もみじの研究ノート

駅名標の奥深い世界へようこそ。

札幌市営地下鉄のサイン 2 東西線開業時の黒地サイン

貴重な資料

地下鉄のサインを知る手がかりとなる、興味深い資料があります。鉄道ファン197710月号の「カラフルな地下鉄のサイン」です。当時の各都市のサインが並んでいます。サインシステムが完成したばかりの営団のサインも並んでいてとても面白いですね。(何故かフォントが石井ゴシックっぽいですが・・・)そして、札幌市営地下鉄のサインも確認できます。

1977年は、東西線開業の翌年です。南北線東西線のサインが掲載されていて、中には今でも見られるもの、今とほとんどデザインが変わっていないものもあります。「南北・東西線交差点 大通駅」の表記は、一度生で見てみたかったものです。路線図にも時代を感じます。

 

・・・それにしても、この中に「今でも見られるサインがある」ということもまたすごいことのように感じます。具体的には中央の緑色「地下鉄のりば」は類似したサインが残っていますし、その下の「大通・白石方面のりば改札口」はフォントは異なるものの多くの駅で残っています。

さて、今回はここにある黒地のサインというのを取り上げていきたいと思います。

 

東西線開業時の黒地サイン

白地に青色のサインの次に何が設置されたのかを調べていると、開業直後の次に多く出てくる写真が、東西線開業の頃です。

その写真を見ていると、黒地のサインが多く見られます。そう、現在も多く目にする黒地に白、または路線色というサインです。現在に続く札幌市営地下鉄のサインは、東西線開業時にできたのですね。

 

また、大通駅でもこのサインの導入は進みました。東西線開業から1年後の1977年時点で、大通駅の「定期券うりば」表記(英語なし)、「きっぷうりば」表記(英語あり)「南北線 真駒内方面のりば」表記(英語 For Makomanai)(ピクトグラムなし)など、大通駅構内でも様々なサインがこのタイプとなっています。

 

フォントは日本語がおそらく見出しゴMB31、英語はHelveticaです。数字フォントは、なんか特徴のあるフォントです。よく分かりません・・・(調べる時間がありません。もしご存知の方はぜひ教えてください)

 

今も残る東西線開業時のサイン

この型のサインは、現在もいくつかの駅で残っています。またバスセンター前駅では、2019年まで数多く残っていました。少し見てみましょう。

f:id:momiji_3539:20171003132550j:plain

大通駅(2017年10月)

大通駅17番出口に残る「地下鉄のりば」のサインです。左側には「←」の矢印があったと思われます。東西線開業時にはこの看板の右側に改札口があったはずで、このサインは南北線しかない時代に設置された可能性もあります。ちょっとわかりません。現在の「東西線東改札口」がいつできたかを調べると、この謎が解けそうです。(今回は調べません)

また、このタイプのサインは蛍光灯の反射が独特です。言葉で表現するのが難しいですが、写真の左側のような反射の仕方をしていれば、東西線開業当時のサインです。

 

f:id:momiji_3539:20190126083427j:plain

バスセンター前駅(2019年1月)

バスセンター前駅に2019年まで残っていたサインです。このサインは、南北線以外のものも緑色で示すことが特徴です。東西線の開業当初、ホームの番線標も緑色で表記されていた時代があり、後年オレンジ色のものに交換されたそうです。

また、写真をよく見ると縦方向にヨレているように見えます。これもこの型のサインの特徴で、周囲に蛍光灯があるなど、明るい駅でこのヨレのようなものが確認できます。また、矢印の形がJIS規格と異なり、少し古めかしく感じます。バスのピクトグラムがないのもこのタイプの特徴で、「地下鉄のりば」や「南北線のりかえ」の看板も、この当時はピクトグラムがついていません。

 

f:id:momiji_3539:20190126081753j:plain

バスセンター前駅(2019年1月)

バスセンター前駅の中央改札口に2019年まで残っていたサイン。先ほどの鉄道ファンにあったものと全く同じものです。開業当時からあったものと思われます。

 

f:id:momiji_3539:20171003132756j:plain

大通駅(2017年10月)

大通駅の出口サイン。まだいくつか残っています。数字フォントが大きく、存在感があります。「都心ビル」に英語表記がありません。

 

f:id:momiji_3539:20171104144121j:plain

f:id:momiji_3539:20170520174127j:plain

f:id:momiji_3539:20171104143441j:plain

f:id:momiji_3539:20190126082212j:plain

 その他のサインたち。上3枚は白石駅、下1枚はバスセンター前駅です。下1枚は現存しませんが、2020年3月現在、大通駅で同じものを見ることができます。

どのサインも奇跡的に、2015年ごろに非電照式サインに置き替わらなかったサインです。詳細はその時に書きますが、なぜ生き残ったのかは不思議です。

 

このサインの特徴

さて、このサインの特徴をまとめると以下のようになります。

  • 東西線開業当時から設置されている
  • ヨレているような見た目
  • 南北線以外でも、緑色で表記されていることがある
  • ピクトグラムが少なく、英語表示も最低限
  • 看板の枠が角ばっている

かつては東西線のほとんどの駅に設置されていたと思われます。逆に、南北線の駅では見たことがありません。

初回の記事で「これが一番古いサインだ!」とした大通駅の「真駒内方面のりば」サインも、上のような特徴があります。

今まとまって残っている駅は大通、白石の2駅くらいとなりました。大通駅はあと数年でなくなってしまうことも予想されるので、早めに記録しておきましょう。

以上、東西線開業時の黒地サインについてでした。