もみじの研究ノート

駅名標の奥深い世界へようこそ。

極端にご利用の少ないトイレ 廃止検討

※終始トイレの話題しかしません。画像もあります。閲覧には十分ご注意ください

利用の少ない駅トイレ

先日発表された、JR北海道のローカル線を維持・活性化するためのアクションプラン。釧網線花咲線の「経費節減」の項目に、利用の少ない駅トイレの利用停止を検討するという、これまでに見たことのない項目が追加されました。はぁ~ついにここまで削減に来たかと。

 なお、この項目があるのはこの2つの路線のみ、つまり釧路支社のみです。他の支社ではこの点にいまのところ言及がありません。まだやるつもりはないか、もう廃止し終わったかのどちらかです。

 無人駅のトイレ廃止。人によってはそんなのあたりまえの経費削減策と考える方も多いでしょう。また、汚いから使ったことがない、確かに不要ではという方も多いでしょう。はい、私もその一人です。今回は、そんな無人駅のトイレに注目して見ていきます。

 

JR北海道 無人駅トイレの現状

といっても私は特に駅のトイレオタクではなく、無人駅のトイレについて熟知しているかといえばそうではありません。私が写真を持っていたり、思いつく事例をいくつか紹介します。

 

国鉄のにおいがムンムンするトイレ

函館線 駒ヶ岳駅

函館支社に位置する駅です。駅舎は駒ケ岳をイメージしたようなそれなりに新しいものが設置されていますが、トイレは別棟です。以下の写真は2018年3月に撮影したものです。

 

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右側が別棟のトイレ。どちらも外観はきれい。

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トイレ内部。蛇口に「使用できません」の文字が見える。

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個室。果たしてここに立ち入って良いのだろうかという雰囲気。

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小便器。スターライト製トイレもびっくりの古さ。

これは国鉄時代にはよくあった形態のようで、映画「鉄道員」の幌舞駅でもそうでしたし、深名線鷹泊駅の傾き、最終的に2018年に倒壊したトイレ棟、中興部駅のトイレ棟などは有名でしょうか。駒ヶ岳駅にはそれが2018年時点で残っていました。この時代にこんな建物が存在していて、しかも入ってよいのかという、驚くほどの古さを感じさせます。

函館線 光珠内駅

札幌圏から2駅ですが、ここでも2020年時点で、別棟のトイレというものが残っています。「便所」の看板がいいですね。

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雪が積もる光珠内駅のトイレ。

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トイレ内部。年数を考えると清潔なのかもしれない。

宗谷線 下士別駅

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家の玄関のような下士別駅

ローカル線の駅舎や待合所は、地元の自治体や町内会などが建設した駅が非常に多いです。例えば、有名な糠南駅も待合室は地元が設置したものです。そのような駅の中でトイレも併設されている駅として思いつくのが下士別駅です。維持管理は地元が行っていたのでしょうか。頭が下がります。

JR宗谷本線 下士別駅 仮乗降場が前身なのに駅舎もトイレも駐輪場もある駅 2020.7.24 - YouTube

駅のトイレが動画で紹介されているケース、意外とあります。気になる方は調べてみてください。(私は気になりません)

このように、国鉄時代からそのままなのでは、というトイレが複数残っています。これらの駅でも定期的な清掃などが続けられていると思うとすごいことです。今回の見直しは当然ともいえます。

 

自治体がトイレを設置した駅

日高線 東静内駅

1994年の改築。東静内駅といえば駅の半分を占める「公衆便所」です。

なんと車いす対応であり、JR北海道車いす対応トイレが設置されていた駅としては、最も駅の規模が小さい部類に入るのではと思います。ツイートではJRの持ち物として紹介されていますが、駅舎内・便所内双方に新ひだか町の貼り紙が掲出されていることから、この駅も全体を町が建設し、維持管理は廃止まで、そして現在も新ひだか町が行っているものと思われます。(しかしこの駅はあまりいいイメージを持てません)

札沼線 札比内駅

駅の脇にきれいなトイレが設置されています。2003年にはあったようです*1

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これは憶測ですが、札比内駅の駅舎内にトイレの跡などはないことから、昔は別棟だった→別棟のトイレが老朽化に伴い廃止される際、町が代替のトイレを建設したことが考えられます。

このトイレは札沼線廃止と共に「利用者の減少」等を理由に閉鎖されましたが、住民の要望などから利用を再開しました*2トイレがないと困るという住民はいるということです。こんな入札情報もあります。

なお現在、札比内駅札沼線代替バスパーク&ライド用の駐車場として活用されています。

石勝線 夕張駅

3代目夕張駅は、実はローカル線活性化の起爆剤として移設されたものです。駅舎の管理は当初マウントレースイを運営する企業が行っていましたが、経営悪化により2002年に撤退。その際ホテルと共に駅舎は夕張市の所有となりました。しかしご存知の通り夕張市財政破綻。一時トイレの管理費が賄えず、閉鎖される事態となりました。

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廃止直前のゆうばり駅待合所。「夕張 観光案内センター」は「市」の文字が抜けており、運営母体が変わったことを意味している。

その後、管理を地元観光協会に委託するなどの変化があったのち、最終的には民間企業の寄付によりトイレを再開放することになった経緯があります。管理者の財政悪化によって利用者に大きな影響が生じた駅と言えます。

釧網線 知床斜里

大規模な駅の事例を一つ紹介します。この駅は2007年の改装。この際にトイレをJR施設から町施設への切り離しが行われました。

知床斜里複合駅舎の建設工事着手について | JR北海道

http://web.archive.org/web/20070930015125/http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2007/070509-5.pdf

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なおこの形態は利用者にもメリットはあり、一般的に町設置のトイレのほうが、JR設置のトイレより明るくきれいな駅が多く、車いす対応や石鹸などの設備も充実しているイメージがあります。

事例はまだまだあると思うのですが、この辺までにします。編集していてなんとなく思うことは、地域が建設する駅舎や駅のトイレは鉄道設備の「上下分離」の先駆けなのかなと。また、当時からうまくいく自治体、いかない自治体それぞれあったと思いますし、その本気度の差は駅の雰囲気に現れます。地域や自治体が駅舎・トイレの管理をしっかりやっている駅は明るく感じますし、そうでない駅はそうではありません。

 

近年改築された駅

函館線 大中山駅

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大中山駅の構内案内図。フォントはヒラギノ角ゴシック。

大中山駅は2013年に駅舎が新しくなりました。その際、JRは経費削減策としてトイレを設置しない方針でしたが、これに七飯町は反発、町がトイレを設置することになりました。駅舎内には、確かに七飯町の貼り紙が見られます。トイレはウォシュレット付きという、JR設置では考えられない豪華なものです。

宗谷線 比布駅

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2016年に駅舎が新しくなった比布駅。当初JR北海道は新駅舎を、規模を大幅に縮小したものとする方針でした。しかしこれでは「街の顔」である駅の賑わいがますます衰退してしまうと考えた比布町はJRと何度も交渉。最終的に町が駅舎を建設することになり、トイレや交流施設などを備えた魅力的な駅舎に生まれ変わりました。

室蘭線吉原駅

北海道初の橋上駅舎の撤去が開始されたのは2020年1月です。撤去費用・新駅舎設置費用は、報道を見る限りJRが負担したとみられます。跨線橋撤去に伴う通路新設や駐輪場は白老町が負担したようです。

工事の開始日からは新たにプレハブの簡易型待合室が設置されました。さて、地上型の駅舎とはどのようなものか期待したところ・・・

まさかの壁が茶色くなっただけ。先ほどの白いプレハブと比べてサイズが大きくなっているのが分かるため、同一ではありません。え、まさかこれが駅舎・・・となりました。トイレは以前駅前に古~いのがありましたが、撤去されています。代替設置はありません。

すでにトイレの見直しが行われた駅

釧網線 中斜里駅

2020年の時点で、老朽化に伴いトイレが閉鎖されています。列車内のトイレをご利用くださいとのことです。

留萌線 石狩沼田駅

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深川駅独自?の経費削減策で、トイレットペーパーの設備が停止されました。現在は町が設置しています。

 

近年のJR北海道の、駅舎に対する考え方

まず、小さな駅に自費で駅舎は設置しない! 設置してもトイレはなし! 設置したければ地元の負担で! 駅舎はコンパクトに! という雰囲気ですね。近年の改築駅は北吉原、北舟岡、北比布、南比布などがあげれますが、北吉原以外の駅舎は町が駅舎の費用を負担したとみられます。JRがお金を出してローカル線の駅舎を新築した例は近年ほとんどないのでは?という感じです。(追記:本輪西がありました)

 

(余談)その数少ない事例が北吉原と思われるのですが、正直あれではがっかりです。もちろん駅舎を町の顔にという地元の要望がないからああなったのでしょうけど、それにしても今のJRは、街の顔であるはずの駅舎をあれっぽっちのものしか作らないのか、という落胆があります。

一昔前は違っていて、特に釧路支社では駅舎の設備が手厚く、直別・糸魚沢・鱒浦などの駅はそれぞれ立派です。旭川支社ではプレハブが多いものの、東風連、徳満にはトイレがありました。あの頃はよかった。

JRは今後も駅舎を簡易なものへと置き換える計画があるようです。個人的にトイレ廃止くらいはやってもいいですが、プレハブばかりがどんどん増えるのは反対です。「駅は街の顔」だから廃止反対という意見を擁護するわけではありませんが、「駅は街の顔」という鉄道の特性は、どうやらバスには代替できないようなんですね。その鉄道にしかない特性を、自分から潰しにいかないでくれと思います。規模はプレハブ程度でもいいので、新駅舎はどのようなものがよいか、地域の住民とよく考えてほしいですね。

ちなみに、30年前に同じく駅の特性をぶっ潰しにきたであろう貨車駅舎も、30年たてばなぜか愛される存在になっています。プレハブでもどんな駅舎でも、30年後、マニアからは愛されるようになるでしょうか。歴史は繰り返すでしょうか。

余談でした。

 

代替設備は列車内トイレ

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H100形気動車のトイレ。のカギ。フォントが太い。

近年JRが駅のトイレを廃止する理由は、経費削減に加えて、代替となる列車内のトイレの設備が充実してきたことが挙げられるのでは、と思っています。釧網線花咲線の主力、キハ54のトイレは洋式化が完了しています。また、H100のトイレは車いすに対応した大きいものが設置されており、十分代替設備になります。列車内にバリアフリーできれいなトイレがあれば、駅の(古くて汚い)トイレの存在意義はほとんどなくなるのです。

 

無人駅にトイレがある姿は貴重になる

今後進むであろうトイレの見直し、それは「無人駅にトイレがある」というまぁまぁ当たり前の光景が、今後じわじわ減っていくことを意味します。減らされる一方の無人駅の設備、トイレは今まで割と普通に残ってきましたが、ついに計画的に減らされる時が来たかぁと。まぁ、トイレは一般的に写真に撮るものではないんですけど、気づいたときに記録に残していければいいかなぁと思います。

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国鉄感のあるトイレを記録するなら今のうちに。

 

トイレ設置駅が公開されている!?

さて、JR北海道無人駅に、どこの駅にトイレがあって、どこにはないか、どこの駅が閉鎖されているか・・・これを把握している人ってなかなかいないのではないでしょうか。私も見当がつきません。ところがまさかの、JR側がこのデータを公開していた、というのがこの記事のメインです。

令和2年度 第2号様式 移動等円滑化取組報告書(鉄道駅)

https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/other/pdf/r2_houkoku_eki.pdf

今後機会があれば、上の資料を詳しく見ていきます。つづく。

 

*1:札比内駅の情報、写真、印象記(北海道:JR北海道-札沼線)」TRAVEL STATION

*2:旧札比内駅トイレの再開について」広報花の里つきがた 令和3年5月号(646号)

ホーロー駅名標のあれこれを考える

こんにちは。もみじばしです。(一時期)サッポロビール駅名標のことが気になりすぎて、夜も眠れておりません(でした) だいぶ重症です。

でも、趣味ってこの、一体どうなるの!?真相は???を色々と考えて自分なりに追求する時間が一番楽しいと思うんですよ。ということで今回も楽しんで書いていこうと思います。

この記事は2本目です。前回の記事はこちら

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北海道の鉄道旅と共にあったホーロー駅名標

やっぱり広告料を払っているのでは

前回の記事で「サッポロビールは広告料を払っていない!」と結論づけましたが、自信のある結論ではありません。矛盾する点もあるからです。

 

今塗りつぶす必要性がない

6月26日現在、塗りつぶしは徐々に進められ、山線塩谷駅側から始まった塗りつぶしは山線全駅に、そして海線東室蘭あたりにまで及んでいます。

また、6月28日に富良野駅の塗りつぶしが行われ、赤平駅・茂尻駅などでも作業が始まっているようです。追記:ちなみに今回、熱郛駅や落合駅などの境界付近にある駅も同時に作業が行われました。今(追記した7月20日)のところ本社管内から作業が進んでいますが、支社境による厳格な区分けはされていないようです。

塗りつぶされて真っ白になり、ねじ等も交換されたものがほとんどですが、白色のシールを張ったのみの例が長万部駅で確認されています。

さて、もし「広告費用を払っていない」とすると、この塗りつぶしは何のためなのでしょうか。もし来年札幌圏を中心にビール広告のない駅名標が設置される場合、札幌圏と広告の有無をそろえるためという可能性が考えられます。しかし現在、札幌圏を中心にビール広告は継続されるようです。この時、広告費用を払っていないのに塗りつぶされる意味がよく分かりません。ただただ塗りつぶしにお金がかかるだけで、誰も得をしないどころか、わざわざ塗りつぶすJR北海道の損です。

そもそも、この駅名標広告は設置時に掲出期間が決められていたわけではありません。毎年お金を払っていないなら今後も塗りつぶさず掲出を続けてもいいはずなのです。塗りつぶすだけの何かがあったのです。

 

勝手には外せないらしい

こんなツイートを見かけました。やはりビール広告は意識している場合があるらしく、むやみに撤去できない=今ある駅名標はしっかりと広告としても機能しているらしいのです。盗難や廃駅によって徐々に減少しながらも、毎年広告費用を払っているのかもしれません。

 

上富良野駅が本当に更新される!?

今回の本題ともいえる内容です。私は当初上富良野駅の駅名標更新について、「富良野」の間違いなのではと考えていました。また、その時から「上富良野にはサッポロビールの研究施設がある」と気付かれていた方がいましたが、私はその可能性について当初十分に検討しませんでした。

が、まあ一応と思って調べてみると、その研究所は本当に駅の近くにありました。

しかも、サッポロビールの事業紹介として上富良野が大きく紹介されています。国内で唯一ビール大麦とホップの両方が生産されている地域特性を生かし、地域の振興を支援しているとのこと。

ちなみに私はこの事業紹介を読んで、サッポロビールは地域貢献に積極的な企業だなぁと感じました。そう、このサッポロビール駅名標だって大きな地域貢献です。同社の印象が大変よくなりました。ビールだけじゃなくていろんな事やってるんですね。北海道が好きな者として、元北海道民として大切にしたい、応援したくなる企業です。

で、これは富良野の間違いじゃないわ、絶対に関係あるわ・・・と思ってしまったのです。

そして実際に、富良野駅は塗りつぶされました。記事のミスではありませんでした。

 

そういえば…苗穂駅

上富良野駅でわざわざ駅名標を更新する理由。それは、広告部分を上富良野にある研究施設をPRする広告にリニューアルすることが考えられます。考えてみれば、似たような例がすでに一つあります。苗穂駅です。

苗穂駅は2019年の橋上化の際、白石駅とは異なり駅名標の新品交換が行われました。佐野書体ではないもののレトロ調の書体となり、広告部分にはこれまで新幹線以外に例を見ない「サッポロビール博物館」をPRする広告が2種類掲出されました。これまでの在来線では「本場の味 サッポロビール」「北海道は サッポロビール」であったため、この広告は「黒ラベル」「クラシック」と共に異例の広告なのです。サッポロビールがその地域独自の広告を掲出する。今回上富良野駅では似たようなことが行われる可能性があるのではと思います。

(ここは完全に憶測なのですが、来年札幌圏の駅名標はガラッと変わり、これまで見慣れたデザインが大きく変わる可能性もゼロではありません。もしそうなり、かつ苗穂のみ更新が行われない場合、これまでの雰囲気を残す駅名標は苗穂のみとなります。苗穂駅は新しいながらも鉄道のまち、ビールのまちとして駅の歴史を活かしている部分があり、この駅名標もその一つにしたくて、あえて旧デザインの復刻をしたのか?なんて。本来は新函館北斗のような新デザインでも良かったのです。)

 

札幌圏、駅名部分は更新される?されない?

前回、JR北海道は「駅名標のデザインについて、多言語化ユニバーサルデザイン化を含めたデザインの抜本的な見直しを検討しており、今回の更新に至った」と推測しましたが、上富良野駅の更新が濃厚になったことから、これは誤りの可能性が高くなりました。富良野線上富良野だけ駅名部分のデザインを変えてもおかしいだけです。というわけで、今回の更新は下部分のみで、上部分は今後もしばらく何も変わらないのではと推測することもできます。

ただし、上富良野と札幌圏が全く同じように更新されるとも限りません。また、北海道新幹線も新デザインになるという表現がされており、いやこれ、野幌とかも変わるの?などと疑問は尽きません。今後の動きに注目です。

 

小さな駅に縦型駅名標は不要?

車内アナウンスや車内表示器の充実が進んだ昨今、駅名を駅名標で確認する一般利用者がどれだけいるかと言われると、あまりいません。1日何人乗り降りするかわからない小さな駅に高価なホーロー製の駅名標を配置する意味も、あまりありません。30年前と比べて明らかに駅名標の役割は衰退しており、実際緑が丘駅、西留辺蘂駅などの新規開業駅では、縦型駅名標は設置されていません。盗難された駅名標の代替品が設置されたのは、秘境駅として注目を集める問寒別・雄信内のみです。

また、今年3月に廃止された徳満・上幌延・安牛では、廃止を前に盗難防止対策として駅名標が撤去されました。各駅では駅名標部分や駅舎内に「駅名標は撤去した」旨の掲示が貼り付けられ、代替の駅名標に相当する掲示はされませんでした。これは、縦型駅名標はあってもなくてもよい。なくても旅客案内上問題は生じないと考えていると言えます。

そのため、JR北海道では「小さな駅に縦型駅名標はなくてもよい」「今ある駅の縦型駅名標は残すが、今後盗難や老朽化した場合、代替の新しい駅名標は設置しない」という方針があるものと思われます。

ところで近日、宗谷線の多くの駅でホーロー駅名標がなくなる事案が発生しました。このうち、咲来・筬島では音威子府村広報紙により盗難があったと伝えられています。このほかにも複数の駅で、駅名標が木の板だけになったり、根こそぎなくなっていたりしています。

このうち抜海駅では駅舎に「JR」を含めて4枚の駅名標が設置されていましたが、先日少なくとも2枚がなくなっていました。この件について、個人的に大変残念なことであったため、情報提供を兼ねて駅施設を維持管理している稚内市に連絡したところ、「盗難事件があることから、JR北海道が一部を除き撤去した」旨の連絡をいただきました。

抜海駅を管理する南稚内駅では、廃止される徳満駅のホーロー駅名標をかなり早い段階から撤去していました。また現在、勇知駅でも一部のホーロー駅名標が見られなくなっており、南稚内駅の判断で撤去が行われたものと思われます。

個人的には、ああ、もう北海道の駅にホーロー駅名標が当たり前に掲出される時代は終わってしまったのかな、と残念に思っています。なんか情けないですね。なんとかならないのでしょうかね・・・

なお他駅については、過去の事例等を踏まえ、JR側・沿線自治体側がすでに状況を把握しているものと考え、このような連絡・問い合わせは行っていません。

現在もオークションでは複数のホーロー駅名標が販売されていますが、怪しいものは購入しない、窃盗犯の応援につながるようなことはしないというのも大事だと思います。

 

塗りつぶし・残存はファンへの配慮かもしれない

そんな中、今回ビール広告の「塗りつぶし」は大変ありがたいことです。1枚1枚塗りつぶしてねじを交換するより外してしまったほうが作業は簡単と思われる中、今後も残してくれるのですから。個人的には秩父別駅金山駅、緋牛内駅のようにたくさんの看板が設置されている駅で、広告の役割がなくなった時、果たしてすべての看板が生き残るのかどうか、気になるところです。JR北海道のマニュアル的には、あってもなくてもどちらでもよい看板ですので。

しかし、北永山駅などの小さな駅ではホーロー駅名標がなくなっている駅もあります。もしかしたら駅の規模ごとに方針が異なり、仮乗降場風の駅では撤去される駅が増えるかもしれません。廃線が濃厚な留萌本線などはどうなるでしょうか。少し心配でもあります。今後の動きに注目です。

 

さて、ここまで色々見てきましたが、結局広告にお金を払っているのかいないのかは、よく分かりません。誰か取材してくれないかなぁ・・・と、今後のメディアの記事を待つことにします。次回北海道に行ったら、札幌圏を中心に色々お葬式しないとなぁと思っています。地方にも残っていれば良いですが、間に合うでしょうか。

「サッポロビール」駅名標広告 撤去の背景には

サッポロビール」撤去へ・・・

ご存じの通り、サッポロビールは現在JR北海道の駅に設置されている「本場の味 サッポロビール」の駅名標広告の掲出を終了するというニュースが報道されました。北海道の駅を象徴する看板であっただけにとても残念です。

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北海道の鉄道に欠かせない、ホーロー駅名標と「サッポロビール

配信されたニュースを読む

hre-net.com

記事は6月9日の正午、北海道の今を読み解く地域経済ニュースサイト「リアルエコノミー」によって配信されました。北海道の鉄道関連のニュースの第一報がこのメディアから配信されることは珍しく感じます。

 広告掲出から今年で37年、サッポロビール(本社・東京都渋谷区)はJR北海道ソリューションズ(同・札幌市東区)と協議、定期的に実施している広告施策の見直しの一環として駅名標広告の掲出を終了することにした。

駅名標管理しているのはJR北海道ソリューションズです。旧「ジェイ・アール・エージェンシー」で、駅名標の盗難を伝えるニュースでも同社が取材に答えています。

サッポロビールが広告施策の見直しを定期的に実施しており、今回もその一つというわけです。雰囲気的にはサッポロビール側から見直しの提案をしたような雰囲気です。

当時から変わらない駅名標が設置されている駅は、2020年の時点で約410駅。

ほう。410駅ですか。これは「平和」が含まれるのか、「手稲」が含まれるのか「摩周」「知床斜里」が含まれるのか気になるところですが、ところでJR北海道の駅って今いくつでしたっけ? 

会社概要|企業・採用|JR北海道- Hokkaido Railway Company

https://www.jrhokkaido.co.jp/corporate/company/comtop.html

 

現業機関 2020年6月1日現在

駅 390(有人駅101 無人駅289)

・・・え? 390駅?そして2020年6月時点? これは日高線を含んでいるということです。え、公式、データ更新してないの・・・?

とりあえず、この部分は後日検証が必要です。ここの数字がちゃんとしているか、していないかが、記事後半の内容にかかわってきます。

このうち函館や新函館北斗、小樽~岩見沢間、旭川、札幌~苫小牧、札幌~北海道医療大学間、帯広、釧路、上富良野の各駅のほか、北海道新幹線新函館北斗木古内奥津軽いまべつの3駅を合わせた約60の駅には、新デザインの駅名標が掲出される。新デザインの掲出は、22年度からだがデザインは現在、検討中。

新デザイン?? これまた初耳です。設置される駅は札幌圏、函館、新函館北斗旭川、帯広、釧路、上富良野及び北海道新幹線の駅です。これまた設置基準が謎で、「主要駅」にしては室蘭や北見がありません(まあ主要駅ではないのかもしれませんが)「観光客が多い駅」としても登別・洞爺がありません。「新しくて近代的な駅」としても、釧路駅はちょっと変です。さらに謎なのが「上富良野」です。「富良野」の間違いであることも考えられます。設置は来年度とのことです。

それ以外の駅にある駅名標は、6月から順次、広告部分が撤去または塗りつぶされていく予定になっている。

はい。なんか山線で塗りつぶしが始まってしまいました。「6月から順次」ということで予定通り進んでいるということでしょう。

それ以外の駅は」とあり、札幌圏を中心にサッポロビールの広告はあと1年ほど残ることになります。

「撤去」という表現もあり、塗りつぶし以外にも動きがあるのか気になります。上側駅名部分と合わせて撤去ということなのかもしれません。

国鉄時代から続いてきた「サッポロビール」入りの駅名標が終了することに伴い、関係者は駅見回りを強化、駅名標の盗難を防止することで駅を大切にしてきた地域住民の思いに応えていく。

はい。よろしくお願いします。

 

広告料は毎年払っているのか?

今回の駅名標広告の撤去。「いままでサッポロビールは毎年広告料を支払っていたが、ついに終了することになった」という受け止めが広がりました。しかし、果たしてそうでしょうか。私はこの点を中心に、広告撤去の真相に迫っていきます。なお、憶測があります。それを踏まえてお読みください。

駅名標広告の歴史

もともとこの駅名標は、収支が悪化する国鉄の経営改善策として1984年に導入された駅名標です。広告主に駅名標の製作費用を全額負担してもらい、今まで文字だけであった駅名標の下部に広告を掲示するというコンセプトで制作されました。ちなみに北海道の駅名標は後期型のものであり、国鉄書体の中でも高く評価された「佐野書体」が用いられています。この辺りは中西あきこ著「されど鉄道文字」などを読むとわかります。

当時の新聞記事 

以前私は北海道新聞の記事を読んだことがあります。札幌鉄道管理局管内では、1984年の7月末~8月の約1か月間に、3000枚の駅名標が新しくなったようです。サッポロビール駅名標制作費用の全額を負担したほか、国鉄三百数十万円の広告収入が入った。とあります。単純計算で、1枚当たり1000円です。なかなか安めのようにも見えますが、ホーローという高価な素材で相当な数を制作していますし、無人駅の掲示が多かったことを考えると、まあこんなものか、という気もします。

ちなみに函館地区では仮乗降場にも掲示されたり、釧路地区では特定地方交通線には設置されなかったなど、いろいろと話題がありますが、今回は省略します。

さて、ここで「三百数十万円の広告収入が入った」と書かれていますが、今後も継続して入るとは書かれていません。書いてあったらその内容もツイートに書いているはずなので・・・ 後日再確認したいですね。ともかく、広告料収入はこの一回きりではないか、という雰囲気がします。

道南いさりび鉄道への譲渡

サッポロビール」の広告が他社に譲渡された事例があります。その一つが道南いさりび鉄道です。 

北海道道南地域(五稜郭木古内間)並行在来線 経営計画

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/BusinessPlan.pdf

道南いさりび鉄道の鉄道施設は、「列車運行に必要な施設・設備は、現在、江差線五稜郭木古内間)を運行しているJR北海道から譲渡前に必要な整備・修繕や不用となる資産を整理した上で譲り受ける」としています。譲渡額は約16億円であり、同額をJR北海道が支援金という形でいさりび鉄道に支払い、実質無償譲渡という形をとっています。

ここに、サッポロビールの広告については何も記載されていません。議事録にも何もありません。いや、当然といえば当然なのですが、会社が変わるのにサッポロビールとの広告契約を話し合わないというのは不可解な気がします。いずれにしても、ここの議事録に乗るほど大きな話題ではないというのは確かですが。

鉄道記念館への譲渡

国鉄民営化前後に廃止された路線、深名線江差線などで、駅名標の譲渡、および資料館での展示が行われています。(たぶん譲渡だと思います。ちなみにSLなどはJRが町に貸し付ける形を取っています)私がすぐに思いつく例は計呂地、佐呂間、一ノ橋、三笠鉄道記念館、政和、江差などがあります。そこで気になるのが、駅名標サッポロビール広告とともに保存されているかです。基本的にビールの広告は保存されていない駅が多いんですね。例外的にビール広告付きなのが佐呂間芭露一ノ橋音威子府*1滝里(レプリカ)、置戸(昔)、北檜山です。(ほかにもあると思います。思いついたら追加します)

なお、近年の廃駅はサッポロビールを含めて保存される駅が増えてきているような印象を受けます。例えば上のツイートの天幕川湯弟子屈、ほかには智東直別・尺別北豊津沼牛などです。

それでも江差吉堀木古内町郷土資料館)、茶内清水沢?などはビールなしです。

もし廃線後もビール広告を掲出している場合、何らかの手続きが行われるはずです。特に佐呂間・芭露ともに屋外に掲出されており、広告料を払っている可能性もあるのです。しかし、そんな話は聞いたことがありません。

傾向として、国鉄末期から現代に近づくにつれ、ビール広告付きの駅名標が増えてきている。ただし江差線など、最近でもビール広告がない路線もある。と言えます。

オリジナルグッズ

JRがホーロー駅名標を「駅名標ミニチュアレプリカ」として売り始めたのは2017年ころだったと思います。1枚1000円で最初は主要駅からの発売。徐々に廃駅など、発売駅が拡大されました。

www.tabirai.net

それまでもホーロー駅名標のストラップなどはあったものの、フォントのバランスなどが本物と異なっていました。この「駅名標ミニチュアレプリカ」は、駅名部分のフォントが本物と全く同じと言っていい再現度であり、公式ならではの再現度となっています。

最大の特徴は、しっかりと「本場の味 サッポロビール」が入っていることです。これは「サッポロビール 商品化許可承諾済」などの表記が、きっとあることでしょう。

www.e-hkiosk.jp

・・・ない。

JR北海道が最近発売した入場券として、「日高本線記念入場券」があります。基本的に上のミニチュアレプリカと同じデザインであり、2018年以降見ることができなくなっていたホーロー駅名標を入場券にするアイデアはたいへん斬新で素晴らしいアイデアと感じ、私も一冊購入しました。

日高本線記念入場券を発売いたします - JR北海道

https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20210202_KO_hidakakinen.pdf

駅名標(アクリル製)を模した苫小牧駅から様似駅までの全29駅の記念入場券

うーーーん、サッポロビールについて何も言及がありません。商品や「きっぷ」として販売することへの許可、一体どうなっているのでしょう。

 

さて、いろいろとみてきましたが、はっきりと書かれた文献が全く見つかりません。道南いさりび鉄道の収支にサッポロビールからの広告収入がある場合、それなりに大きな収入となって表れるようにも思うのですが、それもよくわかりません。

 

広告として不可解な点

次に、あの「サッポロビール」が広告として不可解である点を見ていきます。なお、私は広告の掲出についての常識をあまり持ち合わせていないため、あくまでイメージとしての「なんか変だな」という点です。

  • 観光客が多い駅に掲出されていない

あの駅名標、北海道第2位の乗客数を誇る新千歳空港駅で掲出されていません。おそらく開業時の従来駅とは全く異なるデザインのなかで、掲出しないことを選んだのだと思いますが、広告の観点から考えると非常にもったいなく、不可解です。

また、釧路湿原駅、(臨)原生花園駅、(臨)ラベンダー畑駅などにもありません。臨時駅は通常駅とは異なりますが、臨時駅だからこその掲出の意味があるはずです。が、どこにもありません。あるのはトマム(アルミ製)くらいです。

  • 盗難されてもそのまま

ご存じのようにホーロー駅名標は盗難が相次いでおり、渡島鶴岡、渡島砂原、増毛、上厚内、問寒別、雄信内などなどもうあらゆるところで盗まれています。これについてニュースで報道されることもあります。が、記事中に登場するのはJR北海道、またはJR北海道ソリューションズのみであり、サッポロビールが登場したことを見たことがありません。また、留萌線駅名標について「いたちごっこになる」という理由で再設置はされませんでしたが、駅名標の再設置についてサッポロビールとの議論が行われたようにも見えません。

※くれぐれも駅名標や駅施設の窃盗行為はやめましょう。

日高線不通区間駅名標は、2018年の夏に盗難防止策として撤去されました。(どこかの新聞記事に、『「駅名標を撤去するとは廃線のようではないか!」とどこかの町長が抗議した。よく聞くと、JR北海道が盗難防止策として撤去したいと申し入れたのだった』という記事があったんですよね。いま見つけることができません)ともかく、それ以降日高線の不通区間にビール広告はなくなってしまったのです。これについても、サッポロビールと協議したという形跡は見受けられません。根室線を含めて、不通区間の広告はどうなっているのでしょうか。特にホームに入れない落合の扱いは気になります。(落合駅のホーム、最近チェックしていないですが、とうとうホーロー撤去されましたっけ?後日確認します)

  • 駅によって差がありすぎる

皆さんご存じだと思いますが、「きたみきたみきたみきたみきたみ」のような駅が、一日数人の駅においても存在します。その一方、ある程度大きい駅でも数枚しか設置がない駅もあります(例:仁木駅)広告媒体としては全く駅の規模による枚数があっていないのです。もし本気でビールを宣伝したい場合、こんな差があるのはどうなのかと思います。

 

私の考え

さて、ここまで見てきました。根拠が少し乏しいながら、私は「サッポロビールJR北海道に、広告料を毎年支払っているわけではない」「設置費用の負担、及び初年度に支払われた額のみなのでは」と考えています。通常の広告とは趣旨が異なる点を差し引いても、明らかにビールを宣伝するという広告効果が薄く、さらに盗難や譲渡などの際にサッポロビールがかかわったという話が聞こえてこないからです。

ではどうなっているか。あの駅名標は全て、サッポロビールからJR北海道国鉄)に「寄贈」のような形をされているのではないか。だからこそグッズや入場券としてある程度自由に販売ができるのではないか。と考えています。

 

札幌圏でデザイン更新?

さて、報道においてもう一つ重大な点が、「札幌圏を中心に、駅名標のデザインが変わる」ということです。確かに近年駅名標を巡る環境は大きく変化し、多言語表記など、全ての人にとって分かりやすい案内がより重視されるようになりました。現在の駅名標は「すみ丸ゴシック」「佐野書体」という非常に読みやすい書体が使用されているものの、多言語表記、駅ナンバリング表記などは行えていません。駅名標の寿命というよりも、時代に合わせた新しいものに取り換えなければならないというJRの考えがあるような雰囲気を感じます。

追記:この説は誤りの可能性も出てきました。詳しくは次回の記事に記載しています。

 

考えられる2つの理由

このサイン更新。そして広告の撤退。2つの理由が考えられます。

  • JRのサイン更新計画を機に、全駅のスポンサーをやめる

今回の撤退はサッポロビールの広告事業の見直しです。JRの計画によってサインを更新するとなれば、また札幌圏の全駅で駅名標の製作費用を負担しなければなりません。 そこでこのタイミングを区切りに、JRが単独で駅名標を製作することになる。

  • JRのサイン更新計画を機に、地方駅のスポンサーをやめる

気になる記事を見つけました。

ebetsunopporo.com

この記事はリアルエコノミーの記事を基にして書かれたと思われ、独自の取材等は行っているようには見えません。しかし、この記事を読むと、「サッポロビールの広告における変更は以下の通り」として、「主要駅や利用の多い駅の駅名標は、新デザインの広告を採用」とあります。この文章、読み方によっては「主要駅や利用の多い駅の駅名標は、新デザインのサッポロビール広告を採用」と取れます。・・・取れません? 

つまり、来年以降の札幌圏・主要駅には「新デザインのサッポロビールの広告」が設置されるということです。サッポロビールが完全に撤退するわけではありません。「6月からの塗りつぶし作業」が札幌圏を中心に除外されるのもこのためである。

代わりに地方の駅では、いつか訪れる駅名標の更新費用を負担しないことを今のうちに決定。地方の駅のスポンサーをやめる。悲しいことではありますが、「広告施策の見直し」としては常識的なことかと思います。

記事の表現のミスも考えられますが、私みたいな個人ブログよりもしっかりした情報ナビだと思います。最初読んだ時あの記事をこう捉えるか〜と驚きました。

 

私としてはこの2通りを考えています。なお、前者は「新デザインの広告を採用」という記事に、後者は「寄贈され、一般的な広告ではないのになぜ塗りつぶす必要があるのか」「やっぱり毎年広告料を払っているのでは」という矛盾点があります。この部分は、ちょっと謎です。

 

駅の風景も新しいものへ・・・

始まってしまいました塗りつぶし。いや〜残念ですね。しかし、とても丁寧な塗りつぶしであり、ネジも交換されています。個人的にはもっと雑な作業を想定していたので、ちゃんと大切にされているなぁということは伝わってきます。残念ではありますが、意外となれるのも早いのではと思っています。今までの駅名標の新しい姿も、全駅記録を目指して頑張っていきたいと思います。

さて、札幌圏を中心に新しいデザインが導入されるようです。新しいデザインがフォントのミスがなく、見やすく、北海道の新たな駅風景として親しまれることを切に願っています。どんなデザインか、果たしてサッポロビールの広告は入るのか。ちょっと楽しみです。

つづく。続きはこちら

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さようなら。本場の味 サッポロビール

 

*1:音威子府は昔ビール広告なしだったものの、後年付け足されたようです。1997年頃の様子がこちら

JR北海道のミニ時刻表を比較してみた 学園都市線編

「名刺サイズ版 各駅時刻表」

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懐かしの時刻表

かつてJR北海道では札幌圏を中心に、各駅の時刻表を配布していました。上の様式からフォントなどの変更を経て、残念ながら2018年3月16日をもって配布を終了。水色の統一されたフォーマットで、皆さんも一度は目にしたことがあると思います。私は熱心に集めていた時期がありました。

私の家のコレクションを整理していると、おびただしい数の時刻表が出てきました。その数はなんと100枚以上。時期の違いはあるといえ、私も本気で集めていた時代があるんだなぁと改めて感じました。今はすっかりなくなってしまった趣味です。

さて、そのコレクションを見ていると、各駅でちょっとずつ表記が違うんですよね。これって詳しく調べてみたら、なかなか「沼」じゃね?ってことで、ちょっと調べてみました。そしたらなかなか大変なことに。今回はまだマシな路線として学園都市線を特集します。

今回、2013年のものを研究対象にします。なお、閲覧した資料は基本的に手元のものではなく、アーカイブサイトに残っていたものです。こちら

学園都市線の時刻表を比較する

ご存じの通り学園都市線は多線との乗り入れが少ないシンプルな路線です。なのでそんな取り上げることもないでしょと思ったら、案外いろいろありました。今回は学園都市線札幌~北海道医療大学間の各駅時刻表を比較します。

駅名表記

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八軒駅発車時刻表】の部分。八軒~拓北間の全駅で、文 字 間 に 若 干 の 隙 間 が 開 い て い ま す 。他路線では見られない特徴です。

改正時期の表記

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新琴似、太平、あいの里教育大石狩太美石狩当別北海道医療大学の各駅では方面表記の右横に。八軒、新川、百合が原、篠路、拓北、あいの里公園では駅名表記の上に記載されています。すべて「H24.10.27改正」で統一されています。

行先凡例

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新川のみ駅名表記の右側と下部が混在しています。北海道医療大学は行き先表記を省略していないため、表記がありません。

北海道医療大学以外の駅の省略表記について、新千歳空港行きが札幌・桑園のみ「空」となっている以外は、全て「札」「千」「新空」「公」「当」「医」「月」「浦」「新十」に統一されています。

種別凡例

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桑園~石狩当別間の全駅で「札幌から快速」は「青」となっています。(学園都市線は単純なのですが、この後函館線で大変なことになります)

新十津川方面の案内

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学園都市線の大きな特徴が、新十津川方面への乗り継ぎ案内です。新川~あいの里公園駅の各駅で見られます。なぜか八軒と石狩太美にはありません。

駅の電話番号

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学園都市線には業務委託駅が多いという特徴からか、駅の電話番号を記載している駅が多くあります。新琴似あいの里教育大間はスペースの都合からか片面のみ。拓北駅の「ご旅行の予約はお電話でどうぞ!!」が異彩を放っています。ところで現在は電話予約、というかそもそもJR券以外の発売を基本やっていないはずです。時代を感じる表現です。

その他

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石狩当別北海道医療大学にはワンマン列車に関する注意書きがあります。

 

考察

はっきりとはわかりませんが、「札幌」「桑園」「八軒」「新川」「新琴似・太平」「百合が原・篠路」「拓北」「教育大・公園」「石狩太美石狩当別・医療大学」と、それぞれの有人駅で別々に作っていそうな気はします。業務委託駅と直営駅の差はちょっとよくわかりません。強いて言えば石狩当別周辺の3駅は駅の電話番号の表記がなく、他の函館線の駅と似た「直営駅」感があります。

 

学園都市線はまだまだ序の口です。これから函館線千歳線という「沼」にはいっていきます。お楽しみに。

3月から変わる駅名標たち 宗谷線その3

すっかりブログの更新頻度が落ちてしまいましたが、書ける時に書いていきます。なお、このシリーズにおいて、いつ更新されたかのタイミングなど、検索に膨大な手間を要する細かい情報を省略する場合があります。ご了承ください。もっと早く記事書いとけって話ですね。ごめんなさい。

 

多寄駅

  • 未更新確認日時:3月5日
  • 更新確認日時:3月11日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上にステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴB・Helvetica細字
  • プレートフォント:新ゴBHelvetica

多寄駅には1990年代のホーム移転時に設置された「ロダンEB」の駅名標が、今回も続投です。さてさてそのステッカーですが、「しもしべつ」がちょっとおかしなことになっています。他駅とは異なり新ゴBの太字なんですね。しかも英語は細字。これは、以前設置された士別駅の吊り下げ駅名標と同じ書体です。そこからデザインを流用したと思われます。

廃駅後は、新ゴの太字で「しべつ 」と書かれたプレートが。結果的にはロダンEBと太さが調和しています。

士別駅 1番線 吊り下げ式

  • 未更新確認日時:3月7日
  • 更新確認日時:3月8日日中
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:書き換えた上に紙
  • 紙フォント:MSゴシック・MSゴシック
  • 新隣駅フォント:現時点で不明

3月8日に「きたけんぶち」表記がない姿が確認されています。これは大変貴重で、ちょうど更新作業中だったと思われます。過渡期はやる気がなく、MSゴシックによる紙・となっています。

 

士別駅 2番線 吊り下げ式

  • 未更新確認日時:2月23日
  • 更新確認日時:3月5日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上にステッカー
  • 紙フォント:新ゴB・Helvetica細字
  • 新隣駅フォント:新ゴDBHelvetica

これはもともとの駅名標のフォントがおかしかったのですが、プレートの上のステッカーもそのまま同じフォントで貼られました。隣駅更新後は新ゴDBと、「しべつ」と同じ太さになったようです。

 

士別駅 2番線 植建式

  • 未更新確認日時:2月23日
  • 更新確認日時:3月5日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上にステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴB・Helvetica細字
  • 新隣駅フォント:新ゴMHelvetica

この駅名標、吊り下げ式と同じくそもそも元がおかしいのですが、ステッカーもそのおかしいものがそのまま印刷されました。廃駅後は、高校なりました。

 

 ちなみに、廃止後の士別駅では下士別、東六線、北剣淵3駅の接近標が設置されています。下士別、東六線は石井ゴシック?的なレトロなフォント、北剣淵は黄色が濃い新ゴです。

 

剣淵駅 1番線

  • 未更新確認日時:
  • 更新確認日時:3月11日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上にステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・華康ゴシック
  • プレートフォント:新ゴDBHelvetica

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剣淵駅 1番線の駅名標(撮影:かみかわさん)

※1番線には駅名標が二枚あり、名寄方のものは新品に交換されているようにも見えます。要現地調査。

 

剣淵駅 2番線

  • 未更新確認日時:
  • 更新確認日時:3月7日
  • 枠:そのまま
  • 板:新品交換
  • 隣駅:ステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・華康ゴシック
  • 新隣駅フォント:新ゴDBHelvetica

 

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剣淵駅2番線 新品の駅名標(撮影:かみかわさん)

なんとなんと、こちらは新品に交換されています。どちらも設置時期は変わらないはずなのに、どうしてこう対応が分かれるのか、謎でしかありません。

 

和寒

  • 未更新確認日時:2月28日
  • 更新確認日時:
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:ステッカー
  • ステッカーフォント:不明
  • 新隣駅フォント:新ゴDBHelvetica

 フォントがおかしすぎると物議を醸した「わっさ」の駅名標。今回の更新でさらにフォントが増える結果に。そして英語、なんか細長くないですか・・・? JR北海道で一番の迷駅名標です。

 

和寒駅 屋根下

  • 未更新確認日時:
  • 更新確認日時:3月10日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:プレートの上にステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴB・Helvetica細字?
  • 新隣駅フォント:新ゴDBHelvetica

こちらのステッカーは、おかしな駅名標のフォントをそのままに、サイズを調整したものが貼り付けられたようです。プレートのフォントは、まあMSゴシックなんかよりはいいんですが、これをボールドにすべきなんだよなぁ・・・と。何もかも中途半端です。多寄を太字にしたならこっちも太字にしましょう?

 

蘭留駅

  • 未更新確認日時:
  • 更新確認日時:3月10日
  • 枠:そのまま
  • 板:そのまま
  • 隣駅:ステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・Helvetica
  • 新隣駅フォント:新ゴDB・Helvetica

 蘭留駅は旧駅名標が残存しました。(残存!!!!!って感じで嬉しいです)新ゴDBのステッカーというのも、今回の標準的な対応です。が、ちょっとアンパランスになってしまったのが残念ですね。ゴナEなら新ゴDBに、新ゴBなら新ゴBにしてほしかったです。

 

比布駅

  • 未更新確認日時:3月6日
  • 更新確認日時:3月10日
  • 枠:そのまま
  • 板:新品交換
  • 隣駅:ステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・Helvetica
  • 新隣駅フォント:新ゴDB・Helvetica

 

比布駅はいわゆる旭川支社タイプに交換されました。文字が細く、緑のラインがしたすぎてバランスが悪く、個人的には気に入りません。デザインとしては隣駅が小さいJR北海道初期デザインを模したのだと思います。ってこれどこかでもう書いたっけ。

 

北永山駅

  • 未更新確認日時:
  • 更新確認日時:3月4日
  • 枠:そのまま
  • 板:新品交換
  • 隣駅:ステッカー
  • ステッカーフォント:新ゴDB・Helvetica
  • 新隣駅フォント:新ゴDB・Helvetica

 

旭川支社デザインが旭川支社デザインに交換されました(お金のムダ) 若干「きたながやま」が上に配置されるなど、レイアウトに差があることがわかります。

さて、宗谷線はここまでです。ま〜あ駅によってバラバラです。そこがまた面白いので今回記事にしてまとめました。このままだとよくわからないので、後日一覧表でも作りましょうか。

JR北海道駅名標をデザインする人には、少なくとも「ミス」はないようにしてほしいと思います。そして、その駅は新品交換する必要があるのか、よく考えてほしいですね。

このあとやる気が起これば、石北線もまとめていきたいと思います。

 

 

 

大通駅のサインが更新されました 5

今回も大通駅の悪いサインを紹介します。ご了承の上お読みください。なお、悪い悪いだけ言っていてもカッコ悪いので、自分なりにどのようなサインがよいか、改善策を考えてみる記事も出したいなと考えています。

 

西側・駅構内

今回は駅構内(改札内)に入ります。今のところ筐体ごと更新されているのは南北線麻生方面の連絡通路、つまり西側のみです。

 

矢印に従わない昇降表示!?

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なんとなんとなんとなんと、この黒サインで必ず採用されてきた「矢印に従って昇降願います」が採用されませんでした。この場所に従来あった「階段左側通行」をそのまま継承、上方向は黄色としていた色使いもありません。個人的にはこちらも東西線の伝統的な表現であり、継承はうれしいですが、なぜ統一しないのか疑問が残ります。

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まったく同じ表現を2つ横に並べているのも感心しません。上下の矢印くらいつけなかったんですかね。

 

サインマニュアルが適当なせいで

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この横に長いサイン、見た目どうなんですかねぇって気もしますが、まあいいとします。で、英語がFのみ大文字となっています。これはほんとまちまちで、これは業者ではなくサインマニュアルに問題がある気がするんですよね。

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札幌市営地下鉄のサインマニュアル。tiket gateとfare adjustment machineがすべて小文字で掲載されている。

このようなガバガバサインマニュアルを制定するから、業者は困ってFもAもMも大文字にしたり、Fだけ大文字にしたりするのです。ちゃんとサインマニュアルにどこを大文字にするのか決めておくべきなのです。

 

「・」は英語ですか?

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大通駅でも特に人通りが多いこのエリア、以前より少し小さめのサインが設置されました。しかし表記内容が・・・南北線 東西線 東豊線と並んでいた方が自然ですし、南北線東豊線は「連絡通路」の表記があったり、大きさに差がついていてもよかったです。さらに、英語表記に「・」がつくカッコ悪いサインが導入されました。英語表記はそもそも「Namboku Line for Makomanai」が自然です。そして「・」はどう考えても日本語。今回のサイン更新は「情報の多言語化」が目的です。このような洗練されていない英語でいいんでしょうか。

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長い看板ですから、麻生方面には「さっぽろ」が欲しいです。いずれにせよ奥にある「南北線」の非電照サインとの整合性も取れていませんし、非電照サインはいらなかったのでは とも思います。サイン計画がうまくいっていないのです。

 

西「出口」

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今回のサイン更新から、降車客用サインの「出口」は「改札口」になりました。しかしこのサインには「出口」が残っています。結果として両者が混在している状況です。さらに「大通西4丁目」とありますが、文字の大きさも表示内容も、何とも中途半端と感じます。改札口は確かに大通西4丁目にありますけど、大通西4丁目そのものへは南北線にある「北改札口」のほうが便利です。

 

To Asabu

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To Asabuと書かれたのはこの1カ所だけで見かけました。うーん担当した人が違うんでしょうかね。

 

宮沢方面

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ここも従来のサインよりやや小さめのサインが、内容そのままに更新されました。中国語に「宮澤」とありますが、「之」が抜けていますね。今回のサイン更新は中国語にもミスが多いです。おそらく韓国語も完ぺきではないのでしょう。

 

 

 細かく見てみると

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「・」だったり「 , 」だったり、中国語にも「・」があったりなかったり。そうそう中国語の「方面」って「方向」とどちらが正しいんですかね? 少なくとも大通駅の周りのサインは全て「方向」でしたよ? と思ったら、サインマニュアルには「方面」ってなってるし。

 

まあ細かいミスは置いておくにしても、「多言語表記の充実」を第一の目的としながらこの有様は本当に残念です。市民の税金がこんなことに使われているのかと、元札幌市民の私は悲しくなります。もちろん市民もこんな細かいところには気づきませんが、明るみになれば怒る人は多いと思います。

札幌市交通局は2022年度までに、全ての駅のサインを四ヶ国語化するようです。二度とこんなことは繰り返して欲しくないなと思います。

 

大通駅のサインが更新されました 4

おことわり

今回の大通駅のサイン更新は良いものと悪いものがあり、今回は悪いところばかり紹介します。あらかじめご了承の上お読みください。よいサインもちゃんとありますので、次回の記事をお待ちください。

 

頭の悪い西側吊り下げサイン更新

 2021年1月ごろ、大通駅西改札口付近のコンコースにて、吊り下げサインの更新が行われました。このエリアのサインは全て筐体ごと更新されることになりました。大通駅の未リニューアル部分に黒色の筐体が本格的に導入されるのは、これが初めてです。

しかしこの新しいサイン、従来のサインにある内容を何も考えることなくそのまま新しいものに更新する、非常に頭の悪いサイン更新となりました。もうきっぱり断言します。

今回撮影した写真は、2021年1月、または3月に撮影したものです。

 

表示内容が変わった!?

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2021年1月4日撮影。頭の悪いことに、従来の「東西線のりば」がそのまま更新されました。従来のサインは東豊線開業前に設置されたもので、これを機に「 ↑ 東豊線」を追加するべきでしたし、「 ↑ 南北線」があってもよかったのです。また、「のりば」の表記も不要です。なぜ表記内容を変えなかったのか・・・と残念に思っていました。ところが。

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2021年3月撮影。なんと!?「東豊線」が追加されている!? 表示面を交換したのでしょうか。しかし奥のサインは「東西線のりば」のまま。なぜここだけ変えたのでしょう。そして南北線は?

 

謎のカギはここに

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2021年1月4日撮影・1番出口付近のサイン。このエリアの中では更新が遅めで、新型壁面サインとの共演が撮影できました。

 

(写真後日掲載)

1月19日のサイン。現在写真が用意できませんが、「↑東西線 ↑東豊線」と表記されていました。さて、ここで謎が解明されました。

 

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3月に撮影したもの。「東西線のりば」に変更されています。 

つまり、先ほどのものと掲出位置を間違い、表示板を相互に交換したということですね。いずれにせよ、洗練されていない表記であることに変わりはないのですが・・・

 

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先ほどの写真の奥に見えていた「 ↑ 東西線のりば」の裏側。これも従来の「出 口 2」と大書きされたサインの内容をそのまま新しくしたため、「大通西5丁目」の地名表記がありません。左側半分がもったいないサインです。地名を入れてもよかったのでは。

 

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こちらは以前から「新大通ビル」の表記があったんですね。そのため今回も「新大通ビル」の表記がつけられました。札幌市営地下鉄的には、今回「Shin-Odori Bldg」と英語が付いただけでとても優秀なことです。が、そんなの当たり前であってほしいんですけどね。

 

頭の悪いサインばかり

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2021年1月4日撮影。

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2021年3月22日撮影。エレベーターのドア付近から。

エレベーター専用改札口です。従来通り「エレベーター」の看板が設置されました。が、改札口横に「地上に出ることはできません」という注意書きがあるなら「エレベーター(ホームへ)」または「改札口」としたほうがよかったはずです。さらにこの看板は、裏側にも「エレベーター」と表記されています。そもそも人が見やすいように設置されていない看板ですが、「出口」と書いたほうがよかったでしょう。

 

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2021年1月4日撮影。きっぷを購入した人が改札口へ向かうような場所に設置されています。これはトイレに行く人は助かる表示ですが、改札口がすぐに見えてくるわけでもない場所であり、「 ↑ N07 T09 H08 のりば」「 ↑ 南北線 東西線 東豊線」のように乗車系の案内を書いたほうがよかったのではと思います。遠くの化粧室を案内するサインは基本的に壁面に書くくらいでよいです。吊り下げるに越したことはありませんが、限られたスペースに何を書くかを考えると、のりば案内が優先です。

 

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西改札口自動改札機上のサイン。2021年1月19日時点では未更新、3月22日時点で更新されていました。これまでと異なり「のりば」が省略されました。これまで「南北線さっぽろ駅 北改札口 南北線のりば」「真駒内駅 のりば 北改札口」とごちゃごちゃしていた分はすっきりしました。ただし「出口 西改札口」は引き続き並んでいます。現在の札幌市営地下鉄のサインマニュアルでは、「のりば」や「出口」は「改札口」の先にあるものという扱いで、「改札口=のりば」「改札口=出口」ではないことに注意が必要なのです。今回は片方しか改善されませんでした。個人的には、降車客への案内は「西改札口」は「西出口」でもいいように思うんですけどね。

しかし、なぜか駅ナンバリング東西線のものしかありません。

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この改札口は南北線麻生方面の利用客も入場するよう案内されています。駅ナンバリング南北線のものを追加するなどしておくべきでした。また、東豊線利用者は別の改札口が便利であることを簡潔に案内することも必要でした。

ところで「大通駅」の中国語が・・・「 大 通 方 面 」

韓国語も「大通方面」と書いてあるようです。

 

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西改札口に垂直に設置されたサイン。なぜか広いスペースがある「東西線」が長体で細長くなっています。また、「さっぽろ・麻生方面」の表記をしてほしかったですね。英語表記に「・」を使っているのも恥ずかしいです。たぶん。さらに、なぜこうガラスの真ん前に設置したのか、ガラス間の柱に文字が被らないようデザインできなかったのか。

 

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これまた問題のあるサインです。「東西線」の他に「南北線麻生方面」の表記も必要です。また、「エレベーター」とありますが、この先にはホーム行きエレベーターしかなく、地上行きエレベーターはありません。単に「エレベーター」だけではその情報は読み取れないため、表現を変える必要がありました。東西線へのエレベーターだと察してほしかったのかもしれませんが、これでは伝わりません。すべては「以前のサインをそのまま更新した」のが原因ですが、この機会に改めるべきだったんですよね。

 

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裏側です。まあ概ねいいのですが、南北線には「真駒内方面」があってもよかったかなと思います。間違いではないんですけど。結果として数十年前に設置された、奥にある「南北線真駒内方面」の表示が必要なままですし、両者の表示が食い違ったままでもあります。

 

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これも従来のサインがそのまま、これは多言語化もなく更新されました。位置も内容も「公式野良サイン」感が否めません。なぜここに化粧室とエレベーターの案内が必要なのか、検討はあったでしょうか。エレベーターは一つ前のサインと同じ問題を抱えています。

 

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出ました「のりば」サイン。営団地下鉄がサインマニュアルを制定した際、なるべく簡潔にするために「のりば」「のりかえ」といった表記を省略しました。ここにあった以前のサインはその制定前に設置されたサインのため、「南北線のりば」「東西線のりば」と書かれていました。ちなみに東豊線が開業した際もこの場所では更新が行われませんでした。それが今回、まさかのそのまま更新となったわけです。せめて「東豊線」くらい追加してくれ。もう本当に情けないです。

 

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先ほどのエレベーター改札口は「エレベーター」でしたが、ここは「改 札 口」となっています。いろいろな案内が書かれるこのご時世、「改 札 口」とかなり単純な表示ですが、このエレベーターは主に「南北線真駒内方面・東西線」に行くためのものだという表示を付けたほうがよかったですね。

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裏面です。「出口」ではなく「改札口」ではないんでしょうかね。表面は「すべての路線に乗れる」という案内なのに、裏面の駅ナンバリング東西線しかないのもよくわかりません。そして中国語の「大通方面」 英語は何か直したような跡があります。For Odori Station にでもしたのでしょうか。韓国語は合ってるんでしょうかね。→合ってないようです。

 

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ここにあるエレベーターは「南北線真駒内方面・東西線ホーム行きエレベーター」です。それ以外の利用者は別のエレベーターを使ったほうが良いですし、地上にはいかないのです。なぜその案内をすべて省略したのでしょうか。こうだから「駅の案内はよく分からない」となるんですよ。あと、ガラスの真ん前に設置するのはどうにかならなかったのでしょうか。

 

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さっきの案内とは違って「東豊線」が入っています。これも、東豊線開業時に片方だけ交換した従来のサインを、今回そのまま引き継いだからです。担当者は何を思って南北線「のりば」と打ち込んだのでしょう。何か考えなかったのでしょうか。

 

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十字のサイン。かっこいいですね。かっこいいですが、それは見た目だけで、東豊線の開業などによって追加された情報をうまく整理できていません。定期券うりばをその位置に書くのはちょっと違うでしょう。

 

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またもや「のりば」付きの案内です。外国人は「南北線」「南北線」「南北線」とどこも同じように書いてあると、日本語だけを見ても分かりやすく、形として認識して何とかたどれます。しかし、「南北線」「南北線のりば」「南北線麻生方面」「南北線さっぽろ・麻生方面」という「文字の形」はどれも違うことを案内しているのでは?と感じないでしょうか。できるだけ同じ表記に統一したほうが良いと思うのです。

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旧サインでも特徴的な表示をしていたこれ、今回はこうなりました。「うりば」がなんとなく字間が開いているのが気になります。また、「Season Tickets」という過去の表記を掘り返す、というかそのまま更新しており、これは定期券うりばを Commuter Pass Sales Office と定めているサインマニュアルに反するものです。実際外国人には伝わるんでしょうかね。

 

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きっぷうりばサイン。今回紹介するサインで唯一といっていい、ツッコミどころのないサインです。大変よくできました!!!!!

 

その場所にどんな案内が必要か、整理と検討を

大通駅は複雑な駅です。今回取り上げたエリアでも、南北線麻生方面の利用客をどの改札から入場してもらうか、の一つをとっても、経路に悩むわけです。だからこそサインを更新する前に、それぞれの場所にどのような案内が必要か、矢印をどちら向きに設置するべきか、よく検討するべきでした。今回のサイン更新は、その作業が全く行われないまま更新されてしまいました。

今回の更新は老朽化で物理的な限界がきたからではありません。外国人を含めたすべての人に、より分かりやすい案内にするためです。だったはずです。そんな中での今回の更新方法にはとてもがっかりしています。

さて、そんな中でも各路線ホーム部分のサインは別の会社・担当者により、様々な改善が行われました。次回はそのエリアを見ていこう、と思ったのですが、頭の悪いサインの紹介が終わらなかったので、次々回とします。もうほんと、こんな批判ばかりの内容、自分でもあまり書きたくないんですよ? 札幌市営地下鉄、というかこれを担当した業者はちゃんとしたサインを作ってください。