発 札幌 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 08時28分 発 小樽 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 09時14分 発 ほしみ 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 10時33分 発 小樽 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 12時40分 発 小樽 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 14時40分 発 小樽 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 17時36分 発 小樽 行き 普通列車岩見沢手稲 間 部分運休 

 そして、1月10日5時時点の運休列車です。元日よりも運休本数が増加しています。

札幌近郊 
函館・千歳線■運休
・小樽 07時11分 発 千歳 行き 普通列車 : 札幌~千歳 間 部分運休
・小樽 10時49分 発 千歳 行き 普通列車 : 全区間運休
・札幌 11時13分 発 千歳 行き 普通列車 : 全区間運休
・札幌 13時38分 発 苫小牧 行き 普通列車 : 全区間運休
・札幌 15時40分 発 千歳 行き 普通列車 : 全区間運休
・小樽 16時18分 発 千歳 行き 普通列車 : 小樽~手稲 間 部分運休
手稲 19時02分 発 千歳 行き 普通列車 : 全区間運休
・千歳 09時07分 発 札幌 行き 普通列車 : 全区間運休
・千歳 12時21分 発 札幌 行き 普通列車 : 全区間運休
・千歳 13時08分 発 手稲 行き 普通列車 : 全区間運休
・苫小牧 15時52分 発 手稲 行き 普通列車 : 全区間運休
・千歳 16時52分 発 手稲 行き 普通列車 : 全区間運休
・千歳 20時47分 発 手稲 行き 普通列車 : 全区間運休
函館線■運休
・小樽 05時39分 発 滝川 行き 普通列車 : 札幌~滝川 間 部分運休
手稲 07時03分 発 江別 行き 普通列車 : 全区間運休
・札幌 07時34分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 全区間運休
・小樽 07時46分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 江別~岩見沢 間 部分運休
・小樽 07時57分 発 江別 行き 普通列車 : 全区間運休
・小樽 08時53分 発 江別 行き 普通列車 : 全区間運休
・札幌 09時37分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 全区間運休
・ほしみ 10時04分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 江別~岩見沢 間 部分運休
・ほしみ 11時02分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 全区間運休
・ほしみ 12時02分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 全区間運休
・小樽 12時49分 発 江別 行き 普通列車 : 小樽~札幌 間 部分運休
・ほしみ 13時02分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 札幌~岩見沢 間 部分運休
・札幌 14時37分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 全区間運休
・小樽 14時49分 発 江別 行き 普通列車 : 小樽~札幌 間 部分運休
・ほしみ 15時03分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 札幌~岩見沢 間 部分運休
手稲 16時13分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 全区間運休
・小樽 16時38分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 札幌~岩見沢 間 部分運休
・小樽 17時18分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 全区間運休
・ほしみ 18時39分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 全区間運休
・小樽 20時55分 発 江別 行き 普通列車 : 小樽~手稲 間 部分運休
岩見沢 06時20分 発 小樽 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 07時06分 発 小樽 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 07時24分 発 小樽 行き 普通列車 : 全区間運休
・江別 08時03分 発 札幌 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 08時28分 発 小樽 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 09時14分 発 ほしみ 行き 普通列車手稲~ほしみ 間 部分運休
・江別 09時27分 発 手稲 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 09時35分 発 小樽 行き 普通列車岩見沢~江別 間 部分運休
・江別 10時15分 発 札幌 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 10時33分 発 小樽 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 11時40分 発 小樽 行き 普通列車岩見沢~江別 間 部分運休
岩見沢 12時40分 発 小樽 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 13時40分 発 小樽 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 14時40分 発 小樽 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 15時40分 発 小樽 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 17時05分 発 ほしみ 行き 普通列車手稲~ほしみ 間 部分運休
岩見沢 17時36分 発 小樽 行き 普通列車岩見沢手稲 間 部分運休
岩見沢 18時38分 発 ほしみ 行き 普通列車岩見沢~札幌 間 部分運休
岩見沢 19時08分 発 小樽 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 20時07分 発 札幌 行き 普通列車 : 全区間運休 

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1月9日夜の札幌駅には、写真のような掲示が張り出されていました。このような運休の際、このように時刻表にバツ印を付けたほうが、全体像がつかみやすいですね。

追記:1月13日5時時点での運休列車。岩見沢駅を発着する5本のみ運休を決めています。この日はJR北海道のトップページに「年末から続く降雪により、岩見沢駅構内で除雪作業を実施するため、本日(1/13)一部列車に運休や遅れが発生する場合があります。」と記載がありました。

函館線■運休
手稲 08時19分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 江別~岩見沢 間 部分運休
・小樽 13時18分 発 岩見沢 行き 普通列車 : 全区間運休
岩見沢 10時08分 発 小樽 行き 普通列車岩見沢~江別 間 部分運休
岩見沢 11時10分 発 小樽 行き 普通列車手稲~小樽 間 部分運休
岩見沢 15時10分 発 手稲 行き 普通列車 : 全区間運休

 

各駅の案内

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「輸送障害が見込まれるため」と表現する札幌駅西改札口(1月9日)

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「低気圧のため列車運休」と表現する苫小牧駅発車標(1月8日)

JR北海道の運休情報は、各駅ごとに少しずつ内容、表現、詳細度が異なり、これは全国の都市圏の中でも珍しいものです。「国鉄らしい」「昔っぽい」ので私は好きです。しかし、場合によっては詳しく状況を説明する駅がある一方、「先行列車の遅れ」で済ます駅など様々あります。駅によって得られる情報に差があるという問題は、改善の余地があろうかと思います。

ちなみに、今回の間引き運転では、公式ホームページでは「降雪・低温のため」「札幌圏に断続的な降雪が見込まれるため」などとざっくりした表現ですが、駅によっては「輸送障害が見込まれるため」「発達した低気圧の接近により悪天候が見込まれるため」と表現されています。それほど大きな問題はありませんが、公式ホームページの案内はざっくりしすぎな気がします。

また先日、沼ノ端駅にて運休する列車を待っているとみられる乗客を5人ほど見かけました。あのとき、次の札幌方面行きは1時間後でした。無人駅での運休案内には少し問題があるような気がします。稲穂や朝里にあるディスプレイ、うまく使えているでしょうか。気になります。

 

運休する列車

運休区間

札幌圏の運休区間は小樽~岩見沢間、札幌~苫小牧間と広範囲にわたります。すべてが輸送障害を考慮しての運休なのか、車両繰りの都合による運休がどの程度あるのかはよくわかりません。

特殊な運用

また、運休する列車にはいくつか特殊な運用があります。たとえば「小樽5:39発 滝川行き普通列車は、札幌~滝川間は部分運休となりますが、本来は札幌駅で切り離しをして、前側3両が先に滝川へ、後ろ3両は20分後に滝川駅に行く運用です。しかしこの間引き運転では解結作業を行わず、6両とも20分後に滝川に行く列車の運用に就いているようです。

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夜の札幌駅で解結作業を行う珍しい姿(1月9日)

苫小牧18:41発手稲行き普通列車は、通常は3両での運転のところ6両で運転し、途中の札幌で後ろ3両を切り離す運用となっていました。通常は夜間の札幌駅で列車を切り離す運用はないと思われ、とても珍しい光景でした。札幌駅では、札幌駅構内都合の影響により4分ほど遅れて20:03に到着。いったん6両すべての乗客を降ろし(前3両のドアは閉まりませんでした)、5分程度で721系をバックさせて解結。その間に隣のホームから20:07発小樽行き普通列車が発車。その後前側3両が乗車可能となり、20:11ごろ発車。といった感じでした。札幌駅への入線が遅れたため定刻運転時の対応は不明でしたが、所定停車時間の4分での解結作業は難しいと思われ、ダイヤ乱れの原因になるような作業をわざわざ生み出す間引き運転なのか・・・?とちょっと疑問に思いました。ちなみに自動放送は対応していませんでした。「前側3両は、手稲行き、後ろ側3両は、途中の、札幌止まりです」を聞きたかったのですが・・・

また、運休となる苫小牧行き普通列車・苫小牧発の普通列車の1本前の列車の様子を見ていましたが、苫小牧到着後いったん回送線に引き上げ、再度入線という形をとっていて、特に「使用する線路を限定する」減便のようには見えませんでした。小樽・岩見沢などを見ていないので何とも言えませんが、使用する線路を限定しているのかどうか、時間があれば実際に見てみたいです。(たぶん時間はない)

また、き

運休列車に規則性はあるか

さきほどの札幌駅の時刻表を見ると、運休列車は規則性があるのかないのかがよくわからないような雰囲気に感じます。もともとパターンダイヤではないので致し方ない面もあります。そして、ホームページに羅列される運行情報は、一番詳しい運休情報ではあるものの、何がどう運休するのか、全体像がつかみずらいものとなっています。先ほどの、バツ印を付けた時刻表のようなものが欲しいですね。

 列車の間隔があく時間帯

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約50分間隔があく小樽駅

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約2時間間隔があく苫小牧駅

yoshi223さんの発車標シミュレーター(こちら)より。運休をイメージした発車標画面を作ってみました。

今回の運休は手稲行き、千歳行きといった区間列車だけではなく、小樽行き、苫小牧行き、岩見沢行きといった札幌圏の端まで行く列車も多く運休になっています。これは、小樽や岩見沢など、札幌から遠いほど厳しい寒さや大雪になりやすいといった事情があるのだろうと推測します。ただし、小樽や岩見沢、苫小牧はもともと本数が多くない区間であり、1本の運休により列車の間隔が長く開いてしまう事例が起きています。

 

晴れているのに運休

ここからはこの運休を少し批判的に見ていきます。私は現場で働く作業員ではなく、冬季の鉄道の保線技術に特別詳しくもないので、素人的な考えも多いと思います。誤りがある場合はコメントかツイッターでお知らせいただけると幸いです。

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青空が広がる1月8日午後の苫小牧駅。気温は-3℃。

今回の間引き運転では、「晴れているのに運休」ということがとても多いです。もちろん同じ札幌圏でも苫小牧と岩見沢では100cm以上積雪の差がありますし、市内を市電に乗っていても雪の多さに違いがあります。しかし、札幌も千歳も苫小牧も晴れているのに、札幌~千歳間の普通列車が何本も運休になっているのは、理解しがたいことです。

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札幌の天気 - goo天気より


札幌の天気(こちらより)。1月1日は一日中雪が降り、寒さも厳しいですが、それ以外の日は除雪が追い付かないほどではありません。気温は連日二桁になっていますが、極めて異常というわけではないように思いますし、もともと今年は寒い冬になるという予測があったはずです。

ちなみにここでは紹介しませんが、小樽などでは1日中雪という日もありますし、岩見沢は100cmを超える大変な雪の量です。美唄なんかはもっと大変なことになっていますね。こちらの方面は運休も納得してしまう大雪となっています。

 ただ、私がおとといと昨日遭遇したのは、どちらも「晴れているのに運休」でした。

 

北海道の降雪による輸送障害の二大原因

北海道・とくに札幌圏において、東京のように列車がスリップしたり、今の北陸のように列車が雪に埋もれて動けなくなることは比較的少ないと思います。そしてこの間引き運転も、列車が雪で埋もれることを防ぐためではありません。札幌圏での二大原因は、「ポイント不転換」と「制輪子凍結」です。

ポイント不転換

ポイントに雪などが詰まり、動かなくなってしまうトラブル。ロードヒーティングでの処理が追い付かないような降雪の際、ポイントがある主要駅ではどの駅でも発生する可能性があります(あるという個人の印象です。以下省略します) 解消には手作業による除雪が必要なこともあります。数分で解決することもありますが、何度も繰り返し発生することで遅れが増大します。

制輪子凍結

ブレーキ部分が凍結し、ブレーキ解除と列車の発車ができなくなってしまうトラブル。低温の際、列車が長時間停車すると発生しやすくなります。昨年までは、朝の岩見沢駅などで発生し、朝ラッシュ時に大きな影響を及ぼしてきた印象があります。

 

これまでの保線体制ができなくなっているのでは

ここからが私の意見、本題です。今回の「間引き運転」は、その多くが、札幌圏全体で大雪となるというわけではなく、また低温はある程度予測が可能です。ポイント不転換は一時的に発生してもすぐに解消されることがあり、私もそのような小さなトラブルは数多く遭遇してきました。今回もそうであれば、ここまで列車を運休しなくてもよいのではないかと思います。もちろん岩見沢駅は大変な大雪となっていますが、毎年恒例のようなものです。

今回の間引き運転は「降雪による輸送障害が見込まれるため」ですが、大雪でホワイトアウトになり、駅間で立ち往生を防ぐための運休とは少し趣旨が違うと感じています。「危ないと思ったらすぐに列車を止めます」というJR北海道の方針がありますが、確かにそうだけど、でもちょっと違うような、そんな気がしています。

どちらかというと、ポイントの転換やブレーキの解除につながる「列車の運転」を減らし、そのような事象を少しでも少なく抑えたいような、そんなメッセージが伝わってきます。こうすると現場の負担が軽減され、少ない列車に集中的に除雪作業を行うことができます。

なお、1月13日の間引き運転は、目的が明確です。岩見沢駅を発着する列車の一部を運休することで、除雪作業時間を長くとることができます。岩見沢駅は2020年末から大雪が続き、駅構内に大量の雪が残っている状態で、この日以外にも深夜時間帯の列車を運休するなどして集中的な除雪作業を行っています。

先日私が「JR北海道はただの降雪・ただの低温で列車が運休するようになった。体力が落ちてきている」と投稿したのは、これを踏まえてのことです。要するに、冬季にこれまでと同じ本数の列車を運転することが、保線体制の面で困難になってきているのではないかということです。

原因には近年の気象状況が極端になってきていること、毎年札幌圏の運転本数が増加してきたことなど、様々な理由がありそうです。積雪状況を考慮すれば、いまの札幌圏の運転本数はもはや東京を超えるレベルかもしれません。ただし、近年の保線作業員の人材不足というのも大いにあると考えられます。

これまで当たり前だった冬季の列車の運行が、今待つホームが晴れているのにできなくなっている。JR北海道が雪に弱くなった。ちょっと心配です。

その観光列車、もうやったことありますよ?

ローカル線の利用促進

近年、単独で維持することが困難な鉄道路線の活性化として様々な取り組みが行われています。それらの取り組みが「アクションプランの取り組み状況」としてまとめられており、私たちも簡単に知ることができます。がんばってはいるものの、正直なところ、「これだけじゃ利用増にはつながらないよなぁ」というものも多いと感じています。が、JR北海道は「順調に取り組みが進んでいる」として、沿線自治体の取り組みを高く評価しています。JRにとって、自治体には今までしてこなかった特別な協力をお願いしているという事情もあり、安易に不十分だなどとは言えない事情があるのでしょう。正直、高く評価している場合じゃないよな・・・という路線もあるのも正直なところです。ちなみに、学園都市線日高線などの赤線区では、これまでの自治体の利用促進の取り組みに感謝するとしつつ、抜本的な利用増にはつながらない、と厳しい評価をしたこともあったはずです。

 

新たな観光列車を運行したい!

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普通列車を観光列車にする取り組みが行われている花咲線釧路駅 2019年8月)

ところで、沿線自治体での協議や、鉄道ファンでの議論の中で、魅力的な観光列車を運行してみてはどうか、というような提案がよくされます。私もたまに提案します。もしその観光列車を運行して大成功すれば、収支改善とはいかなくてもその路線の価値は高まるわけですが、いや、その観光列車、前にやったことありますよ・・・?というのが、今回の内容です。

私はこれらの列車が運行したときに生まれていないという列車もありますし、実際に乗った列車はほとんどありません。ですので、書けることは本や新聞などで調べたことのみとなりますが、得られる情報は頑張って得たつもりです。

 

  • 風っこそうやがすごかった!JR北海道もああいう車両を作るべき!

実際にこういう声はあったような気がします。ノロッコ号をお忘れではありませんか?

そのうえで、現在運行されているノロッコ号車両も、やがて老朽化する時期がやってきます。その際に「風っこ」車両を参考にするのはありかもしれません。

 

さすがに全道中にという人は聞いたことがありませんが、○○線のここの区間ノロッコ号に向いているよねという声はたまに聞きます。

実際、ノロッコ号は1990年代後半から2000年代の初めにかけて、全道中で運行されていました。以下のサイトに詳しく記載されています。

ノロッコ号はどれくらいある? – 北海道ファンマガジンhttps://hokkaidofan.com/norokko/

現在毎年運行されている「富良野・美瑛ノロッコ号」や2016年まで毎年運行されていた「流氷ノロッコ号」も、1990年代に数日間だけ試験的に運行されたものが好評であり、のちに毎年運転になった列車です。その他の列車が数年で打ち切られたということは、そういうことです。

 

  • 札幌への直通列車を作ってほしい!

これは日高線で実際にあった要望です。これに対し、JRは261系気動車を新製した場合の経費を試算していました。日高線に261系が走るのが全く想像できませんね・・・というのは置いておいて、これは根室本線花咲線)で行われたことがあります。2001年~2005年の夏季に行われた、「特急まりも」の延長運転です。花咲線の快速・普通列車に特急形車両が入るのは今となっては考えられないことで、きっと当時もそうだったはずです。手元に当時の時刻表がないので、どのくらいの時間短縮が図られたかは不明ですが、このような直通列車は所要時間よりも、「札幌まで直通していること」が(なぜか)魅力です。当時地元にどう迎えられたかはわかりませんが、Wikipediaには「札幌まで通しで乗る利用客の減少」が原因で、2006年以降は取りやめられたと記載されています。

また、宗谷線では、札幌直通の特急列車の復活を求める運動が続いています。現実的にみればそこまで利便性の差はないのでは、と思ってしまいますが、「札幌に直通する」という心理的な差は踏まえるべきなのかもしれません。

 

  • SLを運行すればよいのでは?

JR北海道のSLには毎年恒例で運行されたもの(ニセコ号、函館大沼号、冬の湿原号)とその年限定で運行されるもの(みなと室蘭号、夕張応援号、オホーツク号など)の2種類があると思われ、かつて留萌線では「SLすずらん」が運行されていました。すずらん号は前者でした。運行開始当初は「これを機に留萌本線を観光路線として活性化していきます」と意気込み、蒸気機関車を復活させて大規模に運転されていましたが、年々乗客は減少していき、2006年に運行を終了しました。

 

  • いつもの特急列車を観光列車にしたらよいのでは?

ライラック旭山動物園号。近年始まった取り組みです。そのほか、宗谷線でいつもの特急列車をリゾート特急で運転し、「まんぷくサロベツ」を運転したことがありました。車内カウンターでは特産品の販売が行われ、地元も販売で協力したのではないかと思います。いつの間にかなくなってしまいました。特産品の販売がないサロベツのノスレ代走を「くうふくサロベツ」と呼んだのも、今は昔の話でしょうか。

 

  • いつもの普通列車を観光列車にしたらよいのでは?

花咲線で現在取り組みが行われています。見どころでの徐行運転、音声ガイド、ご当地弁当を楽しめる施策などが実施されています。また、一部列車を根室市の負担で2両編成にする取り組みも行われ、今年(2020年)で2年目です。今年は「森の恵み」が増結され、車内にはテーブルが設置されていると報道されていました。なお、この施策の中で、駅弁を事前に予約すると駅のホームで受け取りができるサービスがありますが、日によって駅弁販売業者の担当者が現れず、弁当を手に入れられなかったというトラブルも聞きます。

また、過去には釧網線で「摩周&川湯温泉足湯めぐり号」が運行されたことがあります。川湯温泉~緑間の普通列車を増発し、停車時間に足湯が楽しめるという列車です。ちなみに当時、JR内では「足湯のために列車の停車時間を延長するとはいかがなものか」という否定的な意見もあったと報道されていたような気がします。

 

  • 普通列車を改造して観光列車にしたらよいのでは?

かつて日高線で、当時すでに老朽化が著しかったキハ130を改造し、「日高ポニー号」が運行されたことがあります。車内では沿線の観光ガイドが乗車。見どころでは徐行運転なども行ったと聞きます。車内にはテーブルや木馬が置かれていました。インターネットでこの列車を検索すると、最終運行の写真ばかり出てきます。またその中で「普段からこれくらい乗っていれば・・・」という地元の方の声もあり、あまり繁盛しなかった列車だったのではないかと思います。現在では釧網線にて「流氷物語号」が運転されています。当初、JR内では「普通列車を改造したって誰も乗らないだろう」というような意見もあったようです。

 

  • いつもの普通列車を観光車両で運転すればよいのでは?

かつての「くしろ湿原紅葉ノロッコ号」や、「流氷ノロッコ号」の一部列車は、釧網線で毎日運転されていた普通列車を置き換える形で運転されていました。そのため、通過駅を基本的に設けず、原則として各駅に停車していました。日高線の臨時快速「優駿浪漫号」もこのタイプです。観光列車の運転形態の一つと言えるでしょうか。

 

  • 無人駅へ向かう観光列車を運転すればよいのでは?

 かつて1999年ごろ、宗谷本線に「サロベツロッコ」が運転されていました。この列車は普通列車に併結され、抜海~南稚内のみ、トロッコ車両からの展望を楽しめる車両であったほか、「抜海行き」として、抜海駅での下車・観光を楽しむことができるダイヤとしても運行されました。また、現在の「くしろ湿原ノロッコ号」も、釧路湿原・細岡・塘路など、広い意味で無人駅を目的地として運行される列車と言えます。

 

  • 本州で走っている豪華列車を道内でも運行すればよいのでは?

昨年ロイヤルエクスプレスが運行されました。ですが、過去にも似たようなことをやっていました。「北斗星まりも」(2000年?~2001年)「北斗星利尻」(2002年)などです。当時北斗星の客車の所属がどうなっていたのか、詳しいことは分かりませんが、本州とを結ぶ豪華列車の車両を使って、道内で観光列車を運転した例といえます。これらは数年のみの運行でした。また、北斗星車両を使った北海道一周列車などもたびたび運行されました。

また、上野~札幌を結ぶ北斗星の派生列車として、小樽・トマム新得まで足を延ばす運用が行われたこともあり、これは10年弱程度続いたこともありました。

 

  • 車内でご飯が食べられる観光列車を運行すればよいのでは?

バーベキュー号。当時は苗穂工場の自信作だったようですね。当時の新聞報道にも大きな期待が込められていました。登場当時は函館地区などで運転し、当時観光施設として力を入れていた「流山温泉行き」などもあったようです。現在廃止されたのは車両の老朽化という意味合いが大きいでしょうか。

 

  • 列車に自転車を持ち込める観光列車を運行すればよいのでは?

かつて1997年ころ、函館本線白石―ニセコ間で、自転車を持ち込める快速列車「サイクリングトレイン」が運行されたことがあります。車両にはロングシートで車内に広いスペースを確保できるキハ201系が使用されました。(個人的にはこの列車が、キハ201系の特徴を一番生かした列車だと思っています)また、道内の他の3つの区間でもキハ40などを使用し、「サイクリングトレイン」が運行されたことがあります。

また、2010年にはこんな列車が運行されていました。キハ40が自転車積み込み用に改造されている写真が掲載されています。

列車の旅とサイクリング!臨時列車「夏のニセコ満喫号」運転!

http://web.archive.org/web/20111020170147/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/presstop_2010_2.html

 

  • 列車内にスキーを持ち込める観光列車を運行すればよいのでは?

ニセコエクスプレスがその例です。同列車のスキー置き場は、夏は冷房装置、冬はスキーを置くことができるスペースとして活用されていました。引退の際はその特殊な冷房装置の故障がネックとなったようですが、スペースの使い方としてはとてもうまいと思います。臨時特急「ニセコスキーエクスプレス」は冬季に毎日運転されていたものの、2010年ころに全くなくなっています。ニセコエクスプレスの車両を保存するクラウドファンディングが行われていた際、「ニセコスキーエクスプレスは毎年冬恒例の列車であり、地元住民の利用も多かった」という一文がありました。どのくらいの利用があったのかは気になります。

 

  • 貸切列車をもっとたくさん運行すればよいのでは?

かつて、旭川支社では「ノロッコ号」の貸切運転を広く一般に向けて募集したことがありました。旭川塩狩間の「塩狩峠さくらノロッコ」そして「富良野・美瑛ノロッコ号」で販売され、1名からの利用も可能でした。費用は高額ですが・・・

期間限定特別企画 今年は!? 塩狩峠さくらノロッコ号 貸切運転できます!

http://web.archive.org/web/20170120081001/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2005/050412.pdf

 

  • 新千歳空港と各地を結ぶ臨時列車を運行すればよいのでは?

かつて、ニセコやフラノへ向かうリゾート列車や「スキーエクスプレス」などの特急列車は、新千歳空港駅への乗り入れが行われていました。線路容量などの問題があり、近年は行われていません。

 

  • 北海道を一周するような観光列車を運行すればよいのでは?

かつて1994年ころに「リゾート北海道」号が新千歳空港旭川→北見→釧路→札幌と北海道を3日間かけて一周する観光列車として運行されていました。また、寝台特急北斗星の車両を使った北海道一周列車などもたびたび運行されました。

また今年と来年、東急電鉄などとタイアップした豪華観光列車「ロイヤルエクスプレス」が北海道にて運行されます。今年が初めての取り組みかと思われがちな気がしますが、かつて逆回りで走ったことがあったんですね。豪華さなどは異なりますが。

 

  • 観光列車のノウハウがある他の企業が観光列車を運行すればよいのでは?

近年、JR北海道は線路を開放し、外部の事業者を世界から募集し、観光列車を運行すればよいのではないかという声をたまに耳にします。もちろんそれは一つの方法ですし、実際に行われたら面白そうですが、まったく新しい提案というわけではないように思います。

1985年に登場した「アルファコンチネンタルエクスプレス」は、国鉄が特別車両を開発し、トマムにあるアルファリゾートと、新得にあるサホロリゾートが列車を貸切運行するという、当時の国鉄としてはかなり珍しく斬新な運行形態だった列車です。現在で言うと、ニセコにあるスキーリゾートが「自分たちがお金を出すから、札幌~倶知安間で観光列車を運行してくれ」というような感じでしょうか。しかし現在、ニセコへの外国人観光客の輸送はほとんどバスに移行しています。そのようなムードは全くありません。

また、「ANAビッグスニーカートレイン」というのもありました。今でいえばあのピンク色の261系に「Peach」のロゴをつけて運行するような雰囲気でしょうか。

 

  • 全道各地でイベントを行い、その日だけ臨時列車を運行すればよいのでは?

ヘルシーウォーキング号。8両編成の特急形車両で運行される臨時列車。すごいですね。なお、日高線の活性化策の議論では、JR北海道の担当者が「イベントに合わせてヘルシーウォーキング号などの臨時列車を運行してきたが、効果は限定的」と述べたと報道されていました。

また、「富良野音楽祭」に合わせて以下のような列車が運転されたこともあります。

 「POINT GREEN! 富良野音楽祭2007」開催に合わせて臨時特急列車を運転します!

http://web.archive.org/web/20150624141331/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2007/070724-5.pdf

 

ほかには、室蘭でコンサドーレ札幌の試合が行われた際の「コンサドーレ」や、夕張市で国際映画祭が開催された際の臨時列車などが挙げられます。

 

  • イベント時に寝台列車を運転すればよいのでは?

寝台列車ではありませんが、かつて2009年~2011年ごろにかけて、札幌で野外ロックフェスティバルが開催された際、函館発札幌行きの夜行急行列車「RSR」が運転されたことがあります。キハ183系、全車自由席で運転されました。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZO」開催にあわせて臨時急行「RSR号」を運転します

http://web.archive.org/web/20131112013102/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2010/100709-1.pdf

利用は少なく、急行はまなすの代替となる夜行列車が設定されなかった一因ではないかともいわれます。

 

  • 臨時列車の運行が無理なら、イベントの日に特急列車などを停めよう!

「夕張もみじ祭り」の開催に合わせて特急列車が臨時停車します!

http://web.archive.org/web/20150624141209/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2007/070926-2.pdf

 

昔からやっています。今はそれほど行われていませんね。丸瀬布森林公園いこいの森の「雨宮21号」の特別運行の際に、丸瀬布への臨時停車が行われた例くらいでしょうか。ただし、地元の中学生などが修学旅行で列車に乗車する際、琴似、白石などの駅に臨時停車することがあります。また利別などでも行われることがあるようです。昔は、江別駅で「えべつやきもの市」が開催される際、江別駅に特急が臨時停車した、特急「オホーツク」などが修学旅行客を乗せて小樽まで行っていた、という話も聞きますが、今はありませんね。

 

  • 空港と空港をつなぐ列車を運転するとよいのでは?

 先日道新に「旭川新千歳空港を結ぶ直通列車」に関する話題が報道されていました。新千歳空港~追分~岩見沢旭川を結ぶ、まったく新しい列車というわけです。追分~岩見沢13分!?とか、新千歳空港駅の煙ガーなどと話題になりましたが、まったく新しいわけではなく、1990年代の「フラノエクスプレス」などは同じルートで運行していました。

さらに、1991年に運行を開始した「はこだてエクスプレス」も同じような列車でした。当時北海道第2の空港であった函館空港と札幌、そして大沼や登別などの観光地を結ぶリゾート列車として計画。「ノースレインボーエクスプレス」もそのために新製した車両です。実際には景気後退などの影響もあり、数年でこの形での運行は終わってしまいました。

 

おわりに

JR北海道は観光列車のノウハウがない、などとよく言われますが、そんなことはありません。過去には先進的過ぎるほどたくさんの列車を運行していたと思います。調べればまだまだあります。その歴史が今は忘れ去られているということは、歴史が正しく伝わっていないのではないかな・・・と思うところです。「原生花園スタンディングトレイン」「天塩川紅葉ノロッコ号」「オホーツク流氷号」「SL根室号」「リゾートみなみふらの号」などなど、列車名を挙げればきりがありません。

今回紹介した列車をもう一度運行してもダメだ。別の列車を考えろというわけではありません。新たな観光列車を運行する際、過去に同じような列車があったのかどうかを調べ、その時何がよくて何が悪くて、なぜ現在まで運行されなかったのか。ということを調べ、過去の歴史から学ぶ。これが大切なのではないかと思います。

ライラック旭山動物園号」「ロイヤルエクスプレス」「花咲線のいつもの列車で観光列車」などは、過去に似たような列車が運転されたことがあります。この先新たに生まれるかもしれない観光列車も、「昔どこかで走ってたのと似たようなもの」である可能性は高いです。その時、「前にやって失敗したんだからダメだ」ではなく、前にやって失敗したのはなぜか? 今回はどうすればいいか? ということをしっかり検討することが必要だと思います。

ちなみにこれは路線の存廃でも同じようなことが言えます。深名線廃止で叫ばれたことと今叫んでいることが変わらないなぁとか、国鉄末期の新聞記事を調べても、そう思うことばかりです。過去の歴史を振り返らずに昔とおんなじことを言っていても、鉄道は残らないよなぁと思ってしまいます。

JR北海道の駅名標 6 釧路地区 イワタ新ゴシックタイプ

ダイヤ見直し発表

他社より一足早く、ダイヤ改正・・・いや、見直しの内容が発表されました。色々と寂しい内容ですね・・・この内容を「駅名標」の視点から見ると、次のような変化が起きます。

  • 廃止駅の駅名標が見られなくなる
  • 廃止隣駅の駅名標にステッカーが貼られる
  • 廃止隣駅の駅名標が、本体ごと交換される可能性がある

一番最後の「本体ごと交換」は、特に旭川支社地区において懸念されます。これまでに、旭川支社において上白滝、旧白滝、下白滝、金華などが廃止されました。その廃止隣駅の駅名標を見ていくと、次のようになります。

  • 上川→「標準」の日焼けが進んでいたためか、廃止時に「旭川・細字」に交換
  • 白滝→「旭川・細字」にステッカーが貼られたが、のちに「旭川・太字」に交換
  • 丸瀬布→「旭川・細字」にステッカーが貼られたが、のちに「旭川・太字」に交換
  • 生田原→「標準」にステッカーが貼られたが、のちに「旭川・太字」に交換
  • 西留辺蘂→「標準」にステッカーが貼られたが、のちに「旭川・太字」に交換

つまり、駅名標が新しいにもかかわらず、新しい駅名標への取り替えが行われています。白滝など、ステッカーの貼り付けによって文字のバランスが崩れた駅もありましたが、特に生田原など、何の問題もない駅も交換されています。

つまり、今回の駅廃止時も、駅名標の新旧に関わらず、板ごと交換される駅が出てくると予想しています。宗谷線などに残る、JR初期の駅名標はなおさらです。「あの古い駅名標秘境駅としての魅力となっているから、残しておこう」とは考えないはずです。撮影・見納めをしたい方は早めの訪問をお勧めします。

ちなみに、2001年の新栄野廃止時、瀬戸瀬駅にはゴナのステッカーが貼られた〜なんて話もしたいですが、今回はここまでです。

 

JR北海道駅名標 6 釧路地区 イワタ新ゴシックタイプ

さて、本題です。今回ご紹介するのは、釧路地区に設置されている「イワタ新ゴシック」の駅名標です。

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根室本線 西庶路駅(2016年8月)

写真ブレててごめんなさい・・・ちょっと文字の雰囲気が異なるのがわかるでしょうか。最近流行りの「UDフォント」が使われています。緑色が濃いのも特徴です。

英語表記の「s」が小文字となっています。他駅でも同様であり、このタイプは小文字で統一されているようです。

フォントは日本語が「イワタ新ゴシック」英語が「Helvetica」となっています。近年の駅名標で「新ゴ」以外が使用されるタイプはこれだけです。駅ナンバリングの表記は各駅バラバラです。

 

設置駅と設置時期

 根室本線新富士・西庶路・幕別・西帯広に設置されています。新富士・西庶路・西帯広ではJR初期に設置された駅名標の交換用として、幕別では日焼けが進んだ標準デザインの駅名標の交換用として、板部分のみの交換で設置されています。西庶路駅の駅名標は2020年現在、枠部分が少し錆びています。海沿いだからでしょうね。

設置時期は、新富士・西庶路が2016年3月ごろ、幕別が2020年7月〜8月ごろ、西帯広が2020年7月ごろと推測されます。

今回はここまでです。なんか最初の余談の方が多くなってしまった気が・・・釧路支社にはまだまだ日に焼けた標準デザインの駅名標がたくさんあります。しかし、別保駅のように標準デザインを標準デザインで置き換える駅もあり、今後このタイプが増えていくのかはよくわからない状況です。趣味的には面白いバリエーションですが、ちゃんと統一をして欲しいところです・・・

 

※2021年3月6日、幕別駅への設置を追記しました。

※2021年6月7日、使用フォントを「イワタUDゴシック→イワタ新ゴシック」に訂正しました。

 

JR北海道の駅名標 5 旭川地区の太字タイプ

お久しぶりです

お久しぶりです。久しぶりに、このブログの原点である「JR北海道駅名標」について取り上げていこうと思います。このシリーズ、終わりが見えません。そしてそんな中、日高線など、その線にしか存在しない貴重な駅名標たちがなくなっていこうとしています・・・

 

JR北海道駅名標 5 旭川地区の太字タイプ

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石北本線 網走駅(2019年8月)

今日取り上げるのはこちら。前回紹介したタイプのリデザインバージョンです。標準デザインとほとんど同じなものの、文字の位置や大きさが少しずつ異なっているのが特徴です。また、駅ナンバリングの「A」のみDF華康ゴシック体となっており、旧バージョンの名残となっています(ちゃんとHelveticaに直せ)

 

日焼けした駅名標の取り替えのため

このタイプが設置された理由は「日焼けした標準デザインの駅名標を取り替えるため」のものがほとんどです。

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色あせた美幌駅の駅名標(2016年12月)

2007年ごろに全道各地に設置された「標準デザイン」の駅名標は、日焼けによって文字が薄くなる現象が各地で発生しています。看板によっては、文字がはっきりと読み取れないほど薄くなっているものもあり、取り替えが急務となっています。そのためにここ数年、各地で標準デザインの駅名標を取り替える動きが進んでいます。標準デザインを標準デザインで置き換える路線(本社)もあれば、支社独自のデザインで置き換える路線(旭川・釧路)もあり、このタイプはその一つです。

なお、名所案内板は「不要不急」であるからか、交換された駅は見たことがありません。

 

このタイプの特徴

 このタイプの特徴としては、以下が挙げられます。

  • 旭川支社独自のデザインを継承している
  • 文字が標準デザインに合わせて太くなった
  • 「標準デザイン」の置き換えを目的に設置された
  • 日焼けの状態に合わせ、片面のみ更新が行われている駅がある
  • 板部分のみの更新である

フォントは新ゴB、英語はHelveticaとなっていますが、駅ナンバリングの英語のみDF華康ゴシックとなっています。

設置時期は2017年〜2018年ごろにかけて、設置駅は旭川支社のうち、石北本線の駅に多く設置されています。これは石北本線に「標準デザイン」の駅名標がたくさん設置されていたことの裏返しでもあります。ちなみに富良野線にも標準デザインの駅名標は多数あり、日焼けが進んでいるものもありますが、現時点で更新は行われていません。宗谷本線には、標準デザインの駅名標は数が少ないです。ちなみに駅によっては更新が行われ、和寒のようなとんでもない駅名標も誕生していますが、その話はまた今度。

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石北本線 白滝駅(2019年8月)

なお白滝駅は例外的に、隣駅廃止により貼られたシールでアンバランスになった駅名標を、このデザインに更新しています。

今回はここまでです。なんか記事のボリュームがなくなっていますが、私自身この駅名標をまだあまり撮影できていないのが原因です。個人的にあまり好みではない旭川支社の駅名標ですが、ぜひ一度現地へ見に行きたいですね。

抜海駅廃止に関する市議会の議論 3

その後の抜海駅をめぐる議論

宗谷本線、JR抜海駅の存廃をめぐる議論は2020年9月現在も続いています。「極端に利用の少ない駅」を巡って、過去にこれだけ方向性がまとまらない存廃議論は例がないと思われ、議論の行方が注目されます。

なお、7月時点での議論はこちらをご覧ください。

 

市議会の議論

youtu.be

上の動画をもとに文字起こしを行いました。赤字は私が重要だと思ったところに勝手に引いたものです。誤字脱字等が多いと思いますが、Twitter上での議論などにお役立てください。

千葉一幸議員

JR抜海駅の存廃について質問いたします。6月定例会にて本市はJR抜海駅の現在の利用状況では、地域公共交通の役割を満足に果たしていない、別の交通手段への転換が望ましいと廃止方針を示されました。私は抜海・クトネベツ両町内会が駅の存続を求めていること、市民の目線に立ち、街の魅力や強みを生かすことの必要性を訴えました。本市は住民自治の観点から協議を続けることとし、本市主催の地域との意見交換会728日に抜海町内会で開催、812日にクトネベツ町内会で開催、どちらの意見交換会にも参加しましたが、両町内会は本紙提案に賛成できないとの考えであり、今現在も存続を求めていることに変わりはありません。意見交換会の際、本市は地域の合意なしに駅を廃止することはできない、思いをしっかり受け止めたい、両町内会の意見等を踏まえ、できるだけ早く存廃の結論を出したいと地域に示されました。関係者からは地域の合意なしに廃止しないとの考えに希望を抱いたとの声であります。

722日には、美深町3月には廃止方針だった、JR宗谷線恩根内駅を地域住民の要望で方針転換をし、町の負担で存続させる方針を明らかにしています。両町内会との意見交換会によって本市提案、別の交通手段への転換は地域の合意を得られないことが明らかになったこと、JR抜海駅存続が求められていることが明白になりました。

地域の合意なしに廃止はしない。両町内の意見を踏まえできるだけ早く存廃の結論を出すと地域に示したJR抜海駅について市長の考えを伺います。

両町内会との意見交換会の中で本市は観光を含めた駅の有効活用は、担当部署同士の協議では、具体的な取り組みを示す状況にないと研究していました。このたび市民有志がJR抜海駅を活用した、宗谷線に乗って抜海駅弁を食べよう会を企画。関係者によると既に定員は満たしているそうです。両町内会は観光客や市民に参加してもらい、抜海駅の魅力を知ってもらい存続への理解を得たいとの報道であります。稚内の貴重な観光資源、平日に稚内駅から抜海駅をJR利用し往復をしてきましたが、行きも帰りも1両列車に20人以上の方が乗っており、大半は観光客の様相であります。利尻富士が望めるスポットでは多くの方がカメラ片手に撮影に励む光景で、抜海駅での滞在時間1時間6分にはバイクや車での来訪者があり、町内外駅内外にて写真撮影、ライダーの方からはツーリング雑誌に抜海駅が最北の無人木造駅舎と紹介されていることもあり、多くの人が来ることにつながっているのでは、と駅の魅力を話されていました。稚内駅直前からは列車内から到着までの動画撮影、到着してからもホームで写真撮影をしている光景からは、町の観光資源としての鉄路の存在意義は非常に大きなものを感じました。本市は927日に普通列車で行く上勇知満喫ツアー、申込開始から30分で定員と報道にありました。JR宗谷線の維持存続に向けた利用促進策の一環としての取り組みでありますが、市民にとっては非常に関心の高いことは即日定員にて明らかと思います。今後も様々な JR利用促進策を企画検討し、開催する際は周知していくとしていますが、駅を活用した観光と地域交流による利用促進策に対する本市の考えを伺います。

稚内市

次にJR抜海駅の存廃というご質問です。JR北海道の厳しい経営環境につきましては今更申し上げるまでもございませんし、現在のコロナ禍にあってその性質はこれまで以上に厳しいと受け止めているところでありますが、承知の通りJR北海道は平成28年の10路線13線区をJR単独では維持困難との表明以降、経営改善に向けてさまざまな対策を進めているところであります。今回の件につきましても平成30年に国がJR側に求めた経営改善への取り組みの一環として位置づけられ、乗車人員が過去5年間で1日平均3人以下の極端に利用が少ない無人駅を廃止するものというもので、全道の対象線区のうち、JR宗谷線では29の駅の廃止方針を示すとともに、地元として駅を維持したい場合は所在自治体による 維持管理費の負担を求めています。抜海駅はJR北海道の調査によると、乗車人員は過去5年間1日平均の利用者数が1.4人と極端に利用の少ない無人駅に該当し今回廃止対象となったものと受け止めております。

特に抜海駅の場合は、駅の所在地が抜海市街地から2キロも離れていることが利用につながらない大きな要因と考えていますが、地域住民の方にとっては駅そのものが地域のシンボルという考え方が強く、利用するしないにかかわらず駅を廃止することには反対という立場に何ら変わりはなく今日に至っているところであります。本市としては地域も認めている利用の不便さを考えれば、少ないとはいえ、通学や通勤通院などにあたっては別の交通手段を考えては、と提案してきたところですが、受け止め方に大きな差異がありますし、だからといって地域のみに責任を押し付ける考えもありませんので、今後も一緒に考えたい気持ちに変わりはありません。またはJR北海道では例年12月には次の年のダイヤ改正を公表することから、それらの準備作業を考えるといつまでも結論を先延ばしするわけにも参りません。今も説明した通り、地域側の意見をそのまま受け入れるとしたら、市が駅の維持管理費を負担しなければなりませんので、このままの形で残すことには慎重に考えざるを得ないというのが、これまでの市の姿勢でしたが、この間に地域側から駅の利用や財源捻出に積極的に取り組みたいという考えが示されているとのことでもありますので、解決のためにはそれらの状況を見極めるなど、もう少し時間をかけざるを得ないと考えていますが、お尋ねのお話の合意の件であります。私の理解は、合意がなければ何も決められないということではなく、できるだけ双方が納得し合いたいという趣旨だとそのように受け止めております。JR北海道には当然これらの地域の事情を伝えますし、様々なご意見があることは十分承知しておりますが、駅の本来の使命は一定の数のJR利用者があってこそ果たせるものという考えに変わりはございません。

次に今後のJR宗谷線の利用促進策に対する本市の考え方というお尋ねですが、JR宗谷線そのものを将来にわたり維持していくためには利用者の増加が不可欠でありますが、JR北海道からは利用が少なく、鉄道持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区と捉えられており、それでそれを克服するためにJR北海道が昨年度策定したアクションプランに基づいて、この2年間関係者が一丸となって、JR北海道の経営改善を含め線区の維持存続に強い危機感を持ちながら取り組んできたところであります。JR北海道では今年北海道鉄道140年の節目の年にあたり、観光列車としては28年ぶりにイベントなども行える多目的の特急型車両はまなすを新しく製作し、来月17日から営業運転を開始するということであります。この車両は旅を楽しむ観光客にとってラウンジや掘りごたつ式の個室など魅力あふれる車両となっており、特急宗谷などの車両としても運行が予定されているということでありますので、本市としてもこの機会を逃すことなく地域が持つ観光の魅力を沿線自治体とともに、JR北海道や旅行会社へ旅行商品の企画などの集客に結びつく提案をしていきたいというふうに考えております。またJR宗谷線に興味や関心を持っていただくために、これまでも取り組んできた普通列車を利用した小規模ツアーや写真コンテストなどの様々な取り組みにより自らの地域の鉄道を守り育てていこうというマイレール意識の醸成にも引き続き取り組んでまいります。利用客の増加にはやはり移動の手段としてJRを選択していただくことが重要なことであり、鉄道の特性である定時性あるいは大量輸送、さらには飛行機にはない目的の駅に直接乗り入れることができる優位性などを利用者に伝えることに加え、従来の旅客だけの利用促進という発想ではなく、列車の幅広い活用を提案するなどJR北海道の経営改善にもつながるような利用促進の取り組みを進めてまいります。

千葉一幸議員

4項目目JR抜海駅の存廃について再質問いたします。これはもうあの市長ご存知だとは思いますが、国土交通省が示している地域公共交通に求められる役割は、地域住民の移動手段の確保だけではなくて、観光来訪者の利便性・回遊性の向上による人の交流を活性化させることや、外出機会の増加によるにぎわい創出、歩いて暮らせる町づくりによる健康増進などを求められている役割としています。本市は地域公共交通の役割はそこに住む皆さんの移動の利便性を高めることであり、別の交通手段を提案している現状ではありますが、まああのちょっと繰り返しになりますけれども抜海・クトネベツ両町内会としては鉄路が存続している以上、別の交通手段は受け入れられないとの認識であります。現在のJR抜海駅の利用状況では役割を満足に果たしていないという認識を示していますが、本当にそうなのでしょうか。あの観光などさまざまな分野で大きな効果をもたらすよう、自治体が中心となって地域戦略の一環として取り組む必要があると、解決の方向性を国が示しています。地域公共交通の役割、地域戦略の一環としてJR抜海駅を存続させることは地域の足の確保、観光による人の交流、健康増進などに地域にとっても効果をもたらすものと私は考えますが、存続に対する市長の考えを改めて伺います。

稚内市

お答えをさせていただきます。あの今国交省の通達か通知かは分かりませんけれども、そのようなお話をいただきました。先ほどの答弁でもお話しさせていただいているように、私もJRの利用者の数だけが全てではあのすべてだと言ってません、で先ほども言ったようにさまざまな意見があるということも認識しております。したがって今お話をされていた項目それぞれは大事な話でありますが、今回はまさにJR北海道が経営を維持するために様々な考えあの考えを整理した中でてきた案件であって、我々としてはお話の「地域の地域住民の交流が云々」というような話を否定するつもりは全くありませんけれども、そういう意味で経費の問題としてどうなんだということをお話をさせていただいております。あの何度も言うように必ずしもこっちに加担してあっちに加担してという話ではなくて、いろんなご意見がある中で持ってどの道を選択するかそれが私の与えられた使命だという場合に思っておりますから、今いただいた意見も参考にしながらしっかりと判断をしていきたいと。以上です。

千葉一幸議員

それではあの答弁の中にありました、地域のみに責任を押し付ける考えもないということだったんですが、一方でこの地域側から、駅の利用や財源捻出に積極的に取り組みたいと考えが示されている状況を見極めるため、時間をかけざるを得ないという答弁でありました。地域が駅の維持管理費用、例えばクラウドファンディングなどで取り組みをしたとして、存廃の判断は本市にあるわけです。言うなれば資金集まれば存続するということなのか、そのような考えこそが地域に責任を押し付けることになると思わないのか、その点について市長の考えをお聞かせください。

稚内市

お答えをさせていただきますけれども、先ほどの答弁の中で、それらの状況を見極めたいというお話をしてて、金を出したからいいとか悪いとかっていう判断にさせるという話ではございません。以上です。

千葉一幸議員

ちょっとあのーわかりにくいところなんですがそのそれらの状況を見極めるっていうのは、駅の利活用そしてその資金の財源の捻出っていうことなんですけど、具体的に市長の頭の中ではどういうようなことなのか、答弁ではちょっと盛り込みないものですから、あのそこをお聞かせいただきたいと思います

稚内市

お答えさせていただきます、あの資金の話というのはまさにあの新聞にも載っておりましたけれども、クラウドファンディングでもって資金を調達するという考え方を持っているという話を伺っておりますので、そのことであります。

千葉一幸議員

そうしますと、先ほどの答弁ではその経費の問題としてっていうような話もありました。また今クラウドファンディングの話、報道には出てたと思うんですけども、その地域がクラウドファンディング等で財源をそのもし集めることができれば、それは市としては駅を存続させるという判断になるということの認識でいいのかお聞かせください。

稚内市

お答えをさせていただきます。金の話がすべてだという具合には言っているつもりはありません。なぜそこにそのJRの駅があるのか、それをもっと利用促進させるために何ができるのか、そういう観点で持ってしっかりと捉えたいという場合にお話をしていくつもりでありますので。

千葉一幸議員

それではあの本市主催の意見交換会にて、地域の合意なしに廃止はしない想いをしっかり受け止めると地域に示したことから、私個人としては廃止から方針転換すると思っていました。まず先のまあその答弁の中で今後も一緒に考えたいっていうことだったり、また合意がなければ何も決められないということではない、一定の利用があってこそという話もありましたが、市長の考えとしては先の意見交換会で部長が言われた、それは市の主催で市側の話として、地域の合意なしに廃止はしないということに対しては、そういうことではないという認識だということなんでしょうか。お聞かせください。

稚内市

お答えさせていただきます。それそのものは私はそばに行って聞いているわけではありませんから、正確な説明はできないと思いますけれども、私どもの市政運営の姿勢といたしまして、声が大きければそれを受けるとかあるいはそれ以外のことではなくて、むしろしっかりといろんなご意見を交換するなかでもって、できれば双方が納得し合いたい、それができなくてもやはり最後は民主主義のルールでもってしっかり物事を進めていきたい、それでなければモラルの低下にただつながるだけです。そういう思いできっと部長も話してくれたと思っておりますが、残念ながら今お話したように、そばにいませんのでそのニュアンスについては必ずしも正確に把握しているという具合には言えません。

千葉一幸議員

難しいことではないと思うんですが、この地域の合意なしに廃止はしないっていうようなこと、それはそのニュアンスの問題、そこにいるからそのニュアンスが分かるとか分からないとか、そういう問題では私はないと思うんです。で市長としてさっき、合意がなければ何も決められないっていう話やその何も決められないということではないという認識ということは、部長が地域に示した考えと市長の考えは違うっていうことなんでしょうかね。私が違うようにしか聞こえないんですけども、そこをお聞かせいただきたいと思います。

稚内市

お答えさせていただきます。あの何度も繰り返しますけど私はそこにいないんで、ニュアンスをはっきり正確に把握しているかどうかってのは自信がありませんけれども、私はそのような報告を受けて今のようなお話をさせていただいております。

千葉一幸議員

最後にしますあの6月の定例会で再質問の際に、市長は私が入って解決するならやぶさかではないという話がありました。今後は何らか市長としては何か活動をすることを決めていることはあるのかどうか、最後にお聞かせいただきたいと思います